■大人の上質なスポーツを味わえる「STI Sport」が追加
ご存じのとおり、トヨタ GR86とSUBARU BRZは、両社による協業で、トヨタの多田哲哉チーフエンジニアのもと、異なる企業文化を乗り越えて誕生した国産スポーツカーです。
苦労話やトヨタとBMWの協業で生まれたスープラ/Z4の開発秘話なども含め、多田哲哉氏を主人公にした書籍『どんがら トヨタエンジニアの反骨』で詳しく描かれています。トヨタのチーフエンジニア制度などの実情も知ることができます。
筆者も試乗会などでのインタビューのほか、筆者がその時、借りていたルノー ルーテシアで、私の運転で多田氏となぜか移動する機会があり(何の取材かは忘れました…)、助手席に座っていた同氏が内外装のデザインを「上手いな」と褒めていたことが記憶に残っています。
さて、2代目にスイッチして約2年、トヨタGR86とSUBARU BRZが2023年9月22日に一部改良を受けました。
トヨタGR86は、AE86の生誕40周年記念車も発表されていますので、ここでは、SUBARU BRZの内容をお届けします。
BRZも86もSUBARUの水平対向エンジンに、トヨタのポート噴射+直噴技術「D-4S」が組み込まれ、低重心、コンパクトである同エンジンの利点が活かされています。
改良の目玉はまず、SUBARU初のMT車向けとなる運転支援システム「アイサイト」の採用です。「アイサイト」の高い衝突回避、衝突被害軽減、運転負荷軽減などをMT車の特性に合わせた制御が盛り込まれています。6MT車には、プリクラッシュブレーキ、定速クルーズコントロール、車線逸脱警報、ふらつき警報、先行車発進お知らせ機能のほか、追従機能付クルーズコントロールも標準装備されています。
筆者もMT車に乗っていますが、MT車でも安全装備が充実していて、アダプティブクルーズコントロールなどのドライバーサポート機能が充実しているのはもちろん大歓迎でしょう。
●新設定「STI Sport」グレードは大人のスポーツモデル
SUBARUお馴染みの「STI Sport」グレードの新設定も朗報です。同グレードは、スポーティなだけでなく、上質さも併せ持っていて、大人のスポーツモデルという雰囲気や走りを享受できます。
STIによる専用サスペンションが備わり、操舵の初期から内輪の横力を引き出すダンパーセッティングが施され、応答性の高いハンドリングを実現しています。
フロントサスペンションには、STIチューニングの日立Astemo製SFRD(Sensitive Frequency Response Damper。周波数応答型ダンパー)ダンパーが採用され、快適な乗り心地と俊敏な走りを両立したとしています。
そのほか、ゴールドキャリパーのbrembo(ブレンボ)製17インチフロント&リヤベンチレーテッドディスクブレーキがメーカーオプションで設定されていて、見た目と制動力を磨き上げることができます。
エクステリアは、ブラック化されたドアミラーやルーフアンテナをはじめ、ヘッドランプ内エクステンションのBRZロゴカラーが、STIであることを示すチェリーレッド化されています。また、光輝感のあるダークメタリックの18インチアルミホイールが配され、「STI Sport」の新たな足まわりであることを印象づけています。
一方のインテリアには、ボルドー/ブラックで仕立てられた東レの「ウルトラスエード」と本革シートを用意。プッシュエンジンスイッチは、STIロゴ入りのレッドタイプに変更されています。
さらに、シフトまわりやヒーターコントロールダイヤルのダークキャストメタリック加飾パーツ、メーターバイザーなどの「ブランノーブ」表皮巻とレッドステッチにより、大人の上質なスポーツカーを名乗るにふさわしい仕立てになっています。
なお、BRZの一部改良モデルは、2023年9月24日に富士スピードウェイで開催される「FUJI 86/BRZ STYLE 2023」に展示されます。
●価格
「R(6MT)」:330万円
「R(6AT)」:335万5000円
「S(6MT)」:348万7000円
「S(6AT)」:354万2000円
「STI Sport(6MT)」:376万2000円
「STI Sport(6AT)」:381万7000円
(塚田 勝弘)