■約1300人が快適に座れる
9月13日、JR東海とJR西日本は年末年始(12月28日〜1月4日)およびゴールデンウイーク、お盆期間の3大ピーク期に運行する東海道・山陽新幹線「のぞみ」を全車指定席にすると発表しました。
通常は「のぞみ」の1〜3号車が自由席となっています。自由席は列車・座席の指定を受けないので、気軽に乗車することができます。また、通常の切符の場合は指定席よりも割安となっています。
しかし、着席の保証はないので、急ぐ場合に運が悪ければ座れないまま乗り通すこともあります。
また、年末年始は自由席に座るための長蛇の列がホームにできて乗降にも時間がかかり、遅延の原因となっています。車内も通路やデッキまで乗客で溢れる光景もよく見られます。全車指定席にすればこれらの問題が解決できます。
なお「のぞみ」の場合、指定席(普通車・グリーン車含む)の定員が1069人・1073人から2割増の約1319人・1323人に増えます。定員に違いがあるのは車いすスペースの数の違いによるものです。
デメリットは気軽に乗ることができなくなること。ただし普通車のデッキでの立席利用をする場合に限り、自由席特急券で「のぞみ」に乗車することができます。
●「のぞみ」以外の東海道・山陽新幹線は自由席あり
3大ピーク期も東海道新幹線では「のぞみ」を除く「こだま」「ひかり」に引き続き自由席を設定します。東海道新幹線は現在、1時間当たり最大で定期「のぞみ」4本、臨時「のぞみ」8本、「ひかり」2本、「こだま」2本の設定が基本です。
このうち「こだま」1本は東京〜名古屋間の運転となり、3大ピーク期の自由席連結列車は1時間当たり東京〜名古屋間で4本、名古屋〜新大阪間で3本となります。
また、山陽新幹線に直通する列車で3大ピーク期に自由席を連結するのは「ひかり」2本のうちの1本だけ。しかも東京〜岡山間の運行が基本なので、首都圏から山陽新幹線沿線に帰省する人たちにとってはかなりの打撃となりそうです。
一方山陽新幹線では「ひかり」「こだま」のほか、九州新幹線に直通する「みずほ」「さくら」も引き続き自由席を利用することができます。「のぞみ」と同等の最速達列車となる「みずほ」に自由席があるので、それほど不自由はないかもしれません。
余談ですが「みずほ」「さくら」用のN700系8両編成の指定席は2+2列シートとなっていて自由席が3+2列シートと設備面で差があります。
ちなみに3+2列シートは「のぞみ」の指定席で使われているものと同じ座席ですが、全車指定席とした場合には号車で格差が発生します。
このように「のぞみ」の全車指定席化の影響が大きいのは東海道新幹線と言うことになりそうです。3大ピーク期には「のぞみ」は1時間12本のフル体制となり、指定席の数は相当数用意されます。しかし、指定席がすぐに満席となる可能性はあります。
果たして年末年始の帰省をする人たちにどのような影響が出るのか、要注目です。
(ぬまっち)