BMW 1.8L大迫力巨大クルーザーに新型「R18ロクテイン」登場。大きな特徴「エイプ(お猿)ハンガー」ってナニ?

■バガー・スタイル採用のネオレトロなアメリカンモデル

100年の歴史を誇るBMWのバイクブランドが、BMWモトラッド。なかでも、長年にわたり代表的モデルに搭載され続けている水平対向2気筒、通称「ボクサーエンジン」は、同ブランドを象徴するパワーユニットだといえます。

R18ロクテインのサイドビュー
R18ロクテインのサイドビュー

そんなボクサーエンジンのなかでも、1.8Lもの大排気量を採用した通称「ビッグボクサー」を搭載し、クラシカルでアメリカンなスタイルを持つのが「R18」シリーズです。

1936年に登場した伝説的バイク「R5」をオマージュしたヘリテージ風のスタイルに、長距離ツーリングなどでパワフルかつ快適な走りを実現する最新の装備などが魅力のR18。

派生機種には「R18クラシック」「R18B」「R18トランスコンチネンタル」がラインアップされていますが、そのシリーズ5番目のモデルとして新しく「R18ロクテイン(R18 Roctane)」が日本に上陸しました。

新型は、アメリカで人気のカスタム・バガー・スタイルを採用。圧巻のフォルムに、最新のテクノロジーなども搭載することで、高速道路でのクルージングやロングツーリングを存分に楽しめるモデルに仕上がっています。

●アメリカで人気のカスタムスタイルを採用

2020年の発売以来、根強い人気を誇っているR18の派生機種として登場したR18ロクテイン。

R18ロクテインのサイドパニアケース
R18ロクテインのサイドパニアケース

大きな特徴は、大型のサイドパニアケースを標準装備するなどで、アメリカで人気のバガー・スタイルを採用していること。バガーとは、車体と一体感を持たせたサイドケースを装備したアメリカで人気のカスタムスタイルのひとつ。荷物を入れる「バッグ」が語源だといわれていて、現在ではメーカーが同様のスタイルを採用する例も増えているほど、世界中で認知度の高いスタイルです。

フェアリング付きのバガースタイルを採用するBMW・R18B
フェアリング付きのバガースタイルを採用するBMW・R18B

ちなみに、R18シリーズには、やはりバガースタイルを採用したR18Bというモデルもありますが、こちらはフロントにフェアリングを搭載した仕様。走行時のウインドプロテクション性能を高めることで、よりクルージングでの快適性を追求しているモデルだといえます。

一方のR18ロクテインは、カウルレスのスタイルに、エイプハンガーといわれるハンドルを採用していることが特徴です。

エイプハンガーとは、アメリカンバイクの「チョッパー」と呼ばれるカスタム手法のなかでも人気が高いパーツのひとつで、エイプは「お猿」の意味。このハンドルを装着したバイクに乗った姿が、まるで木にぶら下がったお猿のように見えることから名付けられたといわれています。

R18ロクテインが装備するミニ・エイプハンガー
R18ロクテインが装備するミニ・エイプハンガー

あくまで私見ですが、R18ロクテインは、バガーとチョッパーという2つのカスタムスタイルを融合させているような気がします。それは、R18Bのホイールがフロント19インチ、リヤ16インチを採用するのに対し、R18ロクテインではフロント21インチ、リヤ18インチのホイールを採用していることでも類推できます。全輪をより大きくするバイクのスタイルは、チョッパーでは定番といえるからです。

さらに、余談ですが、本来エイプハンガーはグリップ位置がかなり高くなりますが、操縦性も考慮してか、R18ロクテインのハンドルはさほど高くなっていません。そこでBMWは、R18ロクテインのハンドルを「ミニ・エイプハンガー」と表現しています。

●低回転域から極太トルクを発生

一方の動力性能。シリーズ共通の1801cc・空油冷水平対向2気筒エンジンは、最高出力67kW(91PS)/4750rpm、最大トルク158N・m(16.1kgf-m)/3000rpmを発揮。2000~4000rpmの比較的低いエンジン回転域でも、常に150Nm(15.2kgf-m)以上の極太トルクを発生させ、優れた加速感と深みのあるエンジンサウンドを堪能できます。

1.8Lのビッグボクサー搭載
1.8Lのビッグボクサー搭載

また、ライディング支援システムの「ASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)」も採用。路面状況に応じてエンジン駆動トルクの伝達を調整し、グリップをコントロールするシステムで、特に、雨天時など路面が滑りやすい条件下で高い安全性に貢献するシステムです。

さらに、後輪のスリップなどを軽減する「エンジン・ドラッグ・トルク・コントロール」や、「Rain」「Roll」「Rock」といった3つのライディング・モードも標準装備。坂道での発進を容易にするヒル・スタート・コントロール機能や、手を暖めるグリップ・ヒーターなど、高いレベルの走行安定性や、快適な走りを可能にする数々の装備が満載です。

●大容量のサイドパニアケースも装備

一方、車体では、BMWモトラッドが長年培ってきたフレーム・タイプの伝統を受け継いだ、ダブル・ループのチューブラー・スチールフレームを採用。フットレストは「ミッドマウント・フットペグ」ポジションで、ハンドリングのしやすさも追求。リヤに向かってスリムになる2段シートは、アメリカンで流麗なスタイルに貢献します。

カラーバリエーションは2タイプ
カラーバリエーションは2タイプ

さらに、左右2つのサイドパニアケースは、それぞれ27Lのラゲッジ・スペースを確保し、ロングツーリングなどで高い積載性を実現。ヘッドライト内蔵式というユニークなスタイルを採用する丸型メーターは、シンプルでクラシカルなデザインとすることで、ヘリテージバイクらしい雰囲気を強調しています。

カラーバリエーションには、「ブラック・ストーム・メタリック」と「ミネラル・グレー・メタリック・マット」の2タイプを用意。価格(税込)は284万円〜284万42000円です。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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