スバル「レヴォーグ レイバック」の車高アップはクロストレックと違う方法だった?

■レヴォーグ レイバックはレヴォーグをリフトアップしたクロスオーバーSUV

SUBARUレヴォーグ レイバック
SUBARUレヴォーグ レイバック

スバルの「新型SUV」として新たに登場した「レヴォーグ レイバック」。おそらくクルマ好きならば、見た瞬間に理解できることでしょう。いうなれば、“車高を上げてクロスオーバーSUV化したレヴォーグ”というわけです。

SUBARUレヴォーグ レイバック
SUBARUレヴォーグ レイバック

スバルにとってこうしたSUV作りの手法はお手のモノで、起源はなんといっても「レガシィ アウトバック」(日本では当初「グランドワゴン」とか「ランカスター」と呼ばれていましたね)。

ツーリングワゴンである「レガシィ ツーリングワゴン」の車体を持ち上げ、大きなタイヤを履かせてSUV化したところ北米で大ウケ。その成功を追うように、ボルボの「CC(クロスカントリー)シリーズ」やメルセデス・ベンツの「オールテレイン」、アウディの「オールロードクワトロ」などが登場し、プレミアムワゴンの世界では、バリエーションとしていまや当たり前のような存在となりました。

大切なことなのでしっかり書いておきますが、その手のモデルのパイオニアがアウトバックであり、最初に始めたのはスバルです。

その成功に気をよくしたスバルは、より小さいハッチバックである「インプレッサ」でも同じ手法でクロスオーバーSUV化。それがかつての「XV」であり、現在の「クロストレック」というわけです。

●レヴォーグ レイバックの最低地上高はレヴォーグより55mm高い

SUBARUクロストレック
SUBARUクロストレック

クロストレックは2022年末にフルモデルチェンジで新型になりましたが、そんなクロストレックとレヴォーグ レイバックを比べてちょっと面白いことがあります。それはリフトアップの方法。

クロストレックもレヴォーグ レイバックも最低地上高は200mmで、これは悪路走破性に定評がある「スズキ・ジムニー」よりも5mm低いだけと本格SUV並みの数値(そこがスバルのこだわりのひとつ!)。クロストレックは背の低いタイプのインプレッサに比べると65mm、レイバックはレヴォーグに比べると55mm高くしたものです。

しかし、両車ではリフトアップの方法が違うのが興味深いところです。クロストレックはタイヤ径の拡大に加えて、車体とサスペンションを繋ぐブッシュを厚くして車体を持ち上げています(サスペンションのストローク量はインプレッサと変わらない)。

対して、レヴォーグ レイバックでは15mmだけをブッシュの厚みを増してかさ上げし、残りはタイヤ径拡大とサスペンションのストローク拡大で作り出しています。

なぜ、リフトアップの手法が異なるのか、気になりませんか?(ちなみにタイヤはクロストレックの上級仕様とレヴォーグ レイバックが同じで225/55R18)。

●レヴォーグ レイバックとクロストレックでリフトアップの手法が異なる理由

SUBARUクロストレック
SUBARUクロストレック

どうしてリフトアップの方法が異なるのか? 開発者に尋ねたところ「ベース車の設計要件が異なっていたから」とのこと。クロストレックではインプレッサの開発要件に「リフトアップ化」が盛り込まれていて、当初から車高を上げることを前提に設計されています。

いっぽうレヴォーグ レイバックのベースとなったレヴォーグは、リフトアップ化を考えた車体設計になっておらず、単にブッシュの厚みを増して車体を持ち上げるだけではバランスが取れない。そのため、サスペンションのストロークを増やして対応したというわけでした。

きっと次世代のレヴォーグが作られるときは、当初からリフトアップ化を見込んだ設計になるのではないでしょうかね。

SUBARUレヴォーグ レイバック
SUBARUレヴォーグ レイバック

そんなレヴォーグ レイバックの走りですが、レヴォーグよりはいい意味でおおらか。そして、ちょっと驚くほどに乗り心地がいいのが印象的でした。

(文:工藤 貴宏/写真:井上 誠)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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