ロータスが超高級BEV&SUVに「Eletre(エレトレ)」で日本参入。第1弾モデルから世界最先端のスペックと装備を備える

■航続距離は最長で600kmで、「R」は0-100km/h加速は2.95秒でクリア

2023年9月1日、ロータスはバッテリーEV(BEV)SUV第1弾となるEletre(エレトレ)を発表しました。

1966年以来、ロータスの本拠地である英国ヘセルの製品企画、同国にあるコベントリーのUKクリエイティブセンター(UKCC)のデザインチーム、ラウンハイムのドイツイノベーションセンター(GIC)のエンジニアリングチーム、そして、武漢のロータステックエンジニアリングと製造チームのコラボにより誕生しました。

日本で初公開されたロータス・エレトレ
日本で初公開されたロータス・エレトレ

「エレトレ」「エレトレS」「エレトレR」という3グレードが設定(日本向けはSとR)され、2種類のパワートレインから選択することが可能。納車は3月の中国からスタートしていて、今夏以降、欧州や英国を含むそのほかの世界市場でも順次行われる予定です。

ロータス・エレトレのエクステリア
ロータス・エレトレのエクステリア

航続距離は最長で600kmに達し、わずか20分で10~80%の充電を完了させる急速充電にも対応しているそうです。

さらに、0-100km/h加速は2.95秒(R)で到達し、電動化がもたらすメリットを最大限活かし、圧倒的なドライバビリティをもたらすとしています。

2つのモーターがもたらす瞬発的なトルクと全輪駆動のトラクション、そしてアクティブエアサスペンションは、ロータスのファンに新しい体験を提供するでしょう。

ロータス・エレトレのリヤまわり
ロータス・エレトレのリヤまわり

プラットフォームやシャーシ、電動パワートレーンにも新時代の到来を感じさせる技術が盛り込まれています。軽量、高剛性を実現したというプラットフォーム、洗練されたサスペンションシステム、インテリジェントな全輪駆動が組み合わされているほか、アクティブアンチロールコントロール、ブレーキによるトルクベクタリング、アクティブリヤホイールステアリングなどの技術で、走行性能が高められています。

ロータス・エレトレのサイドビュー
ロータス・エレトレのサイドビュー

エレトレは、ロータス独自の「EPA(Electric Premium Architecture)」と呼ぶ、柔軟性の高いモジュラープラットフォームがベースで、今後数年間に開発される新しい高級ハイパフォーマンスEVの中核を担います。

EPAは、車軸の間と床下にバッテリーを配置することで重心を下げ、車内空間を最大化するなど、電動化のメリットを最大限に生かすように設計されています。また、ロータスのダイナミクス DNA の基本である、高いねじれ剛性と軽量化を実現するために、高度な素材が巧みに組み合わされています。

ロータス・エレトレのリヤビュー
ロータス・エレトレのリヤビュー

ダンパーマウントポイントなどの主要部品には、アルミニウムの高圧ダイカスト鋳造が採用され、フロント2つの鋳造だけでスチール部品と比較して6kgの軽量化に寄与。3ピース構造のボンネットはアルミニウム製で、フレームレスアルミニウムドアも軽量化に貢献しています。

先進的なアルミニウム合金は、プラットフォーム全体の43%、ボディ構造全体の50.7%を占め、これらの合金は、AピラーやBピラーを補強。衝突保護性能を高めるために、熱間成形鋼とともに高強度鋼や超高強度鋼と組み合わされています。リヤフロアの一部には、軽量複合材が使用され、構造用接着剤、セルフピアスリベット、フロードリルドスクリュー、スポット溶接、レーザー溶接など、計16種類の高度な接合技術が随所に使用されています。

ロータス・エレトレのインテリア
ロータス・エレトレのインテリア

車両の床下には、最先端の800V、112kWh のリチウムイオンバッテリーパックが搭載されています。400Vのシステムと比較して、800Vのアーキテクチャは、同じ出力で動作電流を半分に削減します。ワイヤーハーネスに使用するケーブルの直径を小さくできるため重量が軽くなり、電力効率が向上。熱の発生が少なくなるため熱管理が改善され、そして充電時間が大幅に短縮されます。

バッテリーパックの構成も革新的で、複数のモジュールに分かれているのではなく、角型セルをバッテリーケースの構造内に直接配置しています。重量が軽減され、一定の容積に多くのセルを収容できるため、パッケージングが向上するという利点もあります。エネルギー密度は、175Wh/kg以上となり、航続距離の延長に貢献しています。

ロータス・エレトレのシフトスイッチまわり
ロータス・エレトレのシフトスイッチまわり

モーターは、永久磁石同期で、トランスミッションやインバーターとともに、最適なパッケージング効率を実現するために鋳造された1つのハウジングに収められています。フロントアクスルには、1速トランスミッションが搭載され、優れた発進、加速性能と、高速走行時の効率性、航続距離の向上を両立させます。

最高出力603hp、最大トルク710Nm の「エレトレ」と「エレトレS」は、0-100km/h(0-62mph)をわずか4.5秒で加速させ、最高速度 258km/h(160mph)まで到達します。先述したように航続距離は、最長で600km に達します。

ロータス・エレトレのタイヤ&アルミホイール
ロータス・エレトレのタイヤ&アルミホイール

さらに、最高出力905hp、最大トルク985Nmを誇る「エレトレR」は、0-100km/h(0-62mph)をわずか2.95秒でこなし、最高速は265km/h(165mph)に達します。航続距離は490kmと短くなりますが、実用的な距離を確保。また、ステアリングホイールにある2つのパドルを使って、回生ブレーキを2段階から選択することができます。

ロータス・エレトレのフロントシート
ロータス・エレトレのフロントシート

革新的なデュアルチャンバー式エアスプリングを全車に標準装備し、車高と剛性を独立してコントロールすることが可能。アクティブエアサスペンションは車速に応じて最大25mm車高を下げることができ、空気抵抗を低減して航続距離を向上させます。

逆に、車高を15mmから25mmまで上げることができ、悪路走破性を向上。電子制御ダンピングシステムにより、サスペンションにかかる荷重を1秒間に1,000回の割合で連続的に測定し、1秒間に500回減衰力が調整されます。

ロータス初となる電気機械式パワーステアリングの採用もトピックス。同システムは、ロータスの特徴であるドライバーの入力に対するピュアで真につながった感触、フィードバック、直感的な反応を実現するために綿密に調整されているそう。同時に、2.5回転というロック・トゥ・ロックによりスポーツカー並みのクイックさが与えられています。

ロータス・エレトレのコクピット
ロータス・エレトレのコクピット

ラックマウントされたモーターがオンデマンドで電力を消費するため、油圧に頼ったシステムよりもエネルギー効率にも優れています。アクティブリヤホイールステアリングシステムもロータス初の技術。インテリジェントアクティブロールコントロールとともに、「ロータス・ダイナミック・ハンドリング・パック」の一部に含まれていて、「R」に標準装備。「エレトレ」と「S」は、オプションになります。

デジタルカメラ式のサイドミラーを採用
デジタルカメラ式のサイドミラーを採用

低速域では、後輪が前輪と逆方向に切れることで回転半径を最大0.8m縮小させて操縦性を向上させます。高速走行時には、後輪が前輪と同位相になり、安定性を向上させます。このインテリジェント・アクティブ・ロール・コントロールは、電気機械式アクチュエーターが搭載された第3世代の 48Vシステムです。必要なロール剛性を正確に制御することで、よりニュートラルなコーナーリングと快適な乗り心地を実現するそう。

タイヤは、エレトレ専用となる22インチと23インチの高性能ピレリ「P Zero」と22インチの超高性能「P Zero Corsa」が開発されています。各タイヤは、ウェットとドライの理想的なグリップバランスを実現し、とくにモーターによる瞬時のトルクがもたらす高負荷の下でその性能を発揮します。

実用的なラゲッジスペースを確保する
実用的なラゲッジスペースを確保する

また、エレトレ用に開発されたブレーキシステムは、6ピストンフロントキャリパーと、スチール製ローターとアルミニウム製マウントベルからなる2ピースブレンボ製ディスクを備えています。特殊な鋳造プロセスによって一体化されたこれらのディスクは、従来の一体鋳造ディスクに比べて軽量化を実現し、高温時の熱管理を改善することでブレーキ性能を向上させています。

ブレーキシステムは、ニュルブルクリンク北コースでの過酷なテストプログラムで実証されました。カーボンセラミック・ブレーキシステムは、「R(欧州市場ではS)」のオプションとして設定されています。APレーシングの10ピストン「Radi-Cal」キャリパーがフロントアクスルに装備されたもので、鍛造アルミニウム部品の高度な最適化と非対称形状により、6ピストンキャリパーと同じ重量ながら60%の圧力領域を確保してさらに高い性能を実現。

エレトレのリヤシート
エレトレのリヤシート

ブレンボのカーボンセラミックディスクは、6ピストンシステムのディスクの半分以下の重量で、1000°Cを超える極端な温度で作動することが可能で、優れた耐フェード性を発揮するとしています。また、耐用年数はスチール製ディスクの2倍に達します。キャリパーは、6色から選択可能です。

そのほか、世界初となる4つの展開式ライダー、6つのレーダー、7つの 8MP HD カメラ、12の超音波センサーを含む、計34 のセンサーに使った最先端の先進安全装備や高解像度OLEDのセンタースクリーンの先進的なインテリア、688Lという荷室容量を誇る広大なラゲッジスペースを備えています。

タッチセンサーと対話型インフォテイメントシステムを備える
タッチセンサーと対話型インフォテイメントシステムを備える

ロータスがターゲットにする同ブランドのファンのみならず、ほかの高級SUVにとっても脅威となるはずです。なお、日本向けのグレードは、「エレトレS」と「エレトレR」の2グレード設定になっています。

●ボディサイズ:全長5103×全幅2135〜2231×全高1630〜1636mm

●価格
「エレトレS」:2332万円
「エレトレR」:2585万円

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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