女性で不利な点は? 「玉城詩菜選手」TOYOTIRES期待のホープに聞いた【D1ライツ】

■単走突破と横転クラッシュ

今季からD1ライツに参戦を開始した玉城詩菜選手。
今季からD1ライツに参戦を開始した玉城詩菜選手

モータースポーツではまだまだ女性ドライバーの数は少ないながらも、2023年のD1GPには下田紗弥加選手と久保川澄花選手の2人の女性ドライバーがフル参戦中。2人ともD1GPの下部カテゴリーであるD1ライツからステップアップした選手ですが、今年はそのD1ライツにまたひとり、新たな女性ドライバーが参戦し、強烈な印象を残しています。

それが玉城詩菜(たまき しいな)選手です。

デビュー戦となった日光サーキットでの第4戦では、いきなりベスト8に入る活躍。ところが、エビスサーキットで行われた第6戦では、ニューマシンを横転させてしまいました。この派手なデビューイヤーを戦っている新人の玉城選手をクローズアップします。


●雨の日光サーキットでベスト8進出

玉城選手は沖縄出身。現在は埼玉県在住です。ドリフト歴は約5年。昨年の日光サーキットでのD1地方戦が大会初参加だったそうですが、そこで3位に入り、D1ライツの参加権を得ました。

そのときはマイカーでのプライベート参戦だったそうですが、そのころからショップとしてお世話になっていたウィステリア(D1GPトップドライバーである藤野選手のショップ)でこの4月から働くようになり、TOYOTIRESのサポートを得て、第4戦からWISTERIA TOYOTIRESというチームでD1ライツに参戦することになりました。

D1ライツ初参戦時、本人は「身の丈に合っていないカテゴリーだという感じでした」ということでしたが、10位で単走を通過し、追走トーナメント進出を決めます。

これはそう簡単なことじゃないんです。D1ライツの日光戦は67台がエントリー(出走したのは56台)。何年も参戦を続けている選手も多い中で、トップ16人に入れないと追走トーナメントには勝ち上がれない。雨が降り出して難しい路面コンディションの中、「安パイの走りでできることをやっただけでした」ということですが、非常に安定した走りを見せて、ボーダーラインを超える得点を出したのは、実力がある証拠です。

第4戦の追走では、昨年のチャンピオン田野選手と対戦しました。
第4戦の追走では、昨年のチャンピオン田野選手と対戦しました

さらに、ベスト16では対戦相手の與儀(翔)選手の大きなミスもあってベスト8に進出しました。ベスト8では昨年のチャンピオン田野選手に敗れましたが、最終順位では6位に入りポイントホルダーとなったのです。

じつはこのときに乗っていたのは、藤野選手がかつてD1ストリートリーガル時代に使っていたというPS13シルビア。ということで気になることを聞いてみました。

藤野選手が作った車は乗りやすいのか?ということです。すると「めちゃめちゃ乗りやすいです」と玉城選手。

「それも、私が苦手なところとかを補うセッティングをしてくれるんです」とのこと。外から見たり、横に乗ったり、コメントを聞いたりして、「こういう乗りかたのクセがあるんだったら」「こういうところが苦手なんだったら」というのをふまえて、セッティングを変えてくれるのだそうです。

藤野選手本人はあまりそういう話はしませんが、藤野選手はすごい“セッティングおたく”、“ドラテクおたく”なんだという話をチームメイトの川畑選手から聞いたことがあります。そんなところも玉城選手の活躍を支えているのでしょう。

●まさかの横転!

第4戦の翌日の第5戦は、残念ながら単走敗退となってしまったのですが、次のラウンドが8月25日、26日のエビスサーキット。

ところがここでまさかの大事件が起きてしまいます。このラウンドからは、あらたに玉城選手のマシンとしてウィステリアが仕上げたTOYOTIRESカラーの180SXを投入。練習ではまずまずの走りを見せていました。

土手への当たりかたが悪く、横転してしまいました。
土手への当たりかたが悪く、横転してしまいました

しかし、本番1本目、1コーナー進入で振りすぎた玉城選手はそのままコースアウト。1コーナー奥の土手に左サイドから乗り上げる形になり、横転してしまったのです。かなり減速していたので、本人も怪我はないようで、すぐにエンジンを切ったので機関は無事のようですが、ルーフが凹んでしまいました。

藤野選手は「緊張でしょうね。もう普段と操作が違った」。玉城選手自身も「練習でできていたことができなくて、どうしてああなっちゃうんだろう?と思いました」と振り返ります。このあたりはまだ経験不足が影響したというところでしょうか。

●目標はD1GPで藤野選手と対戦すること

さいわい玉城選手(左)に目立った怪我はなかったようです。
さいわい玉城選手(左)に目立った怪我はなかったようです

ところで、玉城選手にドリフトにおいて女性ドライバーだと不利な面はあるかという質問をしてみたところ、「いまはパーツも進歩しているので(力が足りなくて)サイドブレーキを引きにくいなんていうこともなくて、差はないと思います」。もっとも「女性ドライバーの先輩は男気があるひとばかりなので見習っていきます!」とのこと。

ちなみに玉城選手は、女性としては身長も高いので、本番機のシートはブリッドのZETA IV(ごく一般的なフルバケットシート)をそのまま問題なく使っているそうです。ただ、練習機のほうは年数が経ってシートのクッションがやせてきているので、D-MAXが出しているクッションを使って加工することで身体にフィットさせているということでした。

その玉城選手に今後の目標を聞いてみると、「将来的にはもちろんD1GPを目指してます。その前に、まずはD1ライツでシリーズ争いができるようなドライバーになりたい。そしてD1GPにステップアップして藤野さんと戦いたいんです!」とのこと。

TEAM TOYOTIRES DRIFTの次世代のエースは、もしかしたら女性ドライバーになるかも!?

(まめ蔵)

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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