トヨタ「カローラ」9代目デビュー。世界戦略車として上級化したカローラは112.3万~206.8万円で100万円を切るモデルが消失【今日は何の日?8月28日】

■大衆車から欧州志向のグローバルな上級車に変貌

9代目カローラセダンの上級モデル(弊社刊「すべてシリーズ 第266弾 新型カローラのすべて」より)
9代目カローラセダンの上級モデル(弊社刊「すべてシリーズ 第266弾 新型カローラのすべて」より)

2000(平成12)年8月28日、トヨタ「カローラ」が2000年を迎えて9代目に移行しました。

世界戦略車として、セダンと2ボックスワゴン「カローラ・フィールダー」が、翌2001年1月には5ドアハッチバック「カローラ・ランクス」がデビューしたのです。


●日本のモータリゼーションを牽引したカローラ

1966年、日本を代表する大衆車カローラが誕生しました。1961年にデビューした小型大衆車「パブリカ」が簡素過ぎて不評だったので、ユーザーの上級志向に応える大衆車となることがカローラの使命でした。

1966年にデビューした初代カローラ。車を大衆化した名車
1966年にデビューした初代カローラ。車を大衆化した名車

スタイリングは、当時最先端のデザインであったセミファストバックを採用。パワートレインは、最高出力60PSを発揮する1.1L直4 SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFRでした。当時は高度経済成長期の真っ只中。高速道路の建設ラッシュが進み、大衆車でも高速道路もスムーズに走れることが求められました。

カローラは、開発目標として巡航速度100km/hが最高速度の75%以下、3速の最高速度が100km/h以上、0-400m加速が20秒以下であることを掲げ、いずれの目標もクリアしていました。

初代カローラは、発売から3年半で100万台を超える当時のミリオンセラー最短記録を達成し、日本のモータリゼーションを加速するという重要な役割を果たしたのです。

●その後のカローラは、時代の要求に応えながら進化

1966年にセダンから始まったカローラですが、時代のニーズに応えながら進化を続け、ハッチバックやワゴンなどバリエーションを増やし、徐々にボディは大型化していきました。

1983年にデビューしたスプリンタートレノ(AE86)
1983年にデビューしたスプリンタートレノ(AE86)
1983年にデビューしたカローラレビン(AE86)
1983年にデビューしたカローラレビン(AE86)

トピックスとしては、2代目(1970年~)で「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場、ちなみに今も人気が高いAE86は4代目(1979年~)。3代目(1974年~)の期間中に車名別生産台数の世界一を達成、初めてFFを採用した5代目(1983年~)、1990年に年間新車販売台数30万8台で新記録を達成した6代目(1987年~)。バブルの波に乗って高級化路線を追求した7代目(1991年~)、そして8代目(1995年~)は原点回帰して、使い勝手の良いコンパクトセダンとなりました。

カローラシリーズの世界累計販売台数は、1982年に1000万台、1994年2000万台、2005年に3000万台、2013年に4000万台を達成し、2021年7月時点で5,000万台を突破しました。1997年には、単一モデルの販売台数でVWビートルを抜いて世界NO.1となり、現在も記録を更新中です。

●すべてを一新し脱大衆車を目指した世界戦略車の9代目

9代目のカローラにはワゴンのフィールダーも登場
9代目のカローラにはワゴンのフィールダーも登場

9代目カローラは、21世紀の世界戦略車としてデザインやプラットフォーム、パッケージングを一新。セダンとワゴンが用意されましたが、ワゴンはこの9代目から「カローラ・フィールダー」と名乗るようになったのです。

9代目カローラの豪華なインテリア
9代目カローラの豪華なインテリア

欧州デザインスタジオのデザインをベースにボリューム感の流麗なフォルムに、ホイールベースと全高を延ばして広く上質な室内空間を実現。パワートレインは、1.3L/1.5L/1.8L直4 DOHCエンジンおよび2.2Lディーゼルの5機種と、4速ATおよび6速MTの組み合わせ、駆動方式はFFベースで4WDも設定されました。

21世紀ミレニアムとともに登場した9代目カローラ、保守的な印象の強い歴代カローラからモダンなイメージへと変貌し、歴代カローラの中でも評価は高く人気を獲得しました。

セダンが112.3万~206.8万円、フィールダーが136.3万〜199.8万円と、これまで設定されていた100万円を切るローグレードがなくなりました。

2019年にデビューした12代目現行カローラ
2019年にデビューした12代目現行カローラ

9代目以降、カローラは大型化と上級化に舵を切っています。12代目(2018年~)では、世界レベルの走行性能や乗り心地を得るために3ナンバーとなり、脱大衆車、ミドルサイズの上級志向モデルとなっています。


カローラやクラウンのような岩盤支持層を持つ人気の長寿モデルは、ユーザーの若返りと新しいユーザーの獲得が大命題です。最新のカローラやクラウンを見ても、“手を変え、品を変え”と苦労しているのがよく分かりますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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