鉄道でロータリーと言えば除雪車! 最後のロータリー除雪車DD14の撮影会が開催。ほかにロータリー除雪車を見られる場所は?

■国内最後のロータリー除雪車DD14形310号機

JR東日本盛岡支社は、盛岡車両センター青森改造基地(旧青森車両センター)で留置されているロータリー式除雪用ディーゼル機関車DD14形310号機の撮影会を、9月8日・9日に開催します。DD14形の撮影会は2023年5月25日・26日、6月1日・2日に続く第2弾です。

5・6月に続き、9月の一般公開が決まったロータリー式除雪用ディーゼル機関車DD14形310号機(2009年に撮影)
5・6月に続き、9月の一般公開が決まったロータリー式除雪用ディーゼル機関車DD14形310号機(2009年に撮影)

ロータリー除雪車は羽根車(投雪ローター)を使用して雪を遠くに飛ばす除雪車です。DD14形は1960〜1979年に43両が製造されました。機関車本体と脱着式ロータリーヘッドで構成されていて、冬は除雪、冬以外は入換等に使用する事ができました。

ロータリーヘッドの先端には雪をかき寄せるウイングを備え、前方にかき寄せローター、後方に大型投雪ローターを配置したロールバー形を採用していました。

DD14形310号機のロータリーヘッド。手前にかき寄せローター、奥に大型投雪ローターが見えます(2010年に撮影)
DD14形310号機のロータリーヘッド。手前にかき寄せローター、奥に大型投雪ローターが見えます(2010年に撮影)

そんなDD14形ですが、老朽化により除雪用モーターカーに置き換えられて引退が進みました。現在は310号機のみが車籍を残しているものの、すでに使用されてはいなくて、盛岡車両センター青森改造基地の検修庫内に留置されています。

撮影会第2弾の開催日時は9月8日・9日。両日とも第1部(13時〜15時30分)・第2部(16時30分〜19時)の2部に分けて開催します。

DD14形にDE10形を連結した状態でさまざまな角度から撮影することができ、DD14形の運転台・機関室の見学をすることができます。また、第1弾ではなかった検修庫外での撮影もできます。

募集人数は各部先着10名(中学生以上)、参加費用は40,000円。JRE MALL 盛岡支社ページより8月7日10時から申込ができます。プレスリリースでは青森改造基地でDD14形を撮影できる最後の機会とのことですので、興味がある方は早めに申し込みましょう。

●国内で見ることができる保存ロータリー除雪車

DD14撮影会に申し込めなかった人のために、国内で保存されているロータリー除雪車を紹介したいと思います。

現存最古のロータリー除雪車は北海道の小樽市総合博物館で保存されているキ600形601号です。

小樽市総合博物館で保存されているキ601
小樽市総合博物館で保存されているキ601

1923年に日本初のロータリー除雪車としてアメリカから輸入されたユキ300形2両のうちの1両。1928年にキ300形に形式を変更し、1941年にキ600形に再び形式を変更しました。キ600形は自走することができず、機関車に推進されて使用しました。

キ600形604号は国産ロータリー除雪車としては現存最古の車両で、1929年にキ304として製造されました。現在は北海道名寄市の名寄市北国博物館で保存されています。

名寄市北国博物館で保存されているキ604
名寄市北国博物館で保存されているキ604

当時のロータリー除雪車は線路脇の雪壁を崩して線路上にかき寄せるマックレー除雪車と組み合わせて使用されていました。マックレー除雪車は機関車にけん引されて使用していたので、機関車+マックレー除雪車+ローターリー除雪車+機関車の「キマロキ編成」で使用されました。北国博物館は国内で唯一「キマロキ編成」を見ることができます。

北国博物館では「キマロキ編成」で保存しています
北国博物館では「キマロキ編成」で保存しています

キ620形はキ600形のモデルチェンジ版として戦後に登場。1948年に製造されたキ621号が福島県西会津町の如法寺で保存されています。

福島県西会津町の如法寺で保存されているキ621
福島県西会津町の如法寺で保存されているキ621

SL時代のロータリー除雪車として本州で保存されているのはこのキ621号だけです。

ロータリー除雪ディーゼル機関車のDD14形は青森の310号機以外に保存機があります。北海道三笠市の三笠鉄道記念館の1号機、北海道北見市内の個人宅(ただし公道から見ることが可能)の312号機、小樽市総合博物館の323号機、新潟県新潟市の新津鉄道資料館の332号機の4両です。

日本最強のロータリー除雪車DD53形も現存していて、1号機が群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むらで保存されています。

碓氷峠鉄道文化むらで保存されているDD53形1号機
碓氷峠鉄道文化むらで保存されているDD53形1号機

DD53形は本線用大型ディーゼル機関車DD51形をベースとしていて、除雪能力はDD14形を凌駕する最大14000t/hを誇りました。しかし強力すぎたことが逆に徒となり3両のみの製造に終わっています。DD53形は日本離れした車体デザインで人気がありました。現在もその姿を見ることができるのはありがたいことです。

最後の撮影会となるDD14形310号機も願わくばどこかで保存して貰いたいものです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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