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■最速で車内を快適にするカーエアコン術とは?
いよいよ本格的な夏に突入。2023年7月12日には東京都八王子市で39.1℃を記録するなど、最近は危険とすらいえる猛暑が続いています。こんなとき、炎天下の野外に長時間駐車し車内に戻ると、熱がこもっていて具合が悪くなりそうになりますよね。
そして、そんなときには一刻も早く車内を冷やしたいものですが、クルマのエアコンを使っても「なかなか温度が下がらない」と困っている人も多いはず。では実際に、どうすれば短時間で車内を快適な温度にすることができるのでしょうか?
ロードサービスを手掛けるJAF(日本自動車連盟)が行った実験によると、実は意外に簡単な方法があることが判明したので、紹介します。
●最も早く効果的だったのは「エアコン+走行」
今回紹介するJAFの実験は、同じミニバン5台を用意し、車内温度が55℃になったタイミングで、それぞれ違う方法で温度低下に挑戦するというもの。実験パターンは以下の5つです。
1.ドア開閉
エアコンは使わず、助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉して車内の熱気を逃し、温度変化を測定
2.冷却スプレー
エアコンは使わず、冷却スプレーをシートに10秒ほど吹きかけ、3分間の温度変化を測定
3.エアコン(外気導入)
窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を外気導入にし温度はLo(最低)に設定、10分間の温度変化を測定
4.エアコン(内気循環)
窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を内気循環にし、温度はLo(最低)に設定、10分間の温度変化を測定
5.エアコン+走行
窓を全開にし、クルマのエアコン(オート)を外気導入にし、温度はLo(最低)に設定して走行。2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして3分間走行し、温度変化を測定
以上の実験のうち、最も早く車内温度を下げることができたのは、5.の「エアコン+走行」。5分後に28.0℃まで温度が下がっています。
なお、ほかの実験では、
3.の「エアコン(外気導入)」では10分後に29.5℃
4.の「エアコン(内気循環)」では10分後に27.5℃
と、車内を「エアコン+走行」に近い温度にするには倍の時間が掛かっています。
また、エアコンを使わない実験では
1.の「ドア開閉」で47.5℃
2.の「冷却スプレー」で3分後に50.1℃
と、そもそもエアコン使用時よりも温度を下げることができませんでした。
●早く冷やせてお財布にも優しい
では、なぜ5の「エアコン+走行」が最も短時間で効果的だったのでしょうか?
おそらく、まず最初に、窓を開けてエアコンの外気導入も併用し走行したことで、車内の暑い熱をできるだけ外に逃がしたことでしょう。そして、その後に窓を閉め、内気循環でエアコンの冷気を車内に循環させたことで、車内が冷えやすくなったのでしょうね。
ちなみにJAFでは、この方法は「短時間で温度を大きく下げられるので、燃料の消費や排ガスも抑えられ、環境面でもメリットが多い」と言及しています。
確かに、窓を閉めてカーエアコンを「強」にし、設定温度も下げるなどでガンガンに効かせると燃費は落ちますが、この方法ならさほどガンガンにする必要もないので、燃料の消費も抑えられそうです。
特に最近はガソリン代も高騰していますから、早く冷やせるだけでなく、お財布にも優しいということ、また、排ガス抑制にもつながることで、結果的に環境保全にも少しは貢献できそうと、いいことずくしですね。
●ハンドルやダッシュボードなどには注意
ただし、エアコンを内気循環にしたまま長時間走行すると、車内の二酸化炭素濃度が高くなり、疲労感の増加や注意力の低下、眠くなったり頭痛がする場合もあるというデータもあります。
車内が冷えたら外気導入へ切り替え、渋滞路やトンネルなど車内に排ガスを入れたくない時はまた内気循環にするなど、適度に切り替える方がいいでしょう。
またJAFでは、ほかにも注意点として「車内温度が下がっても、ハンドルやダッシュボードなどに熱が蓄積していて、あまり温度が下がっていないことがある」ことを指摘。それらを触る際には十分注意することを呼びかけています。
さらに「高温になっているチャイルドシートの表面やベルトの金具で、子どもが火傷を負う事例もある」ことにも言及。子供を乗せる際などにも十分に注意をすることを推奨しています。
ダッシュボードの温度をできるだけ上昇させないためには、たとえば、駐車する際にフロントウインドウなどにサンシェードを置いておくといいようです。また、車内の温度上昇を可能な限り抑えるには、できるだけ日陰に駐車することも効果的だといわれています。
いずれにしろ、炎天下の野外で長時間駐車する場合は、車内の温度はかなり上がってしまうもの。駐車時や走行前には、さまざまな注意も必須といえそうです。
(文:平塚直樹 *写真は全てイメージです)