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■1分44秒台の攻防でのトップからグリッド最後尾への転落
2023年6月3日(土)、三重県の鈴鹿サーキット行われた2023 AUTOBACS SUPER GT第3戦『SUZUKA GT 450km RACE』のGT500公式予選。
ミシュラン勢とダンロップ勢がQ1で沈み、ヨコハマ勢とブリヂストン勢の戦いとなったGT500予選Q2。
24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zが1分44秒320でトップタイムとなり、続く19号車 WedsSport ADVAN GR Supraとのヨコハマ勢の間に割り込んできた、36号車 au TOM’S GR Supraのブリヂストン勢。
という熱い戦いとなった予選Q2でしたが、予選後の再車検でリアライズコーポレーション ADVAN Zが車検不合格、予選タイムを全て抹消され、GT500の最後尾グリッドから決勝レースを戦うという展開となってしまいました。
正式予選結果としては、ポールポジションが au TOM’S GR Supra、予選2位がWedsSport ADVAN GR Supraとなりました。
●「ガスバック容量違反」ってなに?
リアライズコーポレーション ADVAN Zが車検不合格となった理由として予選のリザルトに掲げられているのが、GT500 Technical Regulaton.1.6.1 「ガスバック容量違反」。
「ガスバック容量違反」という文言は分かりにくいと思いますが、要するに燃料タンクの容量違反ということになります。
GT500マシンは、燃料タンクの容量が100Lを上限とするということになっていますが、すべてのGT500マシンは、100Lよりも少し大きい容量の燃料タンクを搭載しています。この燃料タンクに対しピンポン玉のような詰め物をして、上限である100Lの容量としているのが実情です。
リアライズコーポレーション ADVAN Zのドライバーである平手晃平選手のTwitterによると、その容量オーバーの数値はペットボトル1本分とのこと。
決勝レースでは満タンにすることもあるでしょうが、予選では少しでも車両を軽くし、タイムを良くしたいという狙いから、必要最低限の燃料しか搭載せず、タンク容量で100Lを超えていたとしても予選タイムには一切関係ありません。
しかし、車両規定としては違反であるために車検不合格となり、予選タイムが抹消となることは仕方ないこととはいえ、同情を誘う内容とも言えます。
決勝レースに際しては、当然、燃料タンクの容量を再調整して臨みますので、指摘箇所は修正済みとなります。
●過去にもあった燃料タンク容量違反
ガスバック容量違反としては筆者の知る限り、スーパーGTではリアライズコーポレーション ADVAN Zが初めてのペナルティだと思われます。が、燃料タンク容量違反としては2012年8月18日のスーパーGT第5戦 ポッカ1000kmレースの予選で、GT300の66号車 triple a vantage GT3がペナルティを受けています。こちらも100L上限のところが、実際はそれ以上の容量であったとのこと。
過去の事例から11年を隔てて、これまで同様の違反が無かったことから、リアライズコーポレーション ADVAN Zの場合もかなりレアケースなペナルティと見ることが出来ますが、車両規定であるため違反はタイム抹消という重い罰を受けてしまいます。
この予選の大波乱や決勝レースの赤旗終了など、かなり荒れた展開だった第3戦鈴鹿でしたが、次戦の富士100LAPでは、少なくとも赤旗終了のような大きなアクシデントの無いようなレースを期待して止みません。
(文・写真:松永 和浩 )