目次
■海外メーカー製の消防車も展示
2023年6月15日(木)~18日(日)まで、東京ビッグサイトで行われていた「東京国際消防防災展2023」には、たくさんの消防車が展示されていましたので、その中から何台かピックアップしてみましょう。
テイセン(帝国繊維)は、屋内と屋外にブースを設置して消防車を展示しました。屋内でひときわ目立ったのは、ローゼンバウワーの電気消防車RTです。
ローゼンバウワーはオーストリアのメーカーで、2020年秋からEV消防車RTを発売しています。容量の132kWh(66kWh?2)ボルボ・ペンタバッテリーを搭載し、130kWのモーターを2個搭載。バッテリーの容量が不足した場合に備えて、BMW製3L 6気筒クリーンディーゼルエンジンを搭載しています。
テイセンの屋内ブースにはポンプ付救助工作車HBも展示されていました。
救助工作車は豊富な資機材とウインチを搭載し、消火・救助現場で隊員のサポートを行う消防車。ポンプ付救助工作車は、テイセンのバス型救助工作車HBをベースに、1600Lの水槽とポンプを搭載して消火活動も行えるようにしたのが特徴です。
テイセンの屋外ブースには大型化学高所放水車を展示。
モリタのインテグレートワンと同じく、高所放水車と大型科学車、原液輸送車の機能を1台にまとめた消防車です。シャシーはメルセデス・ベンツのエコニック2635を使用しています。
メルセデス・ベンツのエコニック2635はワイ・エンジニアリングのブースに展示されていました。
ホイールベースは3.45/3.9/4.2/4.5/4.8mの5タイプで、全長はホイールベース+4520mmです。全軸エアサスを採用していて、-40〜+160mmの範囲で車高を調整可能。後後輪も操舵できて、最小回転半径は14.8〜19.1mとなっています。
また、シングルキャビンながら大人4人が並列乗車できる、国内唯一のハイキャビンとしているのも特徴です。
メルセデス・ベンツと言えば、ウニモグの多目的災害支援車が舟山のブースに展示されていました。
渡河能力水深1.2m、登坂能力45度という高い走破性はそのままに、PTO発電機、投光器、排水ポンプを搭載。オプションで排土板やクレーンを装備することもできます。
●現場に即して開発した緊急車両
長野ポンプは、消防団向けのCD-I型消防ポンプ自動車を展示しました。
特徴はフレームにGFRPを採用したことで、従来の鉄製フレームで問題となっていた重量および腐食の問題をクリア。CD-I型でありながら、1500Lの水槽を搭載しても車両総重量5t未満を実現しています。
トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、緊急車両用路面描画ランプ コンセプトと、アクティブ制御防振架台を出展。
緊急車両用路面描画ランプ コンセプは、車幅を示す光を点滅させるもの。救急隊員目線では、一目で通り抜け可能か分かるほか、周囲の目線からはどこから救急車が来るのか分かります。
アクティブ制御防振架台は、救急車の加減速、旋回、路面凹凸をセンシングして、ストレッチャーの姿勢をより適切に制御。これにより運転難易度を低減させることができます。
●東京消防庁や在日米軍の消防車も展示
東京消防庁からは多数の緊急車両が展示されました。屋内には燃料電池車(FCEV)のトヨタ・ミライと、PHEVの三菱エクリプスクロスの査察広報車、EV特殊救急車が展示されました。
査察広報車は、災害現場での情報収集や、広報活動の支援を目的とした車両。エコをアピールする上では、燃料電池車やPHEVが最適といます。
EV特殊救急車は2019年度に製作され、池袋消防車に配備されています。バッテリー容量は33kW、航続距離は最大130kmです。また、電動ストレッチャーと電動引込式のストレッチャー固定装置を搭載しています。
デモンストレーション会場には、全地形活動車もありました。
全地形活動車は、東京消防庁の即応対処部隊に配備されていて、広域的な自然災害が発生した際に先遣隊として直ちに出動して、情報を収集するとともに、後着隊の活動を見据えた活動拠点を形成します。
東京国際消防防災展2023には、在日アメリカ陸海空軍の消防車も展示されていました。
米海軍のポンプ自動車はデモンストレーションにも参加して、日米消防車の競演が見られました。
週末は家族連れの姿も多く見られ、子どもたちにはいい思い出になったのではないでしょうか。
(ぬまっち)