12台の限定車「A110サン レモ 73」やレジェンドラリーマシンから電動コンセプトまでアルピーヌが聖地ディエップに集合!

■アルピーヌの故郷ディエップに集結

フランスはディエップという町に来ております。

オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー
オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー

ここは、ドーバ海峡にほど近いイギリス海峡に面している港町で、主な産業は漁業と観光、ホタテの水揚げでフランス随一の漁港であり、ムール貝をはじめとするシーフードが名物となっています。

そして、忘れてはならないのが、アルピーヌの本拠地であること。

アルピーヌの創設者となるジャン・レデレが、1950年代初頭、ルノーのディーラー経営時代に、ルノー4CV(日本では日のルノーとしてノックダウン生産されタクシーでよく使用されていました)をドライブし、モータースポーツで好成績を収めます。

アルピーヌA106
アルピーヌA106

ディエップは海辺の町ですが、くねくねした峠道で特に強かったことからブランド名に「高山」を意味するアルピーヌ(ALPINE)と名付け、セダンの4CVをベースにしたクーペボディの「A106」を1955年にリリース、自動車メーカーとしてスタートしました。

アルピーヌA108
アルピーヌA108

2+2クーペボディの「A108」などを経て、1962年には基本メカニズムを新しいルノーR8をベースとした「A110」(現在発売しているものでなく当時のもの)が登場することとなります。

アルピーヌA110ゴルディーニ(1963)
アルピーヌA110ゴルディーニ(1963)

「A110」はアルピーヌの名に違わず、山岳ラリーでますます成績を上げてゆき、1973年に開催された最初の世界ラリー選手権では、「A110 1800」が 1位、2位、3位、5位でフィニッシュ、初代WRCチャンプとなったのです。

アルピーヌA310 1800 Gr4(1976)
アルピーヌA310 1800 Gr4(1976)

その後、世界的な経済危機やオイルショック、他社の追い上げなどにより、1983年に「A310」、1991年に「A610」などをリリースするも、自動車メーカーのアルピーヌとしては1995年に生産を一旦終了します。そして、ルノーのスポーツ部門として、ルノー・スポールの開発、製造を請け負うこととなります。

ルノーとしてもアルピーヌブランドの復活を試み、2012年には、ルノー・アルピーヌA110-50を発表しますが、コンセプトカーのみでプロダクトモデルには至りませんでした。

ヘリテージカラーのA110
ヘリテージカラーのA110

そして2017年、現在のアルピーヌA110が発表され、多くのファンを再び生むことと成りました。

と、とても短く紹介すると上記のようなアルピーヌの歴史です。

今回、ディエップでは、アルピーヌのオーナーズ・クラブ「IDéA Association」主催によって、1973年WRC初代チャンピオンとなった記念として 「MEN、A TITLE、A LEGEND」と題したファンミーティングイベントが開催されています。

オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー
オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー
オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー
オーナーズクラブ主催のコマ図ラリー

フランス国内外から新旧「A110」や「A310」「A610」を始め、さまざまなアルピーヌが手掛けたスペシャルモデルが勢ぞろいしています。

A290_βとA110 E-ternité
A290_βとA110 E-ternité

さらに、2023年5月9日に英国ブリストルで発表されたばかりの電動車両「A290_β」や、2022年7月のF1フランスGPで発表されたピュアEVスポーツカーの「A110 E-ternité」も展示され、ファン主催のイベントながら、メーカーであるアルピーヌもしっかりフォローしており、今後のアルピーヌは電動化への足がかりとなるブランドとなることがわかります。

A290_β
A290_β
A110 E-ternité
A110 E-ternité

ちなみに、今後のアルピーヌのネーミングのルールは、例えば「A290_β」では最初の数字「2」は車両のサイズ、「90」はSUV等に使用され、ピュアスポーツ車には「10」の番号が与えられるそうです。βはコンセプトであるためで、市販になると外れるとのことです。

アルピーヌA4810コンセプト
アルピーヌの水素エンジンコンセプトカー「アルペングロー」
アルピーヌA4810コンセプト
アルピーヌの水素エンジンコンセプトカー「アルペングロー」

さらに、水素燃料エンジン搭載のコンセプトカー「アルペングロー」は、今後ル・マンへ挑戦するハイパーカーのデザインを示唆しているとも思われます。

イベントは2023年5月19〜21日まで。もしお近くにいらっしゃったら、ぜひ足を運んでみてください。美味しいシーフードとたくさんのアルピーヌがお待ちしているはずです。

(クリッカー編集長 小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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