au TOM’S GR Supraが魅せた神速のピットワークで第2戦富士を制す【スーパーGT 2023 GT500】

■au TOM’S GR Supraの坪井選手が魅せた怒涛のポジションアップ

5月4日(日)に富士スピードウェイで開催された、2023 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 450km RACEの決勝レース。

天候にも恵まれ絶好のレース日和。13:30のスタート時には気温22度、路面温度38度と、この季節にしては路面温度は高めに推移していました。

スタートラップの様子
スタートラップの様子

静岡県警察の白バイとパトロールカーの先導による交通安全啓発パレードに続いて1周のフォーメーションラップののち、100周のレースが始まります。

このレースは450kmのロングディスタンスで、給油を伴うピットインが2回義務付けられており、その動向にも注目が集まります。

2ラップ目の3位以降
2ラップ目の3位以降

スタートラップのTGRコーナーを制したのは、ポールポジションの100号車 STANLEY NSX-GT。

2番手は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、3番手に16号車 ARTA MUGEN NSX-GTと、予選順位通りに続きます。が、4番手には予選5番手だった24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zが、14号車 ENEOS X PRIME GR Supraを抜いて浮上してきます。

序盤のトップ争い
序盤のトップ争い

トップ集団のすぐ後ろでは、スタート時にTGRコーナーで順位を落とした予選6番手の36号車 au TOM’S GR Supraの坪井翔選手が、5周目のストレートでワイドになった8号車 ARTA MUGEN NSX-GTとWedsSport ADVAN GR Supraをアウトから一気に抜いていくという剛腕ぶりを見せて4位に浮上します。

2位まで浮上した際のau TOM'S GR Supra
2位まで浮上した際のau TOM’S GR Supra

その後、20周目のコカ・コーラーコーナーでリアライズコーポレーション ADVAN Zを抜いて3位浮上。30周目のストレートでは16号車 ARTA MUGEN NSX-GTをアウトから仕掛け、TGRコーナーで前に出て2位に浮上していきます。

au TOM'S GR Supraのピットの様子
au TOM’S GR Supraのピットの様子

31周目にSTANLEY NSX-GTと16号車 ARTA MUGEN NSX-GTが給油を伴うピットイン。ここでau TOM’S GR Supraがトップに立ちます。

そして、翌32周目にピットイン。このピット作業はドライバーチェンジ無しのためか、かなり素早い40.7秒! なんと、トップのままSTANLEY NSX-GTの前でレースに復帰していったのです!

●ドラチェンして36.3秒! 神速のピットワークで完全逃げ切りのau TOM’S GR Supra

1回目の給油ピットインにおいて、STANLEY NSX-GTの前でレース復帰したau TOM’S GR Supraは、完全に独走態勢となり2位以下を大きく引き離していきます。

2位を走行していたSTANLEY NSX-GTは、32周目に8号車 ARTA MUGEN NSX-GTにTGRコーナーで抜かれ3位に後退。16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは、1回目の旧作業でミスがあったとしてペナルティとなり勝負権を失います。特に、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは、前戦の岡山でもピットイン時の赤旗ライン違反でペナルティがあったので、2戦連続ペナルティとなります。

中盤の2位争い
中盤の2位争い
au TOM'S GR Supraのピットの様子
au TOM’S GR Supraのピットの様子

2位以下の順位が大きく変わる中、順調にトップを独走していくau TOM’S GR Supraは、62周目に2度目の給油ピットイン。ここで宮田莉朋選手にドライバーチェンジを行いますが、その時のピット作業時間はなんと36.3秒! 素早いなどという表現ではなく、神速! このピット作業時間とこれまでのリードにより、最終的には2位に28秒519もの大差をつけての堂々の優勝を飾りました。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

2位は2回目のピットの際に8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの前に出ていた100号車 STANLEY NSX-GTがそのままの順位で入ります。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT

終盤3番手にいた8号車 ARTA MUGEN NSX-GTに、ラスト9周目からバトルを挑んだのは17号車 ASTEMO NSX-GT。

そのバトルはファイナルラップ直前まで縺れ込みますが、その最後の最後、最終パナソニックコーナーで8号車 ARTA MUGEN NSX-GTはスローダウン! そのままファイナルラップをピットで迎えることとなり、3位は17号車 ASTEMO NSX-GTとなりました。

接触により順位を落としたリアライズコーポレーション ADVAN Z
接触により順位を落としたリアライズコーポレーション ADVAN Z

また、このホンダ同士のバトルの前を3位で走っていたリアライズコーポレーション ADVAN Zは94周目にGT300のマシンと接触しフロントカウルを破損。その影響で95周目にピットインしレースを終えてしまいます。

怒涛の追い上げから見事な独走。そして独走でも手を抜かないピットワークと、全てがかみ合っての優勝を果たした36号車 au TOM’S GR Supra。これまで常に同門トヨタ同士のライバルだった坪井選手と宮田選手がコンビを組んだ時の強さというものを、まざまざと見せつけられたかのようなレースでした。

優勝のau TOM'S GR Supraのドライバーと監督
優勝のau TOM’S GR Supraのドライバーと監督

次戦は6月3日(土)、4日(日)に鈴鹿サーキットで開催される2023 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 450km RACE。

GT500暫定表彰式
GT500暫定表彰式

開幕戦のZ、第2戦のGR Supraとここまでは優勝メーカーが分かれてきているところでのホンダの本拠地である鈴鹿サーキットでの第3戦。NSX-GT有終の美への一手がそろそろ見たいという気にもなってきます。


●スーパーGT2023第2戦 富士 GT500決勝結果

順位 ゼッケン 車名 ドライバー ラップ
1 36 au TOM’S GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 坪井 翔、宮田 莉朋 100
2 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴、牧野 任祐 100
3 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大、松下 信治 100
4 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也、山下 健太 100
5  3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正、高星 明誠 100
6 37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京、ジュリアーノ・アレジ 100
7 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生、ロニー・クインタレッリ 100
8 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛、中山 雄一 100
9 1 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴、ベルトラン・バゲット 100
10 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺、大津 弘樹 100
11 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀、大湯 都史樹 99
12 19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資、阪口 晴南  99
13 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路、石浦 宏明 99
14 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也、太田 格之進 99
15 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹、平手 晃平 95

(写真:吉見 幸夫 文:松永 和浩

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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