メルセデス・ベンツ「A180セダン/B180」は最後のガソリンバージョン?と清水和夫が大予想!「回すと気持ちいいルノーの1.33Lエンジン♪」

■メルセデス・ベンツ「A180セダン」「B180」に清水和夫が試乗

メルセデス・ベンツA180セダンとB180を清水和夫チェック!
メルセデス・ベンツA180セダンとB180を清水和夫チェック!

前回のメルセデス・ベンツGLC試乗に続き、今回はメルセデスのエントリーモデル、A180セダンとB180に試乗した国際モータージャーナリスト・清水和夫さん。

「採算取れないから、ガソリンのA/Bクラスはこれで最後!って気がする」って、マジですか!?

そんな、最後のフェイスリフトかもしれない2台のメルセデス・ベンツ試乗動画、さっそくチェックしていきましょう。


●「A180セダン」は回すと気持ち良いルノーの1.33Lエンジン搭載、メルセデスのエントリーモデルとして最適!

さぁ、新型Aクラス、A180セダンです。メルセデス・ベンツのベーシックモデルという感じ。

メルセデス・ベンツ A180セダン
メルセデス・ベンツ A180セダン

エンジンは1.33Lのガソリンですけど、これは確かルノーと共同開発しているエンジンです。本当に下(低回転域)のレスポンスとトルクがあって、出力はキリのいい100kw(136ps)/200Nm。トルクでいえば200Nmあるから十分と言えば十分ですね。2L NAくらいのトルクあるし。それがダウンサイジングで1.33L、非常に乗りやすいクルマです。

第一印象は、本当に質実剛健な、余分なものも無く、というような感じ。意外とキャビン、広いんだよね。インテリアもブラック基調で質素。エクステリア、インテリアとも細かいところがかなりアップデートされています。

驚いたのは、ステアリング(に操作部のある)のADASスイッチがSクラスから全部共通なので、迷いなく操作できます。右ハンドルは右手の親指で一発で速度を合わせ、ACCがセットできます。

各種操作系の使い勝手もいいA180セダンのコクピット
各種操作系の使い勝手もいいA180セダンのコクピット

今、ココは50km/h制限なので50km/hに設定して50km/hでワインディングを上がっていきます。今は路面が綺麗なところを走っているので、ロードノイズが静かです。が、古い路面になると多少、ロードノイズがあるんだけどね。

GLCと比べると可哀想だけど、音とかロードノイズとか乗り心地では、やっぱり圧倒的にCクラスのほうがいいね。これはリヤがトーションビームでフロントがストラットですけど。

でもまぁベースモデルでいえば、フォルクスワーゲン・ゴルフと同じようなカテゴリーなので、このA180セダン、メルセデス・ベンツのエントリーモデル、というか全然エントリーという感じじゃなくて、やっぱり『プレミアムブランドのエントリー!』という感じですね。そこは、メルセデスisメルセデス、という感じ。

●ガソリンのA/Bクラスは採算取れないから終わる?

1.33Lエンジンはルノー製のOEM
1.33Lエンジンはルノー製のOEM

少し前に、このA、Bクラスの生産が終わる!?みたいな報道が一部、流れたんです。が、決して無くすということじゃなくて、多分ルノーと共用していくのかなって気がします。エンジン横置きのガソリンエンジンは、ルノーとOEM契約をするのではないか、と。大きいほうのエンジン車とバッテリーEVが、メルセデスのこれからのコアビジネスになっていくと思います。

30歳代の若いご夫婦とかファミリーとか、あるいは『もう大きいクルマはいいや!』っていうような60歳以上の初老のご夫婦なんかは、このAクラスセダン、イイと思いますね。ゴルフバッグも多分、入るし。個人的には、このクラスだったらやっぱり四駆が欲しいなって思うんですけど。

タイヤサイズは205/55R17
タイヤサイズは205/55R17

この1.33Lエンジンはサーキットでちょっと走ったことがあるんですけど、回すとね、すっごい気持ちイイんだよね。意外と高回転で6000rpmまでシュンッ!って回る。レスポンスも良くて気持ちのいいエンジンです。だから、ただ燃費がいいっていうだけのガソリンエンジンではないです。

●B180、個人的にはディーゼルがいいんだけど、ね

B180は5ドアハッチバックなので使い勝手もヨシ
B180は5ドアハッチバックなので使い勝手もヨシ

今乗っているのは、B180です。A180セダンとエンジンは同じ、ルノーから来ている1.33Lのガソリンです。横置きで、トランスミッションは7速DCT。内外装は細かく変わっていますね。A180セダンと違い、コチラは5ドアハッチなので、使い勝手もいい。

個人的には、このBクラスのディーゼルが意外といいかなぁ~♪なんて、前から自分の購買リストには入れてあるんです。

このエンジン、レスポンスいいし回すと元気がいいんだよ。加速の助走路が短いところは、やっぱり加速性能が良くないと、安心して高速道路の合流ができにくいですから。

今、ここは70km/h規制なので、右手でACCをクリック一発でセットできます。

ロードノイズはタイヤ次第で何とかなる
ロードノイズはタイヤ次第で何とかなる

乗り心地、音、振動はやっぱりGLCには敵わないですけどね。タイヤのロードノイズは、古い路面でもタイヤのほうで何とかなるんです。

A180セダンがベーシック、このB180が5ドアのハッチバックのベーシックモデルということになります。

まぁGLCはいいんだけどね、値段が800万円から上になってしまうので、500万円前後で狙うんだったら、このAクラス、Bクラスのこの辺のディーゼルがいいかも。でも、このクラスだったらガソリンでいいんじゃないかなって気もします。

実は、我が家には7万kmくらい走った、1モデル前の1.8Lが載ったGLAがあるんですけど、やっぱり新しいほうがいろんな意味で魅力を増しています。ただ、前のモデルも悪くなかったので、このA、Bクラスに関しては、フルモデルチェンジではなくて、いわゆるフェイスリフトなので、そんなに大きな差はないかな。

インフォテインメント系はメルセデス、進化してるね
インフォテインメント系はメルセデス、進化してるね

こういうカーナビとか細かいインフォテインメントと、メルセデス・ベンツのMBUX(Mercedes Benz User Experience)、そういったところはかなりアップデートしているから、クルマの走る、曲がる、止まる以外のところは、かなり進化しています。

●A180セダン/B180試乗総括! このクラスは日本車の勝ち!?

今日は、フェイスリフトしたAクラス、Bクラスに試乗しました。メルセデス・ベンツのエントリーモデルとすれば、悪いクルマではないですね。

メルセデス・ベンツA180セダン/B180×清水和夫
メルセデス・ベンツA180セダン/B180×清水和夫

ライバルは、ドイツ車という意味で言えば、エンジン横置きのFFベースですから、フォルクスワーゲン・ゴルフ。今、A/Bクラスをたすと、全世界でメルセデス・ベンツは意外と上手くいっています。Aクラスは若い人が買うようなイメージで、Bクラスのほうはもうちょっと年齢の高いファミリーカーというイメージ。

しかし、半年くらい前に衝撃的なニュースがあって、2025年頃に、このクルマのエンジン車をもう生産しません!みたいなニュースが駆け巡っているんですね。いずれにしても、エンジン車から電動化に舵を切るということは、もう明確にメルセデスも言っているんです。

ただ、電気も水素も無い地域もあるので、エンジン車は残るでしょう。

メルセデス・ベンツ A180セダン
メルセデス・ベンツ A180セダン

だけど、このクラスはなかなか収益が取れなくて…。この上のGLCとか、ガソリン車でもEクラスベースのほうは、まだまだ売っても利益があるんですけど、このA、Bクラスは台数が稼げても、利益的には得られにくいんですね。

そういうことで、エンジニアリングのリソースを、バッテリーEVとか次世代のクルマにシフトしようということもあり、このクラスはどうもこの先、2025年から先に次のフルモデルチェンジがあるのか無いのか…。

ま、そんなことが言われていますから、2023年度でみれば、これが最後のフェイスリフトなんじゃないかなって気がしています。

実際、乗ってみると、サスペンションとかエンジンとか、横置きトランスミッションですから、この辺はやっぱり日本のプリウスとかホンダのハイブリッドのほうが、圧倒的にパワートレーンはいいんです。シリーズハイブリッド的に乗れたり、気持ちがいいし、燃費も良い。ということで、ちょっと競争力は日本車のほうが、このセグメントは強い。

メルセデス・ベンツ B180
メルセデス・ベンツ B180

ただ、インフォテインメントとかメルセデス・ベンツMBUXとか、デジタルコクピットみたいなところ、そこはやっぱりメルセデスは上手で、Sクラスから来たような技術をこういったクラスにも落としてきている。そこの部分が今回、新しくなっているんです。

だけど、乗り心地とかはね、あんまりやっぱ進化はしていないですよね。サスペンションもストラットとトーションビームですから、まぁ、これ以上やりようがないといえばそうなんだけど。

エンジンは1.33Lはルノーからもらっているガソリンエンジン。ディーゼルも2Lがあるんですけど、GLCと同じ2Lのディーゼルとはちょっと違ったタイプなので、それも1世代前のタイプなのか。

そういう意味では、最後のAクラス、Bクラスになるのかな?って気はしなくはないんです。

A/Bクラス、最後のガソリンエンジンに乗っておくのもアリだな
A/Bクラス、最後のガソリンエンジンに乗っておくのもアリだな

しかし、400~500万円で買えるエントリーモデルだからね。Cクラスになると、どうしても600、700、800万円いっちゃう。最後にコレを買って乗っておくと、中古車市場ではこれから値段が上がっていくかも? そういった期待は、ユーザー的にはちょっとあります。

ま、これが最後のエンジン車のA/Bクラスじゃないかな?


ガソリンでは最後のモデル…とか聞くと、なんだか寂しい感じもします。気軽に乗れるメルセデス・ベンツの代表が、このA/Bクラスですからね!

全ての清水和夫さん試乗インプレッションは動画 ↓ ↓ ↓ でチェックしてください!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

【SPECIFICATIONS 】

メルセデス・ベンツ A180セダンの主なスペック
メルセデス・ベンツ A180セダンの主なスペック

■Mercedes Benz A180セダン
全長×全幅×全高:4560×1800×1445mm
ホイールベース:2730mm
トレッド(前/後):1570/1555mm
カタログ重量:1370kg
最小回転半径:5.0m
乗車定員:5名
エンジン型式/種類:282/直列4気筒DOHC
内径×行程:72.2×81.3mm
総排気量:1331cc
エンジン最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
エンジン最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
燃料タンク容量:43L/無鉛プレミアム
燃費 WLTCモード:15.4km/L
駆動方式:前輪駆動
サスペンション(前/後):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:205/55R17
車両本体価格(税込):5,050,000円

メルセデス・ベンツ B180の主なスペック
メルセデス・ベンツ B180の主なスペック

■Mercedes Benz B180
全長×全幅×全高:4425×1795×1565mm
ホイールベース:2730mm
トレッド(前/後):1570/1560mm
カタログ重量:1430kg
最小回転半径:5.0m
乗車定員:5名
エンジン型式/種類:282 /直列4気筒DOHC
内径×行程:72.2×81.3 mm
総排気量:1331cc
エンジン最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
エンジン最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
燃料タンク容量:43L/無鉛プレミアム
燃費 WLTCモード:14.9km/L
駆動方式:前輪駆動
サスペンション形式(前/後):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:205/55R17
車両本体価格(税込):5,370,000円

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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