東武鉄道の新しいフラッグシップ特急車両、N100系スペーシアXの豪華すぎる全貌が明らかに!

■日光・鬼怒川観光の切り札

7月15日から運行を開始するN100系スペーシアX
7月15日から運行を開始するN100系スペーシアX

東武鉄道は、7月15日(土)から日光・鬼怒川観光のフラッグシップ特急として運行を開始するN100系スペーシアXを報道陣に公開しました。

スペーシア(SPACIA)は1990年から運行している100系から受け継いだ愛称で、空間・宇宙を意味するSPACEにIAを組み合わせた造語です。

1990年から活躍している100系スペーシア
1990年から活躍している100系スペーシア

XはTransformation=変革を意味していて、100系スペーシアからの変革を表現すると同時に、新型特急による旅の体験(Experience)、価値(Excellent、Extra、Exciting)という意味を持たせています。

さらにスペーシアXが核となって、文化や人々が交わり(cross)縁をつくる存在となりたいという願いが込められているそうです。

車体カラーは白。先頭車の側窓は沿線の伝統工芸品を連想させるデザインとなっています
車体カラーは白。先頭車の側窓は沿線の伝統工芸品を連想させるデザインとなっています

スペーシアXの車体デザインは、100系スペーシアの流線形状やラグジュアリーな面影を残しつつ、フォルムを現代に進化させています。

車体カラーは日光東照宮陽明門に塗られた「胡粉」に着想した「白」で、日の当たり方によって色味が違った印象になるのが特徴です。また、先頭車の側窓は鹿沼組子や江戸の竹編み細工といった、沿線の伝統工芸品を連想させる物としました。


●座席は6種類設定

スタンダードシートは2+2列配置
スタンダードシートは2+2列配置

スペーシアXは、日光・鬼怒川温泉側から1〜6号車で組成した6両編成です。一番ベーシックな座席はスタンダードシートで、3〜5号車に設定。リクライニングシートを2+2列で配置しています。

スタンダートシートのシートピッチは1100mmで、新幹線の普通車よりも60mmも広いのが特徴。また、全席にコンセント、背面テーブル、ドリンクホルダー、インアームテーブルを備えています。

スタンダードシートの座席
スタンダードシートの座席

浅草〜東武日光・鬼怒川温泉間のスタンダートシート料金は、1940円+運賃(1400円・1590円)となります。


プレミアムシートは1+2列配置です
プレミアムシートは1+2列配置です
プレミアムシートの座席
プレミアムシートの座席

2号車はプレミアムシートで、電動リクライニングシートを1+2列で配置しています。

シートピッチは1200mmで、新幹線のグリーン車よりも40mm広くなっています。また、バックシェル構造を採用していて、後席の人に気を使わずにシートをリクライニングさせることができます。全席にコンセント、インアーム式大型テーブル、読書灯を備えています。

浅草〜東武日光・鬼怒川温泉間のプレミアムシート料金は2520円+運賃です。

コックピットラウンジ
コックピットラウンジ

1号車はコックピットラウンジで、ローテーブルとソファを配置。運転台越しの展望も楽しめます。

ソファは1人用、2人用、4人用を設定。特別座席料金は1人あたり200円をスタンダードシート料金に加算します。

1号車のカフェカウンター
1号車のカフェカウンター

コックピットラウンジにはカフェカウンターを設置し、生ビールや挽き立てのコーヒー、スナックなどを提供します。


2人用ボックスシート
2人用ボックスシート

5号車には半個室仕様の2人用ボックスシートを2組配置しています。

座席幅は広くしていて、大型側テーブルとコンセントを備えています。特別座席料金は1室定員2名分で400円を加算します。

4人用コンパートメント
4人用コンパートメント

6号車には定員4人のコンパートメント4室と、定員7人のコックピットスイート1室を設置しています。コンパートメントは100系スペーシアの設備を踏襲したものです。

7人用コックピットスイート
7人用コックピットスイート

室内には折り畳み式の大型テーブルを囲むようにコの字型のソファを配置しています。特別座席料金は1室6040円を加算します。

コックピットスイートは6号車の運転室側に設置、定員7人で、ソファと人工大理石のテーブルを配置しています。

特別座席料金は1室1万2180円ですが、1人あたりで計算すると1740円+1940円=3680円と、プレミアムシートとの差額は1160円程度なので、かなりお得な気がします。

車いすスペースと車椅子対応座席
車いすスペースと車椅子対応座席
車いす対応大型トイレ
車いす対応大型トイレ
多目的室
多目的室


バリアフリーにも対応していて、5号車には車椅子対応座席2脚と、車いすスペースを2ヵ所、車いす対応大型トイレと多目的室を設置しています。

●東武のフラッグシップ特急の歴史

1960〜1991年まで活躍した1720系DRC
1960〜1991年まで活躍した1720系DRC

日光・鬼怒川観光のフラッグシップ特急であるスペーシアXのルーツは、1960年に登場した1720系DRC(デラックスロマンスカー)です。

当時、東武鉄道は日光観光を巡って、国鉄と乗客を奪い合っていました。ライバルの国鉄は、1959年に特急並みの設備を備えた157系デラックス準急「日光」の運転を開始。1720系は157系に対抗して、豪華な内装を採用しました。

1720系DRCの座席
1720系DRCの座席

座席は、157系の非リクライニングシートに対抗したリクライニングシートを採用。シートピッチも157系普通車の910mmよりも広い1100mmとしました。

2・5号車にはビュッフェ、4号車にはサロンルームを設置。サロンルームのジュークボックスも豪華さを感じさせました。DRCの導入で東武は国鉄よりも優位に立ち、国鉄の「日光」は1982年で廃止されました。

バブル期に登場した100系スペーシア
バブル期に登場した100系スペーシア

DRCの後継となるフラッグシップ特急車両100系スペーシアは、バブル期の1990年に登場。DRCのコンセプトを受け継ぎつつ、設備をグレードアップしています。

100系スペーシアの座席(リニューアル後)
100系スペーシアの座席(リニューアル後)

座席はDRCのリクライニングシートをグレードアップ。シートピッチはDRCの1100mmを踏襲。これは、スペーシアXのスタンダードシートにも受け継がれました。

100系スペーシアの個室(リニューアル後)
100系スペーシアの個室(リニューアル後)

6号車には4人用個室を東武としては初めて設置しました。

DRCに設置されていたビュッフェはスペーシアにも受け継がれ、3号車に設置されました。

100系スペーシアに設置されていたビュッフェ
100系スペーシアに設置されていたビュッフェ

ビュッフェの隣にはサービスカウンターも設置。現在、ビュッフェは営業していません。

100系スペーシアはデビュー後33年にわたり、フラグシップとして活躍してきました。2016年から特急車両500系リバティが導入されましたが、フラッグシップの”ザ”はスペーシアが守ってきました。

500系リバティ
500系リバティ

33年振りにフラッグシップ特急となるN100系スペーシアXは、7月15日から毎日運行の1往復と、木・金・土曜日と休日運行の1往復が設定されます。

【下り】
スペーシアX1号 浅草7時50分→東武日光9時39分(木・金・土休日運行)
スペーシアX3号 浅草9時→東武日光10時50分(毎日運行)
スペーシアX5号 浅草13時→東武日光14時48分(木・金・土休日運行)
スペーシアX7号 浅草14時→鬼怒川温泉16時3分(毎日運行)

【上り】
スペーシアX2号 東武日光10時45分→浅草12時35分(木・金・土休日運行)
スペーシアX4号 東武日光11時55分→浅草13時45分(毎日運行)
スペーシアX6号 東武日光15時43分→浅草17時35分(木・金・土休日運行)
スペーシアX8号 鬼怒川温泉16時37分→浅草18時45分(毎日運行)

特急券の発売は6月15日(木)から駅、旅行会社、インターネットで発売します。運転開始からしばらくはチケットの入手が困難になるかもしれませんが、今後の東武特急の発展に期待したいところです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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