■スマートなハイブリッド
「レクサスLC」には、V8ガソリンエンジンの「LC500」とV6ガソリンエンジン+モーターのハイブリッド「LC500h」がある。
運転する楽しさでいえば、間違いなく「LC500」だろう。今や世界中を見まわしても稀有な存在となったV8自然吸気エンジンは、その官能性が魅力だ。
鋭く奏でる甲高い排気音は色気に満ち溢れ、ドライバーを陶酔させてくれる。回転が高まるにつれて、溢れんばかりに盛り上がるパワーが作り出す加速感もまた、高揚感を刺激するのだから、クルマ好きにはたまらない。
でも、ボクが選んだのはハイブリッドの「LC500h」だ。包み隠さずいえば、LC500hのパワートレインにはLC500ほどの艶っぽさはない。
先代レクサスLSに用意されていた「LS600h」など従来のハイブリッドに比べれば味わいがあるけれど、やはりマルチシリンダーのガソリン車にはかなわない。奏でる音だけでなく、加速の「伸び」や「キレ」もさみしいからだ。
だけど、あえてハイブリッドを選んだのには理由がある。スマートだからだ。
音もスマートだし、加速もスマート。刺激を求めるのではなく優雅に移動したいボクにとっては刺激よりもスマートさをもたらしてくれるハイブリッドのほうが合っていた。
●美しすぎる
「デザインもいいけれど、色も素敵。紺(ディプブルーマイカ)のボディに茶色(オーカー)の内装は大人っぽいオシャレ。華やかじゃないのがいいよね」
このLC500hのシックなカラーは、彼女のお気に入りだ。
ところで、レクサスLCのデビューは2017年3月だから、もう6年も前のことになる。しかしながら、デザインにまったく古さを感じさせないのは、あまりにも自由で伸びやかなデザインだからだろう。
ボクが一番気に入っているのは、リヤフェンダーの張り出し感だ。キャビン後方を絞り込んだデザインによる演出もあるとはいえ、ここまで張り出したリヤフェンダーの造形は美しすぎる。
そしてもうひとつ、細かいところだけれど、ドアを開けたときに、サイドステップがカーボンファイバーになっているのも誇らしい。
カーボンといえば軽くて強い素材で、レーシングカーや最新の飛行機などにも使われる。LCはルーフやドアインナーパネルにカーボンファイバーが使われている。それを感じさせる、さりげないオシャレだ。