カワサキの250ccスーパースポーツ「ニンジャZX-25R SE」が、クラス唯一の4気筒エンジンを最大49psにパワーアップ

■SFF-BP倒立フォークはプリロード調整付きに

二輪免許取り立ての若い初心者ライダーはもちろん、1980年代から1990年代中盤頃に流行したレーサーレプリカ・ブームを知るベテランまで、幅広い年齢層のフルカウル・スポーツバイク好きに好評なのが、250ccスーパースポーツ。

ニンジャZX-25R SEの2023年モデル
ニンジャZX-25R SEの2023年モデル

なかでもカワサキの「ニンジャZX-25R(Ninja ZX-25R)」は、クラス唯一の4気筒エンジンを搭載し、1万7000rpmもの高回転域も楽しめることで、心地よい吹け上がりやエキゾーストサウンドを堪能できるマシンです。

そんなニンジャZX-25Rの上級バージョン「ニンジャZX-25R SE」に、エンジンやフロントサスペンションなど、各部をアップデートした2023年モデルが登場。

エンジンは最大出力を45psから48psにアップさせたうえ、ラムエア過給時は最大49psまでパワーを増大させることが可能に。同クラスの国産モデルでナンバー1のパワーを、さらに更新しています。

●ニンジャZXシリーズのエントリーモデル

国内では2020年に登場したニンジャZX-25Rは、前述の通り、クラス唯一の249cc・並列4気筒エンジンを搭載することで、高回転での走りやエンジンサウンドが楽しめる250ccのスーパースポーツです。

ニンジャZX-25R SE KRTエディション
ニンジャZX-25R SE KRTエディション

ちなみに、カワサキのスーパースポーツモデルには、1000ccの「ニンジャZX-10R」や600ccの「ニンジャZX-6R」もラインナップ。シリーズのエントリーモデルとなるのがニンジャZX-25Rです。

カワサキは、欧米で発表した400cc・水冷4気筒エンジンの「ニンジャZX-4RR」も、国内導入することを公表(発売日や価格は未定)し、シリーズの強化を図っています。

大坂モーターサイクルショー(2023年3月17日〜19日)に国内初披露されたニンジャZX-4RR
大坂モーターサイクルショー(2023年3月17日〜19日)に国内初披露されたニンジャZX-4RR

ニンジャZX-25R SEの外観は、シリーズ共通のアグレッシブな「Ninjaスタイリング」を採用。市販車ベースの世界最高峰レース「WSBK(スーパーバイク世界選手権)」に参戦する、カワサキ・ワークスマシンを彷彿とさせるスタイルが特徴です。

レースからフィードバックされた数々の先進装備も搭載。3つのモードを選択できる「KTRC(カワサキトラクションコントロール)」は、晴れの日のドライ路面はもちろん、雨などで滑りやすい路面など、さまざまな状況に応じて安定した車体の挙動維持をサポート。

オートブリッパー付きKQS
オートブリッパー付きKQS

また、フルパワー/ローパワーといった2種類のモードを選べる「パワーモード」も用意することで、走行時のコンディションや好みに応じたセッティングを可能とします。

加えて、今回モデルチェンジした上級グレードのSEでは、レーシングマシンなどにも採用される「オートブリッパー付きKQS(カワサキクイックシフター)」も標準装備。

クラッチ操作なしでシフトのアップ/ダウンができるほか、シフトダウン時には自動でエンジン回転も合わせてくれる優れモノで、コーナー進入時などでライダーの操作を軽減してくれます。

●250cc国産スーパースポーツでナンバー1のパワー

そんなニンジャZX-25R SEの新型では、まずエンジンを改良。最新の令和2年排出ガス規制に適合させると共に、最高出力を従来モデルの45ps/1万5500rpmから48ps/1万5500rpmに向上させています。

249cc・並列4気筒エンジン
249cc・並列4気筒エンジン

また、走行風を採り入れることでパワーを増大させるラムエアシステム加圧時の出力では、先代モデルが46ps/1万5500rpmだったのに対し、新型は49ps/1万5500rpmまで増大させることも可能となりました。

ちなみに、同クラスの国産スーパースポーツでは、ホンダ「CBR250RR」が42ps/1万3500rpm、ヤマハ「YZF-R25」が35ps/1万2000rpm、スズキ「GSX250R」が24ps/8000rpm。ニンジャZX-25Rの最大出力は、以前からナンバー1ではありましたが、今回その記録を更新したことになります。

心地よい排気サウンドも魅力
心地よい排気サウンドも魅力

ほかの3モデルが2気筒エンジン搭載なのに対し、より高回転まで回る4気筒エンジンを採用するアドバンテージを活かしているのが、このマシンが持つ魅力のひとつといえますね。

●4.3インチフルデジタルTFT液晶スクリーンを採用

足まわりでは、ショーワ製SFF-BP倒立フロントフォークもアップデートを敢行。SFF-BPは、片側に減衰機構とスプリング、もう一方にはスプリングのみを装備することで、軽量化や摺動抵抗の低減を実現したサスペンション。

プリロード調整機構付きSFF-BP倒立フロントフォーク
プリロード調整機構付きSFF-BP倒立フロントフォーク

新型ではプリロード調整機構付きのアジャスタブルタイプを採用し、走行シーンや好みに応じたセットアップが可能となり、より快適性やトラクション性能の向上に貢献します。

さらに、メーターのインストゥルメンタルパネルには、4.3インチフルデジタルTFT液晶スクリーンを採用し、視認性を向上。スマートフォン接続機能も追加し、専用のスマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」を使うことで、スマートフォンとの相互通信も可能となっています。

4.3インチフルデジタルTFT液晶スクリーン採用
4.3インチフルデジタルTFT液晶スクリーン採用

カラーバリエーションは、WSBKワークスマシンをイメージした「KRTエディション」のほか、「キャンディパーシモンレッド×エボニー」や「メタリックマットグラフェンスチールグレー×エボニー」といった3色を設定。

なお、従来あったスタンダード仕様のニンジャZX-25Rは、現在ラインアップには入っておらず、SEのみの設定となっています。

価格(税込)は、96万2500円。発売日は2023年4月15日(土)の予定です。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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