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■BEVに生まれ変わったAE86がサーキットで吼えた
5代目カローラが登場した1983年、セダン系がFFへとスイッチするなか、FRとして独立したAE86型レビン/トレノ。
そんな両車をベースに、トヨタ自動車が「クルマ好きを誰ひとり置いていきたくない」との主旨を掲げ、カーボンニュートラルに配慮したクルマを製作。
先頃開催された東京オートサロン2023に出展して、来場者から大きな注目を集めました。
当時の車体をベースに、最小限の改造で86レビンをBEV(電気自動車)に、86トレノをH2(水素自動車)にそれぞれコンバートしています。
●モーター駆動のレビンにエンジンサウンドを付加
レビン(LEVIN)は英綴りの中に“EV”の2文字が入っていることからBEV仕様にしたそうで、4A-GEエンジンを駆動用モーターとインバーターに換装。
ラゲッジルームにはプリウスPHEV用のバッテリーを搭載しています。
最大の特徴はBEVでありながらマニュアルミッションを搭載しており、車内にリアルな4A-GEのエンジンサウンドが響き渡るところ。
もちろん車外からはエンジン音は聞こえませんが、ドライバーは当時のハチロクと同様に、クラッチ&シフト操作をしながらアクセルの踏み込み量に応じたDOHCサウンドに酔いしれることができるというわけです。
開発者によれば、AE86の車重の軽さ、前後の重量バランスを極力維持しつつ、バッテリーEVの特徴である強力なトルクにより、当時のハチロクの走りの楽しさが感じられる車両を目指したそうです。
●トレノは4A-GEを水素エンジン化
一方、トレノは実用化を目指して開発中の水素エンジン車で得た知見を活かして、オリジナルの4A-GE(1.6L直4 DOHC16バルブ 130ps/15.2kgm)を水素エンジン化。
音や振動といった内燃機関の持つ魅力を楽しみながら走行できる車両になっています。
ラゲッジルームにMIRAIの高圧水素タンクを2本搭載。そのほかの変更をインジェクターやフューエルデリバリーパイプ、プラグ等に留めるなど、改造規模が最小限に抑えられており、いざとなれば復元も可能だそう。
●両モデルから窺えるトヨタのカーボンニュートラルへの想いは?
トヨタによれば、多くの自動車メーカーが2030年~40年頃をターゲットにBEVへのシフトを目指しているものの、新車販売は保有台数の1/20程度に過ぎず、今後発売する新型車をBEV化するだけでは2050年のゼロカーボン達成は不可能。既販車も含めた対応が必要としています。
今回の提案はそうした課題に応えようとするもので、アフターパーツメーカーと一体となったカーボンニュートラルへの貢献を目指し、中古シートをリフレッシュしたリユースシート、リサイクル素材を使用したシートベルトやシートベルトパッドなども採用。
2台のコンセプトモデルは、人気のある旧車用コンバージョン・キット販売に向けたGRからの予告ともとれそうで、今後も同社のカーボンニュートラルへの動きから目が離せません。
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