「カローラスポーツ」は一部改良でリアサスペンションのジオメトリーを変更。磨きを掛けた走りに注目

■GRカローラの高いパフォーマンス実現のために、ベース車のポテンシャルをアップ

2018年6月に、新たなモビリティライフを提案する初代コネクテッドカーとして登場したのが現行型のカローラスポーツです。「コネクティッド」と「クルマ本来の楽しさ」を融合した“新世代ベーシック”カローラと言えるモデルです。

カローラスポーツ2.0G“Z”の走行シーン
カローラスポーツ2.0G“Z”の走行シーン

現行型カローラスポーツは2022年10月に一部改良を行い、パワートレイン、安全装備、コネクティッド機能を刷新しました。今回は一部改良後のカローラスポーツに試乗できましたので、インプレッションを紹介しましょう。

カローラスポーツのパワートレインはデビュー当初、システム全体で最高出力122psを発生し、JC08モードで34.2km/Lという優れた燃費性能を発揮する1.8Lエンジンのハイブリッドシステムと、最高出力116ps・最大トルク185Nmを発生し、6速MTも設定されていた1.2L直列4気筒ターボエンジンを設定していました。

駆動方式は2WD(FF)を中心に、1.2Lターボエンジンに4WDを用意していました。

カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントビュー
カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントビュー

今回の一部改良では、ハイブリッド車は全ての電動モジュールを刷新した1.8Lエンジンのハイブリッドシステムに変更。優れたモーター性能により、素早く軽やかな発進と伸びやかな加速を実現しています。

カローラスポーツ2.0G“Z”のサイドビュー
カローラスポーツ2.0G“Z”のサイドビュー

そして、1.2Lターボエンジンは最高出力は170ps・最大トルク202Nmを発生する2L直列4気筒ダイナミックフォースエンジンへと変更されています。このエンジン変更によって、6速MT車と4WD車が廃止されています。

燃費性能はWLTCモードでハイブリッド車は27.3~30.0km/L、2Lエンジン車は17.2~18.3km/Lとなっています。

カローラスポーツ2.0G“Z”のリアビュー
カローラスポーツ2.0G“Z”のリアビュー

そして、運転支援システムのトヨタセーフティセンスの機能を拡大。衝突軽減ブレーキであるプリクラッシュセーフティに、交差点右折時の対向直進車、および右左折時の対向方向から横断してくる歩行者を検知する機能の追加をはじめ、ソフトウェアのアップデートにより、購入後も最新の運転支援技術を備えたクルマへと進化しています。

ACCの操作スイッチ
ACCの操作スイッチ

また、運転状況に応じたリスクの先読みを行い、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないよう、ドライバーのステアリング、ブレーキ操作をサポートするプロアクティブドライビングアシストを追加し、事故を未然に防ぐ機能が充実しました。

万が一の時に役立つSOSコールも搭載。
万が一の時に役立つSOSコールも搭載。

初代コネクテッドカーに恥じないように、次世代マルチメディアを搭載しています。

コネクティッドナビに対応した8インチのディスプレイオーディオと、10.5インチのディスプレイオーディオPlus(車載ナビ機能付)を設定。スマホアプリのApple CarPlayはワイヤレスで利用可能となり、有線で接続する煩わしさがなくなりました。

ドライブレコーダー機能も採用されている
ドライブレコーダー機能も採用されている

そのほか、ドライブレコーダー(前方)とバックガイドモニターの標準装備、録画機能付バックガイドモニターのオプション設定。加えてヘッドランプやフロントロアグリルなどの外観デザイン、およびボディカラーの変更が行われています。

●FF車にもかかわらずこれほどリアタイヤと対話できるクルマは少ない

カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントスタイル
カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントスタイル
カローラスポーツ2.0G“Z”のリアスタイル
カローラスポーツ2.0G“Z”のリアスタイル

今回試乗したのは、新設定された2Lエンジンを搭載したカローラスポーツG“Z”で、車両本体価格は264万円。

オプションとして9万9000円のボディカラーをはじめ、15万8950円のシート、ナノイーX1万1000円、カラーヘッドアップディスプレイ&イルミネーテッドエントリーシステム5万5000円、デッキボード8800円。ブラインドスポットモニター&パーキングサポートブレーキ5万600円。10.5インチディスプレイオーディオPlus12万1000円、置くだけ充電1万3200円などが装着され、合計320万8700円という仕様です。

カローラスポーツ2.0G“Z”のインストルメントパネル
カローラスポーツ2.0G“Z”のインストルメントパネル
パドルシフトでシフト操作をハンドルから手を離さずに行える
パドルシフトでシフト操作をハンドルから手を離さずに行える

カローラスポーツは、2022年の一部変更以前に2019年には走りをレベルアップするためにサスペンションの最適化、2020年には一部グレードにシートヒーターを標準装備し快適性の向上を行っています。

しかし、今回のプレスリリースには走行性能に関する記載はエンジンの変更だけでした。

新搭載された2L直列4気筒エンジン
新搭載された2L直列4気筒エンジン
225/40R18という大径タイヤを装着
225/40R18という大径タイヤを装着

実際に2Lエンジンを搭載したカローラスポーツG“Z”に試乗すると、2Lエンジンの低回転域から発生するトルクによって、どこまでも加速していきそうなフィーリングも感じました。それ以上に、最も強く印象深く残るのが、リアタイヤの路面追従性能です。

特にカーブを曲がる際の、リアタイヤの安定感は欧州Cセグメントと呼ばれるクラスの中でトップレベルの実力と感じました。

カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントシート
カローラスポーツ2.0G“Z”のフロントシート
カローラスポーツ2.0G“Z”のリアシート
カローラスポーツ2.0G“Z”のリアシート

たまたま、新型プリウスの試乗会でカローラスポーツの開発担当者に話を聞くことができましたが、GRカローラを登場するにあたって、ベース車のカローラスポーツのリアのサスペンションを、ジオメトリーから変更するほどのチューンを施したとのこと。

シーンに合わせて、クルマの特性を変更するドライブモードを採用
シーンに合わせて、クルマの特性を変更するドライブモードを採用
5人乗車時のラゲッジスペース
5人乗車時のラゲッジスペース

カローラスポーツは2019年にサスペンションの最適化を行っていますが、今回のサスペンションチューンは、カローラスポーツの走りを一変させるほどの重要なことですが、プレスリリースに記載されていませんでした。

「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」そういう思いで開発されたGRカローラ。そのベース車であるカローラスポーツも、ファンを虜にするほど高い走行性能を実現したモデルへと進化しています。

ベース車のカローラスポーツの走りがこれほど良くなっていると、GRカローラへの期待値もまた高まるばかりです。

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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