発売から僅か1年でトヨタが「カローラ クロス」の受注を停止した訳とは?

■2023年秋頃までオーダーストップが継続される?

現行カローラ クロスのエクステリア

2020年7月にアジア市場へ先行投入後、昨2021年9月に日本国内へ専用意匠で導入。その後、米国市場にも投入されたカローラ初のSUV、「カローラ クロス」。

元々、世界市場をターゲットに開発されたグローバルモデルで、アウトドアで重宝する広い車内スペースに加え、都会的な内外装デザインを採用。

ボディサイズは全長4,490mm×全幅1,825mm×全高1,620mmと堂々としたもので、後席膝元スペースに余裕があり、新開発のトーションビーム式リヤサスペンションによる乗り心地の良さも同車の美点の一つとなっています。

現行カローラ クロスのインテリア(国内仕様)

車両価格が200万円台に抑えられたことで、発売以降カローラシリーズの約半数を占めるほどの人気モデルとなり、販売台数の約8割をハイブリッド仕様が占めています。

2022年9月までの13ヵ月間における国内累計販売台数は約6.3万台で、当初の月販目標台数である4,400台を上回る好調ぶりを示しました。

●最大の課題は納期の長さ。そしてマイナーチェンジの噂が…

現行カローラ クロスのインテリア(国内仕様)

一方、販売の核となるハイブリッドモデルは人気の高さに加え、半導体不足などの部品供給の遅れが災いして、1年以上の納車待ちが続く状況となりました。

そのため、トヨタ自動車は既に発売から僅か1年ほどで同車の受注をストップしており、この状況が来秋まで継続される模様。

改良版の1.8Lエンジン(2ZR-FXE)

各種情報によると、2023年9月頃にマイナーチェンジを予定している模様で、それまでの間に数万台レベルで溜まっているバックオーダーを消化するための処置とみられます。

マイナーチェンジでは他のカローラシリーズと同様に、内外装のリニューアルに加え、パワートレーンが変更される模様で、1.8Lエンジンの改良(2ZR-FXE型)により、ハイブリッドモデルのシステム出力が122psから140psへと向上する見込み。

カローラ ハイブリッド用のパワートレーン

駆動用リチウムイオンバッテリー刷新などで、WLTCモード燃費が現状の26.2km/Lから30km/L前後にまで向上する見込みで、エンジンの回転上昇フィールについても改善しているようです。

また、10.5インチディスプレイオーディオPlusや、12.3インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ採用のほか、カラーヘッドアップディスプレイの設定などを予定している模様。

プリクラッシュセーフティやプロアクティブドライビングアシストなど、安全装備についても進化するようで、ドライブレコーダー(前方)とバックガイドモニターを標準装備。

●注目は「GRスポーツ」グレードの設定

国内仕様のカローラ クロス GR SPORT(筆者予想)

そして最も注目されるのが「GRスポーツ」の登場。

アジア市場向けGR SPORTのエクステリア

アジア市場には現地向け意匠で先行投入されていますが、いよいよ日本国内にも投入される見込みで、GR専用のフロントマスクに加え、GR専用シート、専用サスペンション、専用アロイホイールなどが採用される模様。

アジア市場向けGR SPORTのリヤビュー

このようにカローラ クロスは来秋のマイナーチェンジを機に装備の充実が図られることから、車両価格についても10~30万円程度の値上げが予想されます。

既にオーダーがストップされ、来秋まで販売が再開されないとなると、人気車だけに今後は中古車市場に注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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