令和の買いたいクルマ・トップ3は「軽自動車」「コンパクトカー」「SUV」。ハイブリッド車を欲しい人も最多

■ミニバンやセダンは10年前から減少傾向

人気が高いクルマのタイプは時代と共に変わるといいます。ひと昔前なら売れ筋の車種といえば、ミニバンやセダン、クーペタイプのスポーツカーなど。

でも、最近はこれら車種の新型車はあまりリリースされず、軽自動車やコンパクトカー、SUVなどが各自動車メーカーから続々と発表されています。

ヤリス・シリーズのコンパクトSUV、ヤリスクロス
ヤリス・シリーズのコンパクトSUV、ヤリスクロス

では、実際に、ユーザーの多くは今どんな車種に乗っていて、今後どんなタイプに乗りたいと思っている人が多いのでしょうか?

また、最近は、カーボンニュートラル実現に向け、ハイブリッド車や電気自動車(EV)なども数多く新型車が出ていますが、ガソリン車と比較して、それらを欲しいと思う人は多いのでしょうか?

マイボイスコムが、2023年1月1日〜1月5日の期間、1万52名を対象に行ったインターネットのアンケート調査では、購入したい車種の上位は、やはり「軽自動車」「コンパクトカー」「SUV」。

また、ハイブリッド車を購入したい人が最多であることなどが分かりました。

●所有しているクルマは「軽自動車」が1位

今回の調査によれば、まず、現在クルマを所有しているユーザーは、全体の73.5%(「新車購入」53.6%、「中古車購入」18.4%、譲ってもらったなど「そのほかの方法で入手したクルマがある」1.5%の合計)。

その中で、新車または中古車でクルマを購入した7237名に、持っているクルマのタイプを聞いたところ、トップ5は以下のようになりました。

近年は軽スーパーハイトワゴンの人気が高い(写真はホンダ・N-BOXカスタム)
近年は軽スーパーハイトワゴンの人気が高い(写真はホンダ・N-BOXカスタム)

1位:「軽自動車」 25.7%
2位:「コンパクトカー」 20.5%
3位:「ミニバン」 14.4%
4位:「セダン」 14.3%
5位:「SUV」 9.5%

ちなみに、この結果を7年前の2016年1月に行った同様の調査と比べると、トップ5中で増えているのは以下の3タイプです。

・「軽自動車」:21.5%(2016年)→25.7%(2023年)
・「コンパクトカー」:20.3%(2016年)→20.5%(2023年)
・「SUV」:4.6%(2016年)→9.5%(2023年)

また、逆に減っているのは
・「ミニバン」:14.8%(2016年)→14.4%(2023年)
・「セダン」:19.7%(2016年)→14.3%(2023年)

となっています。

●「SUV」を購入したい人は7年前の約2倍

調査では、次に、調査対象者1万52名へ「今後、クルマを購入または買い替えをしたいか」を質問。

今後、クルマを購入したいか(出展:マイボイスコム)
今後、クルマを購入したいか(出展:マイボイスコム)

その結果、購入したい人は全体の47.9%(「是非購入したい」21.3%、「まぁ購入したい」26.5%の合計)に。

また、購入したいと回答した4812名に「どんなタイプのクルマを購入したいか(複数回答可)」を聞いたところ、トップ5は以下のようになりました。

1位:「軽自動車」 30.5%
2位:「コンパクトカー」 26.4%
3位:「SUV」 21.4%
4位:「ミニバン」 19.2%
5位:「セダン」 18.6%

なお、この結果を、同じく7年前の2016年に実施された同様の調査と比較すると、トップ5中で増加しているのは、やはり以下の3タイプです。

購入したいクルマのタイプ(出展:マイボイスコム)
購入したいクルマのタイプ(出展:マイボイスコム)

・「軽自動車」:26.0%(2016年)→30.5%(2023年)
・「コンパクトカー」:25.2%(2016年)→26.4%(2023年)
・「SUV」:10.9%(2016年)→21.4%(2023年)

逆に、減っているのは、やはり以下の2タイプとなっています。

・「ミニバン」:20.1%(2016年)→19.2%(2023年)
・「セダン」:27.8%(2016年)→18.6%(2023年)

特に、「SUV」を購入したい人は、7年前の約2倍。近年、SUVタイプの新型車が多くリリースする背景には、こうしたユーザー嗜好なども影響しているのかもしれませんね。

●「ガソリン車」を購入したいユーザーも依然多い

さらに、調査では、クルマを購入したい4812名に、どんなパワートレイン(動力)を持つクルマを買いたいかを聞くため、「どのような動力のクルマを購入したいか(複数回答可)」といった質問も実施。その結果、トップ5は以下の通りです。

ヤリスクロスにもハイブリッド仕様が設定され、人気が高いという
ヤリスクロスにもハイブリッド仕様が設定され、人気が高いという

1位:「ハイブリッド車」 55.1%
2位:「ガソリン車」 47.1%
3位:「電気自動車(EV)」 25.8%
4位:「プラグイン ハイブリッド車(PHEV)」 20.8%
5位:「ディーゼル車、クリーンディーゼル車」 11.0%

1位は「ハイブリッド車」でしたが、意外に2位の「ガソリン車」も依然として多いことが分かりますね。

逆に、「電気自動車(EV)」が「プラグイン ハイブリッド車(PHEV)」を抑えて3位に入っていることで、近年注目度が高いこともうかがえます。

●近年はN-BOXやヤリスが販売台数1位

これら結果を踏まえると、やはり今乗っているクルマ、今後購入したいクルマ共に「軽自動車」「コンパクトカー」「SUV」に人気が集まっていることが分かります。

日本で一番売れているクルマがホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」
日本で一番売れているクルマがホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」

逆に、「ミニバン」や「セダン」は、現在乗っているユーザー、今後購入したいユーザー共に減少傾向であることで、残念ながら売れ筋ではなくなってきていることも類推できます。

実際に、たとえば、ホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」は、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が調べた2022年度(1月〜12月)の新車販売台数で、20万2197台を記録。登録車を含めた年間4輪車販売台数ランキングで1位を獲得しています。

しかも、N-BOXの首位は今回で5度目。2017年から2020年までは4年連続で1位に輝いているほか、軽四輪車としては2022年までに8年連続で1位となっており、今や日本を代表する大衆車のひとつだといえます。

また、自販連(日本自動車販売協会連合会)が調べた2022年度(1月〜12月)の登録車における新車販売台数では、トヨタの「ヤリス」シリーズが16万8557台を販売して1位。

コンパクトカーで近年人気が高いトヨタ・ヤリス
コンパクトカーで近年人気が高いトヨタ・ヤリス

ちなみに、ヤリス・シリーズの新車販売台数は、コンパクトカーの「ヤリス」、コンパクトSUVの「ヤリスクロス」、スポーツタイプの「GRヤリス」といった3車種の合算。特に、ヤリスクロスがシリーズの売れ行きをけん引しているといわれています。

ということは、ヤリス・シリーズ成功の裏には、「コンパクトカー」「SUV」といった最近の人気タイプが入っていることも大きな要因であることがうかがえます。

実際に、2021年(1月〜12月)の新車販売台数ランキングでは、ヤリス・シリーズは21万2927台で、18万8940台だったN-BOXを抜いて1位になっています。

●「ハイブリッド車」が1位の背景は?

こういった傾向を見る限り、ここ数年は、「軽自動車」「コンパクトカー」「SUV」といったキーワードがトレンドで、それによりN-BOXとヤリス・シリーズが首位争いのデッドヒートを繰り広げていることが分かります。

トヨタの16代目クラウン クロスオーバー。今後はセダン、スポーツ、エステートも発売予定
トヨタの16代目クラウン クロスオーバー。今後はセダン、スポーツ、エステートも発売予定

かつて高級セダンの代名詞で、60年以上続くトヨタ「クラウン」も、2022年にはクロスオーバータイプを発売したぐらいですから、人気車のタイプは時代と共に変わっていくようです。

また、今回のパワートレイン・ランキングでは、「ハイブリッド車」が1位となっていますが、実際に、複数の自動車販売店で聞いてみても「ハイブリッド車」は人気が高いそうです。

特に、近年は、同じ車種に「ハイブリッド車」と「ガソリン車」の設定があれば、「ハイブリッド車」の方を選ぶユーザーが多い傾向にあるのだとか。なお、選ぶ主な理由には、「燃費がいいこと」や、「ガソリン車よりもリセールバリューが高いこと」などがあるそうです。

日産・サクラ
日産・サクラ

一方、近年注目度が高い「電気自動車(EV)」が今回の調査で3位だったのは、航続距離や充電時間を気にするユーザーが多いのでしょう。ただし、そうした問題が解消されれば、今後さらに人気が上がってくることも予想されます。

特に、2022年には、軽EVの日産「サクラ」や三菱「ekクロスEV」が、税金が安くなるエコカー減税、国や自治体からの補助金などといった後押しもあり、新車販売台数で一定の成功を収めました。

そう考えると、今後は「軽自動車」「EV」といったキーワードを持つ車種にも人気が集まってくるのかもしれません。

(文:平塚直樹

【関連リンク】

マイボイスコム 公式ホームページ
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=29405

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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