■2023年度の予算は543億円!
羽田空港アクセス線は、JR線から羽田空港へ直通する列車を運行する路線です。政府は閣議決定した2023年度予算案で、同年度に着工する羽田空港アクセス線関連の予算543億円を計上しました。
羽田空港アクセス線の終点となる羽田空港新駅(仮称)は、羽田空港第2ターミナル側の構内周回道路の地下に設置される予定です。ホームは15両編成に対応していて、東京モノレール、京浜急行よりもかなり輸送力が高くなる見込み。ルートは東山手ルート・西山手ルート・臨海部ルートの3ルートが計画されています。
2023年度に着工予定の東山手ルートは一番メインとなるルートで、東海道本線・東京駅経由で、東北本線、高崎線、常磐線と直結して遠方からの羽田空港アクセスが便利になります。
事業区間は約12.4km。内訳は東海道線接続区間約1.5kmと、大汐線改修区間約3.4km、東京貨物ターミナル内改良区間約2.5km、アクセス新線区間約5.0kmとなっています。
なお、大汐線はかつて汐留〜東京貨物ターミナル(大井埠頭)を結んでいた東海道本線貨物支線の通称です。
東山手ルートと東海道本線の分岐点は、浜松町駅の北側に設置。東山手ルートはここから単線で地下に入って行きます。そして田町駅の南側、札の辻付近で地上に出て、大汐線に接続します。
大汐線の改修区間は、地上に出たところから東京貨物ターミナルまで、この区間には高架橋や線路が残っていて、改修は比較的容易だと思われます。
東京貨物ターミナル付近は、休止中の本線を下り線として復活させるほか、上り線および電車の留置線も新設される予定です。
東京貨物ターミナルを通過後は、新たに建設する地下トンネルを通り、羽田空港新駅(仮称)に至ります。
西山手ルートは、東京臨海高速鉄道りんかい線・大井町〜品川シーサイド間で分岐する、東品川短絡線を新たに建設して、東京貨物ターミナル付近で東山手ルートと合流するルートです。このルートは、りんかい線・大崎駅を経由して、埼京線・渋谷駅、新宿駅、池袋駅、大宮方面と直結することができます。
また、新宿駅から中央本線への直通も構想されているようです。
臨海部ルートはりんかい線・天王洲アイル〜東京テレポート間で分岐して、東京貨物ターミナルで東山手ルートに合流するもの。りんかい線・新木場駅の東側は京葉線と繋がっていて、千葉・房総方面と羽田空港の直結も可能です。
実はりんかい線は、国鉄時代に京葉貨物線・東京貨物ターミナル〜蘇我間として計画されていた路線の一部です。りんかい線は、東京湾直下にある品川埠頭信号場〜新木場間を京葉貨物線から転用。大崎〜品川埠頭信号場間を新規に建設して、営業運転をしています。
また、東京貨物ターミナルの隣にはりんかい線の八潮車両基地があり、八潮車両基地〜品川埠頭信号場間の入出庫線は、京葉貨物線の線路を転用しています。現在は東京貨物ターミナルの着発線に直結する線路は使用されていなくて、入出庫線はトンネル内で単線になっていますが、臨海部ルートが開通したら使用されるようになるのか気になるところです。
臨海部ルートのほとんどは現在使用しているので、最低限の工事で東山手ルートとつなぐことが可能。開通すれば東京ディズニーリゾートや幕張メッセへのアクセスも便利になります。
●羽田空港アクセス線は国内線向け?
羽田空港アクセス線が開業すると、関東各地から羽田空港へのアクセスが大幅に向上します。また、東京〜羽田空港間が乗り換えなしの18分で結ばれるため、都心からのアクセスも便利になります。
その一方で、国際線が発着する第3ターミナルには直結しません。羽田空港新駅(仮称)から第3ターミナルへの移動には、空港内の循環バス、または東京モノレールや京急空港線に乗り換える必要があります。これは、JR東日本の傘下にある東京モノレールと上手く棲み分けようとしているのかもしれません。
いずれにしても羽田空港アクセスの選択肢が増えるのは良いことだと思います。
羽田空港アクセス線東山手ルートの開業は、2029年度を予定しているとのこと。ますます便利になりそうな羽田空港アクセスに期待ですね。
(ぬまっち)