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■アメリカで公開された次期インプレッサには「RS」がある
さて、アメリカに続いて日本でも東京オートサロン2023の会場で次期型「インプレッサ」が公開されたわけですが、そのなかでなんとも興味深いのが「RS」という新グレードですよね。
エクステリアは、18インチアルミホイール(標準車は16インチ)に加え、ブラック塗装のフロントグリル/サイドスポイラー/ドアミラーなどでドレスアップ。
一方インテリアは、カーボン調インナートリムやレッドカラーのシートバック、さらに触感のいい革を使用したステアリングホイールとシフトノブなどでスポーティ&上質な仕立てとしています。
それって日本でいう「STI Sport」では?
そう、ピンときたスバリストは決して少なくないかもしれません。ボクもそう感じましたから。
でも「STI Sport」は、特別なダンパーを組み合わせた専用のサスペンションチューニングを施しているのが特徴。一方、今回発表された北米の「RS」は、資料を読む限りそのあたりの記述がなく、もしかするとそのあたりが両車の大きな違いとなってくるのかもしれません。
そして、何より違うのがエンジン。「STI Sport」に関してはエンジンは標準車と共通です。しかし、「RS」のエンジンは標準仕様に対して排気量アップしたタイプ。2.0Lの標準車に対して2.5Lと一回り大きいのです。
これは大きな違いですね。北米は高速道路への合流で「グググッ」といかに力強く加速できるかが大切なので、そのあたりに配慮しているでしょう。これは乗ってみたい。
そう考えると「STI Sport」と「RS」の違いは、前者が操縦安定性の向上に注力しているのに対し、後者は動力性能の向上がポイントといえそうです。
そんな意味では、内外装の仕立ても含めて「RS」は「STI Sport」に近いポジションというよりも、標準車に対してエンジンと内外装のレベルを引き上げたフォレスターの「SPORT」に近い商品企画なのかもしれません。
●歴代スバル車の「RS」を振り返ってみる
ところで、スバルがグレード名に「RS」を使うのって珍しいと思いませんか?
スバルのスポーツモデルのイメージといえばやはり「STI」とか、ちょっと遡るとレガシィあたりの「GT」とかですかね。
気になったので、スバルの「RS」を振り返ってみました。
●やはり代表格は1989年の「レガシィRS」
多くの人にとって「これぞスバルのRS」というのは、きっとコレじゃないでしょうか?
初代レガシィのスポーツグレード「RS」。デビューは1989年でした。
もっとマニアな人はこっちでしょうかね。
レガシィの「RS RA」。運動性能を高め、STIの手組みエンジンを積むという、なんとも贅沢な仕様でした。あまりの”濃さ”ゆえに、こだわって乗り続けている人が筆者の知り合いにもいます。
●軽自動車なのにハイオク指定の「プレオRS」
そして、こちらもある意味スバルらしい「RS」。「プレオRS」です。
スバルがまだ自分たちの手で軽自動車を作っていた頃の、渾身のスポーツモデルと言っていいでしょう。
エンジンは660㏄ながら4気筒でスーパーチャージャー付。サスペンションだって軽自動車なのに4輪独立と、今どきの軽自動車では考えられない贅沢なメカニズムです。指定ガソリンはなんとハイオクでした。軽自動車なのに…!
もはやスバル魂が全開な感じですね。ちょっと勢いだけが空回り気味な気もしないではないですが、当時の日本はこういったクルマを受けれる土壌があったのです。いい時代でしたねぇ。
まだスタビリティコントロールが広く普及する前の、1998年のデビューでした。
●レギュラー仕様だけど4気筒+4独サスの「ステラカスタムRS」
いっぽうで、こんな「RS」もありました。
「ステラカスタムRS」。こちらもスバル自身が作っていた軽自動車ですが、見た目も含めてプレオ時代に比べるとやんちゃな感じが薄まりましたね。
でも、中身はしっかり4気筒エンジン+4輪独立サスペンション。エンジンはエコの波を受けてレギュラー指定&プレオ時代よりもスペックダウンとなったのがちょっと残念。燃費はよくなりましたが。
●もっとも新しい「スバルのRS」はどのRS?
そして、もっとも新しい「RS」といえば…
「ステラカスタムRS」です。3気筒エンジンでリヤが独立サスではないなどメカニズムにスバルの熱い血は感じられませんが、それはスバル自身が作っている軽自動車ではないので仕方がないところ(ダイハツ製)。
残念ながら、2020年8月のマイナーチェンジをもって「RS」は廃盤となってしまいましたけどね。背景にあるのは、そのマイナーチェンジでターボエンジンが廃止されたことです。
というわけで、皆さんにとって「スバルの『RS』」といえばどのクルマですか?
(工藤 貴宏)