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■最小回転半径は5.1mで、ストレスなく取り回しできる
2022年12月に開催されたフォルクスワーゲンのプレス向け試乗会は、新型ゴルフRを中心に、ほかにも最新モデルが揃っていました。ここでは、2022年8月に一部改良を受けたステーションワゴンのゴルフ ヴァリアントをピックアップします。
2022年夏の改良では、フロントセンターエアバッグが「eTSI Active Basic」「eTSI Active」「eTSI Style」に追加され、衝突安全性能が高められています。フロントセンターエアバッグは、運転席と助手席の間に展開することで、乗員同士がぶつかることで引き起こされる怪我などを防ぐことができます。
そのほか、USB typeCポートの給電機能がUSB PD(USB Power Delivery)規格に対応(最大45W)。
さらに、ドアトリムやドアアームレスト、センターアームレストといったインテリアトリムの素材が変更され、質感向上が図られています。「eTSI Style」に設定されるグレー内装のトリムも一部グレーからブラックに変わっています。
SUVブームもあり、SUBARUレヴォーグ、トヨタ・カローラツーリングという人気モデルをのぞくと、日本車のステーションワゴンが減る中、欧州勢は健在で、ゴルフ ヴァリアントも定番ワゴンという地位を築いています。ここでは、CセグメントおよびDセグメント級ワゴンのサイズを全長の順番に並べてみます。
●ボディサイズ、最小回転半径
トヨタ・カローラツーリング:全長4495×全幅1745×全高1460mm、ホイールベース2640mm、最小回転半径5.0~5.3m
ルノー メガーヌ スポーツツアラー:全長4635×全幅1815×全高1495mm、ホイールベース2710mm、最小回転半径5.8m
VWゴルフ ヴァリアント:全長4640×全幅1790×全高1485mm、ホイールベース2670mm、最小回転半径5.1m
BMW3シリーズツーリング:全長4720×全幅1825×全高1450mm、ホイールベース2850mm、、最小回転半径5.5m
SUBARUレヴォーグ:全長4755×全幅1795×全高1500mm、ホイールベース2670mm、最小回転半径5.5m
メルセデス・ベンツCクラスステーションワゴン:全長4755×全幅1820×全高1455mm、ホイールベース2865mm、最小回転半径5.2~5.7m
アウディA4アバント:全長4760×全幅1845×全高1435mm、ホイールベース2825mm、最小回転半径5.5m
ボルボV60:全長4780×全幅1850×全高1435mmm、ホイールベース2870mm、最小回転半径5.5m~5.7m
Cセグメント級は、日本勢2台に加えてゴルフ ヴァリアントとメガーヌ スポーツツアラーがあります。
ゴルフ ヴァリアントの方が若干ワイドではあるものの、メガーヌ スポーツツアラーと同クラスということで、サイズ感は近くなっています。いまやゴルフ ヴァリアントは、ライバル不在という感が強くなっていて、サイズで選ぶとメガーヌ スポーツツアラーくらいしか競合していません。
Dセグメントでは、3シリーズツーリングが最も短く、V60が最も大きくなっています。
また、最小回転半径が最も小さいのは、最もコンパクトなサイズであるカローラツーリングであるのは当然にしても、メガーヌ スポーツツアラーは、ステアリングの切れ角やワイドな全幅によるものなのか、Dセグメント各モデルよりも大きくなっています。
今回のお題であるゴルフ ヴァリアントもかなり小回りが利くのが分かります。
●上位Dセグメントを超えるラゲッジ容量
●荷室容量(VDA方式)
トヨタ・カローラツーリング:荷室容量392L〜802L
ルノー メガーヌ スポーツツアラー:荷室容量580L~1695L
VWゴルフ ヴァリアント:荷室容量611L~1642L
BMW3シリーズツーリング:荷室容量500L~1510L、最小回転半径5.4〜5.7m
SUBARUレヴォーグ:荷室容量561L(カーゴフロアボード上部:492L、サブトランク:69L)〜1499L(サブトランク含む)
メルセデス・ベンツCクラスステーションワゴン:荷室容量490L〜1510L
アウディA4アバント:荷室容量505L~1510L
ボルボV60:荷室容量529L~1441L
じつは、各自動車メーカーが公表している荷室容量(VDA方式)は、室内寸法(室内長/室内幅/室内高)と同様に、メーカーによって計測地点がまちまちという実情もあります。
最近は、ドイツ工業規格であるDINもカタログなどから見かけなくなりました。VDAはドイツ自動車工業会による規格。VDAを使ってどう図っているのか、背もたれ上端までなのか、サブトランクも含むのかなど、注釈が入っていないケースもあります。
また、開口部の大きさや形状、地上開口高(地上から荷室開口部下側まで)、タイヤハウスの張り出し、ラゲッジフロアやトノボードの使い勝手、シートアレンジのしやすさなど、使いやすい荷室かどうか左右する要素は数多くあります。
それでも参考値として、ゴルフ ヴァリアントが抜きん出ていることが分かります。確かに、見た目でも奥行き、荷室幅に余裕があるのが分かります。
またゴルフ ヴァリアントは、テールゲートの角度がライバルよりも比較的起こされていて、VDAを稼げそうなフォルムであることも、とくにサイドビューや後ろ姿から見て取れます。後席の前倒しは、荷室サイドにあるレバーでワンタッチで操作できます。
こうして、ゴルフ ヴァリアントのボディサイズ、最小回転半径、荷室容量を見ていくと、取り回ししやすいのに大容量というのが数値からも分かります。
ホイールベースは、メガーヌ スポーツツアラーよりも40mm短いこともあり、リヤシートの膝前スペースはそれなりという印象ですが、大人4人までなら当然ながら無理なく座れる居住性を備えています。
●2人乗車や日常使い程度なら1.0Lガソリンターボでも十分に走る
試乗したのは「eTSI Active」。1.0Lの直列3気筒ターボに、乾式の7速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)が組み合わされています。DSGは代を重ねるごとにスムーズになっている印象で、極低速域に若干ギヤのつながりを意識させる以外は概ね違和感もありません。同時にダイレクト感のある変速フィールも健在。
さらに、48VのBSG(ベルト駆動式スタータージェネレーター)が搭載されたマイルドハイブリッド仕様で、低速域ではモーターアシストも感じられ、DSGの変速フィールをアシストしている感もあります。
最高出力81kW(110PS)/5500rpm・最大トルク200Nm/2000-3000rpmというスペックは、取り立ててパワフルではありません。なお、WLTCモード燃費は、18.0km/L。
しかし、実用域では十分な動力性能を備えていて、箱根の山も軽快に登っていきます。車両重量は1360kgで、ハッチバックの同仕様は1310kgですから50kgの増加にとどまっています。
フル乗車で荷物を満載した状態だと非力さを否めないシーンもありそうですが、後述するように2.0Lディーゼルエンジン仕様なども用意されています。
また、205/55R16サイズを履く同仕様は、17インチを履く上位グレードよりもパワステのフィーリングが若干軽めで、タイヤの接地感もそれなりという印象。一方で、雑味のない操舵感は間違いなく美点で、速度域やコーナーの大小を問わず素直なハンドリングを享受できます。
ゴルフ8らしく、ステーションワゴンでも上々の乗り心地を享受できます。バッグを3つ程度載せた状態だと、ハッチバックよりも若干リヤまわりが引き締められているように感じられます。しかし、大きなラゲッジスペースを備えるステーションワゴンとしては、Dセグメント級も含めて良好といえる仕上がりになっています。
後席は、若干リヤハウスまわりから侵入する音が大きく感じた程度で、静粛性の高さも十分に合格点をつけられそう。リヤシートの乗り味もまずまずです。
ゴルフ ヴァリアントは、2022年10月に最新世代の2.0L TDI(ディーゼルエンジン)を積んだトルクフルな仕様、最速ワゴンの「R」も追加。2.0L TDIはトルクフルで軽油を指定する経済性の高さ、「R」はスポーツワゴンにふさわしい320PS/410Nmという圧倒的な動力性能とスポーティな走りを手に入れています。
クラストップレベルの積載性を備え、多彩なパワートレーンにより多様なユーザーニーズに応えるゴルフ ヴァリアントは、価格設定も含めて輸入ステーションワゴンの中では見逃せない1台になっています。
●ゴルフ ヴァリアント eTSI Active価格:353万9000円
(文:塚田勝弘/ 写真:小林和久)