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■トヨタの次期社長、佐藤恒治さんは1969年生まれ
トヨタの社長交代発表がサプライズとしてニュースになっています。
創業家出身の豊田章男氏が会長となり、新社長にはレクサスインターナショナルやガズーレーシングのプレジデントを務めている佐藤恒治氏が就任するということです。
佐藤氏は1969年10月生まれの53歳。変革期の自動車業界を乗り切るための若返りという見方もありますし、年齢を考えると長期政権になるということも想像されています。
3名の副社長を飛び越え、執行役員からの社長就任というのも、序列を大事にする日本社会的には話題のひとつかもしれません。
トヨタの社長人事が若返りを果たしたとはいえ、男性だったのはまだまだ驚きはないといえるのではないでしょうか。
●GMでは2014年から女性がCEOを務めている
日本企業には女性役員が少ないと指摘されることは多く、特に大企業の社長(CEO)ともなると男性が圧倒的多数となっています。
社長というのは、リーダーシップにより会社の命運を左右する存在ですから、性別だけで選ぶべきではありませんが、こと自動車業界には女性役員が少なすぎるという指摘もあります。
海外の自動車メーカーでいえば、GM(ゼネラルモーターズ)のCEOは、2014年からメアリー・バーラ氏が務めているのはよく知られているところでしょう。同社生え抜きのバーラ氏がCEOに就任して以降、GMが業績を伸ばしていることも好イメージにつながっています。
翻って、日系自動車メーカーのボードメンバー(取締役、執行役員)を見ると、女性がいたとしても、その多くが社外取締役や監査役となっていることがわかります。こうした傾向は、自動車業界に限った話ではありませんが、経営者マインドの偏りを心配したくなるのも事実でしょう。
●多様性の時代に自動車業界のジェンダーギャップは深刻
いまや「ダイバーシティ(多様化)」は一時の流行語ではなく、企業が生き残るのに必要な考え方です。とくに大変革期といわれる自動車業界が、男性主体のままでいいとは思えません。
経営層におけるジェンダーギャップ(男女格差)の解消は、企業の強さにつながるともいえます。
日系自動車メーカーのボードメンバーで、女性は超少数派です。
2019年日産の副社長に就任した星野朝子氏は、発表会などで会社の顔としてスピーチをすることが多いので印象が強いのですが、同社の専務執行役員20名は全員男性だったりします。
他にも、ホンダの取締役を務める鈴木麻子氏や、トヨタの執行役員である大塚友美氏といった女性ボードメンバーは業界的には知られていますが、他の自動車メーカーでは社外取締役を除くと、女性ボードメンバーは皆無といった状況です。
冒頭で紹介したトヨタも、次期社長へのバトンタッチはずいぶん先の話となるでしょうし、本田技術研究所の役員経験者が社長になることが多いホンダですが、現時点で技術研究所の役員は全員男性です。
はたして、日本の自動車メーカーに女性社長が誕生する日はくるのでしょうか。