「MAZDA2」が大幅商品改良。あの「スポルト」の名が復活、新設定「BD」は全198通りのカラーコーディネイトが可能

■若いユーザーを取り込むため外観をリフレッシュ

2023年1月27日(金)、日本におけるマツダ販売台数の2割を占めるMAZDA2が、大幅な商品改良を受けました。同日から予約受注が開始され、発売は3月下旬の見込みです。

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「15BD」。カラーは「スノーフレイクホワイトパールマイカ」

MAZDA2はデミオから続くBセグメントハッチバックで、現行世代はデミオ時代も含めると2023年で9年目を迎えます。

筆者は、最後期型のデミオに乗っていることもあり、どのように変わったのかが気になるところ。個人的には、デミオ/MAZDA2の魅力は、運転姿勢を含めたハンドリング、走りの良さだと思っています。

一方で、デミオ登場時に多かった若年ユーザー層がライバル車に流れるという分析もあったそうです。

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「15BD」のリヤビュー

そこでマツダでは、エントリーモデルにふさわしく、若年層に振り向いてもらいたいとの想いを掲げ、商品改良を行っています。

デミオ/MAZDA2に限らず、コンパクトカーはエントリーモデルという役割を担うため、若いユーザーが多いのと同時に、ミニバンなどを卒業したポストファミリー層からも支持されています。商品改良を受けたMAZDA2は、より幅広い層を取り込む狙いがありそうです。

今回は、 MAZDA2の「ハイクオリティ」「スポーティ」というキーワードに加えて、「選ぶ楽しさ」を新たに掲げています。

●フロントマスクの刷新と前後の小さな加飾が目を惹く

エクステリアでは、フロントマスクが大きく変わっています。前後バンパー、フロントグリルパネルが変わり、「X」字のような顔付きが目を惹きます。さらに、フロントはグリル横(助手席前側)、リヤはマフラーエンドの上部に小さな加飾が配置されています。この加飾は、ボディカラーによりカラーが変わります。

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バンパーとグリルまわりが変わり、小さな加飾も用意される

50代の筆者がまず注目したのは「SPORT(スポルト)」。そう、懐かしいグレード名が復活します。

新生スポルトは、好評だという「Black tone Edition」を進化させた仕様です。グロスブラックの専用メッシュグリル、ブラックメタリック塗装の切削加工の16インチ専用アルミホイールなどを用意。

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「SPORT(スポルト)」のエクステリア

内装には、赤いラインが印象的なブラック基調シートが備わり、外観と同様にスポーティムードが強調されています。

グレードは、1.5Lガソリンの「15 SPORT」、1.5Lディーゼルターボの「XD SPORT+」が設定され、6ATのほか6MTも用意。MTはスポルト仕様のみになります。

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「スポルト」のリヤビュー

まだ試乗できていませんが、ライバル車としては、上質感とスポーティさを併せ持った仕様として、ホンダ・フィットRSが浮かびます。なお、撮影車両は、左ハンドルの海外向け仕様で、日本仕様はもちろん右ハンドルのみになります。

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「スポルト」のインパネ

グレード展開において、最大の目玉は、最大198通りの表現パターンが可能な「BD」の設定(「15 BD」「XD BD」)。なお、改良前から好評だという特別仕様車「Sunlit Citlus」も新しいデザインに変わった上で継続販売されています。

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「15BD」のインパネ

内装では、外装色に合わせてインパネの加飾に「ピュアホワイト」「グロスブラック」「グロスライトブルー」の3色が組み合わされます。

その中でもトピックスは、ルーフフィルムがメーカーオプション設定されたことで、ドアミラーカラーと合わせて、ボディ同色以外のホワイト、ブラックも選択可能になっています。

この「BD」の場合、ボディカラーは11色、インパネカラーが3色、ホイールキャップカラーが6色設定され、これらを組み合わせることで、最大198通りのパターンが用意されています。

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「BD」に貼られたブラックのルーフフィルム

●2つの用品パッケージを新たに設定

ほかにも純正用品を拡充。用品パッケージの「ROOKIE DRIVE(ルーキー・ドライブ)」「CLAP POP(クラップ・ポップ)」も選択可能で、最近のマツダ車としては、かなり個性的な仕様を選ぶこともできます。

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用品パッケージの「ROOKIE DRIVE」

「ガルフ」カラーを彷彿とさせる「ROOKIE DRIVE」は、オレンジのフロントグリルアクセントとリヤバンパーアクセント、レーシングオレンジのドアミラーガーニッシュとリヤルーフスポイラー、同じくレーシングオレンジにエアストリームブルーが組み合わされたフルホイールキャップを装着。

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用品パッケージの「ROOKIE DRIVE」のルーフコーディネイト

さらに、フロント、サイド、リヤにボディデカールセットが配され、ポップなスニーカーのような配色が目を惹きます。

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「CLAP POP(クラップ・ポップ)」の外観

「CLAP POP」は、どことなくボーイズレーサー風の仕上がりになっていて、セラミックメタリックのフルホイールキャップが用意されています。

●ルーフフィルムを量産化とバイオエンプラの適用を拡大

また、MAZDA2の技術的なトピックスは、大きく2つあります。

1つめは、ルーフフィルムの量産で、2トーンルーフから置き換えることで大幅なCO2削減を狙っているそう。マツダは、すでにMX-30の販売店オプションである純正アクセサリーとして、ルーフデカールを設定しています。

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「CLAP POP(クラップ・ポップ)」のフルホイールキャップ

デミオでは量産化に成功したことで、メーカーオプション設定になっています。従来の2トーンカラーのルーフは、上塗りを2回する必要がありました。ルーフフィルムは、上塗りして乾燥させた後にフィルムを貼り付けることで、モノトーンカラーのように上塗りが1回ですみます。

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ルーフフィルムのアップ

ルーフフィルムに対応するため、生産ラインにサブラインが設けられ、職人技により貼られていきますが、何時間もかけていた貼り付け作業を高効率化。さらに、光の反射をコントロールすることで、デザイン性(光り方)の向上も図られています。

なお、洗車機にも入れられるとのことで、実用上、問題が出ることはなさそう。

もう1つは、バイオプラスチックの採用。MAZDA2以前から採用されてきたバイオプラスチックで、「バイオエンジニアリングプラスチック(バイオエンプラ)」と呼ぶ透明な素材を開発。

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バイオエンプラが使われたインパネ加飾

バイオエンプラは、自動車部品に適用しやすく、2015年にロードスターの小型内装部品に初めて採用されて、ロードスターRFの外装部品にも使われています。その後も、MAZDA3、 CX-30のシフトパネル、カップホルダーリッドパネルにも採用。現在では、すべての乗用車の内外装部品に使われているそうです。

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バイオエンプラのサンプル

このバイオエンプラは、無塗装での材料着色が可能で、従来の塗装部品を超える質感を実現できるのが特徴になっています。深みのある色合いや鏡面のような平滑感が得られ、エントリーモデルであるMAZDA2にも採用することが可能になったそう。植物由来であるため、CO2排出量削減にも寄与します。

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「スポルト」のエクステリア

SUVの品揃えを強化しているマツダにおいても、2割を占めるMAZDA2。グレード整理とともに、SPORT(スポルト)や「BD」の設定、用品パッケージの用意などにより、若年層の取り込みが成功するかに注目です。

●価格
「15C」:152万9000円(2WD・AT)/174万9000円(4WD・AT)
「15BD」:164万7800円(2WD・AT)/186万7800円(4WD・AT)
「XD」:190万3000円(2WD・AT)/ 212万3000円(4WD・AT)
「XD BD」:199万1000円(2WD・AT)/221万1000円(4WD)
「15 SPORT」:200万2000円(2WD・AT/MT)/222万2000円(4WD・AT/MT)
「XD SPORT」:232万1000円(2WD・AT/MT)/254万1000円(4WD・AT/MT)
「15 Sunlit Citrus」:210万1000円(2WD・AT)/232万1000円(4WD・AT)
「15MB」:174万9000円(2WD・MT)

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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