生誕70周年を迎えたシボレー・コルベットに、史上初の電動AWDモデル「E-Ray」が登場

■6.2L V8エンジンがリヤを、フロントモーターがフロントを駆動

アメリカンスポーツを代表するシボレー・コルベットは、現行8代目(C8型)で従来のFRからミッドシップに大変革を遂げています。

シボレーはニューヨークで開催された「モトラマショー」において、生誕70年目の節目となる2023年、6.2L LT2スモールブロックV8エンジンとモーターが組み合わされた、史上初の電動AWDモデル「コルベット E-Ray」を2024年型モデルとして発表しました。

2024 Chevrolet Corvette E-Ray 3LZ
史上初の電動AWDモデル「シボレー・コルベット E-Ray」

ボディタイプは、クーペとハードトップコンバーチブルの2モデルを設定。

コルベット E-Rayは、V8 NAエンジンのハイパワーと電動化されたAWDによる鋭敏なレスポンスが特徴で、環境対応という時代の流れに応えたカタチになっています。

同エンジンによる最高出力495PS・最大トルク637Nmのアウトプットは、後輪に伝達され、シート間のフロアトンネルに設置されたモーターが1.9kWhのバッテリーパックを介して、前輪に160PSと170Nmのトルクを供給します。「E-Ray」のシステム最高出力は、655PS。

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「シボレー・コルベット E-Ray」のリヤビュー

なお、フロントアクスル上に搭載されたモーターは、コンパクトに収まっていて、フロントトランクのスペースの確保に寄与しています。

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「シボレー・コルベットE-Ray」のアルミホイール

搭載されるインテリジェント電動AWDシステムは、ハイパワーを誇るだけではありません。どんな季節でも安心して目的地に到着できるコルベットを目指して開発されたそうです。

AWDならではの力強い直進安定性、全天候型の信頼性、グランドツーリングとしての高い性能バランスを実現し、電動化によって走らせる喜びも高めたとしています。

●街乗り用の電気駆動モードである「ステルスモード」を用意

具体的には、常に路面状況を検知し、トラクションの状態や運転操作に合わせてシームレスに反応します。

トラクションの低い路面や急発進の際には前輪に駆動力を供給し、車両の安定性を向上。さらに、街乗り用の電気駆動モードである「ステルスモード」が備わり、静かに早朝深夜の住宅街を抜けることができます。同モードの最高速度は、45mph(約72km/h)。

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日常使いからサーキットまで使える全天候型のコルベットとして登場

そのほか、エンジンのストップ&スタート機能をサポートする新型の軽量リチウムイオン12Vバッテリーが搭載されています。

一方で、サーキットでのパフォーマンス向上のために電動駆動システムを活用するのも可能。必要に応じて電動AWD制御システムがフロントアクスルにトルクを付加。また「Charge+」機能は、バッテリーの充電状況を最大限に高め、長時間のラップ走行も可能にします。

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「シボレー・コルベットE-Ray」のリヤビュー

走りでは、電動化により発進時にモーター走行が選択できるほか、コーナーの立ち上がりでの力強い加速を実現したそう。

標準搭載される「アクティブ・フューエル・マネジメント・システム」により、多様な走行状況や運転状況下でモーターを活用、気筒休止により4気筒状態にすることで、走行距離を延ばすことができます。

走行モードは、任意で切り替えできる「ツアー」「スポーツ」「トラック」「ウェザー」「マイモード」「Zモード」の6モードが用意されるほか、バッテリーの充電状況を最大限に高める「Charge+」機能も選択できます。

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「シボレー・コルベットE-Ray」のコクピット

インフォテイメントシステムに搭載された「E-Rayパフォーマンスアプリ」に、駆動システムの動作に関する技術情報も表示。

主な表示メニューは、電気モーターとV8エンジンの動的出力表示である「ゲージ」、選択可能な時間間隔でのパワー/トルクのグラフ表示である「ダイノ」、そして、電気システムの性能と効率性を表示する「データ」の3つです。

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「シボレー・コルベットE-Ray」のアルミホイール

足元には、最適なブレーキ性能を実現するブレンボ社製カーボンセラミックブレーキシステム、3種類のサスペンション設定が可能な「マグネティックライドコントロール4.0」を標準化。

さらに、20インチと21インチの「スタッガードホイール」に、「ミシュラン・パイロット・スポーツ・オールシーズンタイヤ」を採用。加えて、「ミシュラン・パイロット・スポーツ4S サマータイヤ」もオプションの「パフォーマンス・パッケージ」で選択できます。

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ブレンボ社製カーボンセラミックブレーキシステム

そのほか、安全装備では、「レーンキープアシスト(レーンディパーチャーウォーニング付き)」「フォワードコリジョンアラート」「オートマチックエマージェンシーブレーキング」など、先進安全装備も強化されています(2024年型コルベット全モデルに共通)。

●ハイパフォーマンス仕様「Z06」と共通のワイドボディ

エクステリアデザインは「Z06」と共通性のある力強いワイドボディのプロポーションが特徴で、大径ホイールがハイパフォーマンスを物語っています。軽量アルミホイールは、「E-Ray」専用の5スポークのツイストスターデザインになっています。

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「シボレー・コルベットE-Ray」のイメージ

純ガソリン仕様のコルベットより3.6インチ(約92mm)ワイドになり、ワイドスタンスが強調されています。アルミホイールは、4種類のアルミホイールのフィニッシャーを用意。さらに、オプションのカーボンファイバー製ホイール「カーボンフラッシュ」「ビジブルカーボンファイバーフィニッシュ」「レッドストライプ入りビジブルカーボンファイバー」も設定されています。

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「E-Ray」専用「ボディレングス・ストライプ・パッケージ」

ディテールでは、「エレクトリックブルー」の「E-Ray」専用「ボディレングス・ストライプ・パッケージ」や標準装備の「カーボンフラッシュバッジ」が個性を際立たせています。

ディテールでは、ブラックの「エグゾーストチップ」と「ブライトバッジ」のほか、カーボンファイバー製のグラウンドエフェクトも選択可能。ボディカラーは、2024年型の新色である「リップタイドブルー」「シーウルフグレー」「キャクタイ」を含めた全14色展開となっています。

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「E-Ray」のシート

インテリアでは、新しい「アルテミスディップドインテリア」の採用がトピックス。内装のフィニッシャーの大部分に深いグリーンの色調がアクセントカラーとして配置され、2024年型コルベットにのみ導入される配色になっています。

インテリアも2種類の「カーボンファイバー・トリムパッケージ」、3種類のシート、7色のインテリアカラーなど、複数のオプションから選ぶことができます。

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「E-Ray」のコクピット

さらに、コンソールには「Charge+」と「Stop/Start」のボタンが備わり、インフォテイメントシステムとインストルメントクラスター(メーター)の刷新により、先進性も強調されています。

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「E-Ray」のメーターディスプレイ

コルベット E-Rayの米国での希望小売価格は、1LZクーペが104,295ドル、1LZコンバーチブルモデルが111,295ドル。ケンタッキー州のGMのボウリンググリーン組立工場で生産される予定。

日本導入時期は、未定となっています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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