■ボクスター/ケイマンシリーズとして初めて、デュアルモーターによる全輪駆動を採用
ポルシェは現在、2ドアスポーツカー『718ケイマン/ボクスター』次期型となるフルエレクトリックモデルを開発中ですが、その最新プロトタイプをカメラが捉えました。
プロトタイプが発見されたのは、気温がマイナス25度まで下がる北極圏に近いスウェーデン北部です。この環境はフルエレクトリックモデルにとってかなり過酷な条件と言えるでしょう。
EVスポーツカーの場合、サーキットでのテスト時には、大量のバッテリーからの熱が発生してパフォーマンスを損なう可能性がありますが、氷点下での走行では、それ以上に大きな影響が考えられます。
さらに、バッテリー駆動のスポーツカーを作るには、実はエレクトリックSUVを作るより複雑でもあります。
理由は電気系のハードウェアを詰めるスペースが少なく、機器の重量が増えると、ハンドリングとブレーキングの性能が損なわれる可能性が高くなるからです。
そこでポルシェは、バッテリーパックをシートの下ではなく後ろに配置して、従来のミッドシップエンジンの車のレイアウトを模倣、低いルーフラインとシート位置を維持できるようにしたのです。
ボクスターとケイマン次期型EVは、最高出力1,088psを発揮する「ミッションRコンセプト」からインスパイアされたスタイリングを採用、ノーズ、テール、サイドの厳重なカモフラージュはそれを隠すためでしょう。後部では、タイカンとマカンEVのテスト車両同様にリアバンパー中央にダミーの排気口を追加しています。
ボクスターEVでは、アウディと共同で開発されている「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」(PPE)アーキテクチャを採用する可能性が高く、ボクスター/ケイマンシリーズとして初めて、デュアルモーターによる全輪駆動がホットモデルに用意される予定となっています。
注目されるのはEVによる重量増加がどう対処されるのかですが、ミッションRの重量は1,500 kg (3,306 ポンド) で、ケイマンGT4 RSより約85kg (187 ポンド) しか重くありません。となれば市販型でも同様の数値が期待できるでしょう。
エレクトリック718ケイマンとボクスターの生産は、2024年後半に予定されていることから、ふたつのEVは2024年モデルとして、2023年内にワールドプレミアが期待されています。
またポルシェは自ら、2020年代終わりまでに年間販売の80% がICE(内燃機関)の無い車両になるだろうと予測しています。