スタッドレスタイヤの買い替えや交換時期とは? 都市部に住む4人に1人が「年中履きっぱなし」で危険を経験

■「スタッドレスタイヤの利用実態」に関する調査

今シーズンの冬は、例年以上に各地で大雪が降り、北海道や東北、北陸などで大きな被害が出ていることが報道されています。

降雪量が少ない都市部に住んでいる人には、あまり大雪による影響は少ないかもしれませんが、たとえば、年末年始や冬休みなどに、帰省やレジャーなどで雪道を運転する人も少なからずいると思います。

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
帰省やレジャーなどで雪道を運転するなら、スタッドレスタイヤは必須

そんな、冬の雪道や凍結路での運転に欠かせないのが「スタッドレスタイヤ」。滑りやすい雪道でも比較的安全に運転できる便利なタイヤですが、たとえば、一年中履きっぱなしなどにしていると、思わぬ危険や事故に遭遇してしまうこともあります。適切な交換時期や買い替えの時期を知り守ることは、非常に重要です。

では、特に都市部に住んでいるユーザーの場合、スタッドレスタイヤについて、どれほどの頻度で買い替えたり、交換を行っているのでしょうか?

廃車・事故車買取専門『事故車買取王 八王子店』を運営する企業Santa Corporate(以下、サンタコーポレート)では、都市部在住のマイカー所有者で、スタッドレスタイヤを所持する1002名を対象に、「スタッドレスタイヤの利用実態」に関する調査を実施。

その結果、スタッドレスタイヤを「年中履きっぱなし」にしたことで、危険な経験をしたことがある人が、4人に1人の割合でいることなどが分かりました。

●スタッドレスタイヤが必要な場所へ行く頻度

今回の調査は、2022年11月25日〜2022年11月26日の期間、インターネットによるアンケート形式で実施されたものです。

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤが必要となる場所へ行く頻度は「1年に1回」が最多

また、調査対象は、東京(23区)・大阪(大阪市)・名古屋市・福岡(市)といった都市部在住者で、前述の通り、マイカーを持ち、スタッドレスタイヤを所有する1002名です。

調査では、まず、「スタッドレスタイヤが必要となる場所へ行く頻度」について質問。

1位:「1年に1回」 23.7%
2位:「半年に1回」 21.1%
3位:「2〜3カ月に1回」 20.9%
4位:「月に1回以上」 20.3%
5位:「2〜3年に1回」 12.1%
6位:「そのほか」 1.9%

といった結果になりました。都市部に住んでいる人は、実際にスタッドレスタイヤが活躍する場面は、やはり少ないようです。

●買い替えは「2〜4年に1回」が最多

続いて、アンケートでは、スタッドレスタイヤの買い替えタイミングについて調査。まず、「スタッドレスタイヤの適切な交換頻度をご存知ですか?」という質問をしています。その結果は、以下の通りです。

・「知っている」 62.0%
・「知らない」 38.0%

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤの適切な交換頻度を知っているかや、どれくらいの頻度で買い換えているか(出展:サンタコーポレート)・「知らない」 38.0%

と、6割以上が「知っている」と回答しているものの、知らない人も約4割もいるようです。

では、実際にスタッドレスタイヤを買い替える頻度はどれくらいなのでしょう。調査では、「スタッドレスタイヤをどれくらいの頻度で買い換えているか」も質問しています。その結果は以下の通りです。

1位:「2〜4年に1回」 44.2%
2位:「5年に1回」 21.7%
3位:「1年に1回」 15.5%
4位:「6〜10年に1回」 8.8%
5位:「半年に1回」 7.4%
6位:「そのほか」 2.5%

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤの買い替え頻度は「2〜4年に1回」が最も多かった

なお、調査では、回答した買い替え頻度の理由についても聞いており、以下のようにいくつかコメントを紹介しています。

・【1年に1回】タイヤがダメになる気がするから(20代/女性/東京都)
・【2〜4年に1回】タイヤの減りを確認するとその頻度(50代/男性/東京都)
・【2〜4年に1回】あまり使っていないので(40代/男性/大阪府)
・【6〜10年に1回】使用頻度が少ないから(40代/男性愛知県)

これらの結果に対し、調査を行ったサンタコーポレートでは、

「(一般的に)各種タイヤメーカーがスタッドレスタイヤの性能を保証している期間は3年」

だといわれていることを紹介。さらに、

「多くの方が保証期間通りで買い替えを行っている一方、1シーズンのみの使用のため、実際の走行頻度と併せて買い替えを検討する方も多い」

といった分析をしています。

●履き替え時期は「冬のシーズンに入る前」が最も多い

さらに、調査では、「スタッドレスタイヤに履き替えるタイミング」についても質問。その結果は以下の通りです。

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤに履き替えるタイミング(出展:サンタコーポレート)

1位:「冬のシーズンに入る前(雪が降る前)」 57.9%
2位:「本格的に冬のシーズンに入ってから(雪が降り始めるようになってから)」 22.6%
3位:「路面の凍結状況を見てから」 10.8%
4位:「冬のドライブの頻度が増えてきたとき」 5.0%
5位:「年中履きっぱなし」 2.3%
6位:「そのほか」 1.5%

事故などの危険性が高い冬のシーズンに入る前や、入ってから履き替える人が多い一方、「年中履きっぱなし」という人も少数ながらいたようです。

なお、調査では、「年中履きっぱなし」と回答した人に、その理由も聞いており、以下のようにいくつかコメントを紹介しています。

・1年中使えるタイヤをつけているため(30代/女性/東京都)
・タイヤ管理が面倒(40代/男性/福岡県)
・交換が手間だから(40代/女性/大阪府)
・数年で取り換えた方がいいから(50代/男性/東京都)

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤを「年中履きっぱなし」で実際に危険な経験をした人もいる

上記の「1年中使えるタイヤをつけているため」とは、最近出てきたオールシーズン対応タイヤを使っているようですね。ただし、なかには、タイヤ交換や管理が面倒だったり、手間だったりといった理由で「履きっぱなし」にしている人もいるようです。

●そもそも「履きっぱなしは危険」と知っている?

スタッドレスタイヤは「履き替えるものである」ということは、購入時にショップなどから説明を受けたり、給油時にガソリンスタンドで案内を受けたりして、知る機会も多いといえるでしょう。

そこで、調査では、実際に「履きっぱなしにするとどのような危険があるのか知っているか」も聞いています。結果は以下の通りです。

・「はい」 70.7%
・「いいえ」 29.3%

やはり、危険があることを知っている人は全体の70.7%と大半を占めましたが、知らない人も29.3%いたり、前述の調査結果のように、「年中履きっぱなし」という人が全体の2.3%います。

●危険な経験をしたユーザーの事例

これについて、調査を行ったサンタコーポレートは、

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
履きっぱなしにするとどのような危険があるのかしっているかや危険な体感があるか(出展:サンタコーポレート)

「事故に対する危険度で考えると(「年中履きっぱなし」と回答した人の割合などは)決して少ない数字ではない」

と分析。そこで、「実際にスタッドレスタイヤを履きっぱなしにして危険な目にあったことがあるか」も聞いています。結果は次の通りです。

・「はい」 24.0%
・「いいえ」 76.0%

実際に、危険な経験をした人が2割以上いたようです。なお、調査では、「はい」と回答した人に、実際どんな経験をしたかも聞いており、コメントを以下のようにいくつか紹介しています。

・雨の日にブレーキを踏んだらタイヤが滑った(40代/男性/愛知県)
・シャーベット状の道路で横滑りした(40代/男性/愛知県)
・高速がアイスバーンでスリップ(50代/男性/会社員)
・ブレーキを踏んでも止まらなかった(50代/男性/会社員)

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤのトレッドパターン

少数派ではありますが、一歩間違えば命に関わるような経験をした人もいるようです。

●夏に使用すると起こるトラブルとは?

さらに、調査では、「スタッドレスタイヤを夏に使用すると起こる可能性があるトラブルのうち、危険性が高いと感じるもの」についても質問。事前に選択肢を複数用意し、回答者へ選んでもらった結果が以下の通りです(複数回答可)。

1位:「滑りやすくなる」 54.1%
2位:「タイヤの寿命が短くなる」 50.6%
3位:「ブレーキの利きが悪くなる」 44.9%
4位:「バーストしやすくなる」 40.5%
5位:「燃費が悪くなる」 38.9%
6位:「走行ノイズが大きくなる」 19.9%
7位:「そのほか」 1.5%

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤを夏に使用すると起こる可能性があるトラブルのうち、危険性が高いと感じるもの(出展:サンタコーポレート)

さすがに、スタッドレスタイヤを「履きっぱなし」にすると危険だと知っている人が70.7%いただけに、夏に使用するとどんな危険があるのかを知っている人も多いようです。

●どれくらの摩耗で交換すべきか?

スタッドレスタイヤは、低温の路面でもグリップしやすいように柔らかい特殊なゴムを使っていることが多いので、路面温度が高い夏場に使うと、早く劣化しがちです。まだ買ってさほど時期が経ってないとか、溝が残っていると思っても、本来の性能を発揮できなくなることも多いのです。

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
スタッドレスタイヤを夏場も履いていると、劣化が早くなる

ちなみに、たとえば、ブリヂストンでは、公式ホームページで「ブリザック」など同社製スタッドレスタイヤの寿命について紹介しています。

それによれば、スタッドレスタイヤも、法律で定められた残り溝の深さは「1.6mmまで」とサマータイヤと同じ。ただし、スタッドレスタイヤの場合は、使用できる寿命の限界は、もっと早く訪れるといいます。

「新品時から50%摩耗すると、氷雪路でのグリップ性能が大きく低下する」というのです。その理由は、トレッドパターンに入っている「切れ込み(サイプ)」。スタッドレスタイヤは、雪や氷に覆われた路面でしっかりとグリップさせるために、路面で雪が溶けた水を除去するなどの効果を出すサイプを、サマータイヤより細かくしているというのです。

そして、トレッドパターンが走行で摩耗すると、サイプも浅くなり、除水効果やグリップ力などが低下するのだといいます。そこで、ブリヂストンでは50%の摩耗を目安にスタッドレスタイヤの交換を推奨しているのです。

スタッドレスタイヤの利用実態に関する調査
チェーン規制がでるような道路を走る予定がある場合は、タイヤチェーンも必須

なお、これも雪道などの常識ですが、「チェーン規制」が出た道路では、スタッドレスタイヤを履いているだけでは通行できません。そうした道路では、タイヤチェーンを装着して走らないと、法律違反になるだけでなく、危険です。

もし、年末年始に、チェーン規制が出そうな地域へクルマで行く場合は、スタッドレスタイヤだけでなく、必ずタイヤチェーンも携行していきましょう。

(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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