車内キャパシティも売りだったホンダ「モビリオ」がデビュー。オデッセイより取り回しの良いミニバン【今日は何の日?12月21日】

■個性的なコンパクトミニバンとして人気を獲得

2001年に登場したモビリオ。3列シート、7人乗りのコンパクトミニバン
2001年に登場したモビリオ。3列シート、7人乗りのコンパクトミニバン

2001(平成13)年12月21日、ホンダから「キャパ」の実質的な後継車として「モビリオ」がデビューしました。

当時は、オデッセイが起爆剤となったミニバンブームが起こっており、ホンダは「オデッセイ」より一回り小さく、取り回しの良いコンパクトミニバンを投入したのです。

●モビリオの先代はキャパ、モビリオの後継がフリート

「ロゴ」をベースにした、コンパクトなマルチワゴン「キャパ」がデビューしたのは1998年のこと。キャパがモビリオの先代であり、モビリオは現在コンパクトミニバンとして人気を博している「フリード」の先代にあたります。

1998年にデビューしたキャパ。コンパクトなハイトワゴン
1998年にデビューしたキャパ。コンパクトなハイトワゴン

キャパは、当時ホンダが進めていた“Jムーバー(楽しさ創造車)”シリーズの第1弾として登場。ボクシーなハイトワゴンで、取り回しの良いコンパクトなサイズでありながら、フラットフロアを実現して、ゆとりあるミニバン並みの室内空間を実現しました。

メカニズムは、基本的にはロゴと共用で、パワートレインは車重が増えた分、排気量を拡大した1.5L直4 SOHCエンジンとホンダマチックCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが選べました。多彩な機能を装備したキャパでしたが、真面目すぎて遊び心に欠けていたためか、販売面では良い結果は出せませんでした。

●コンパクトなボディに3列シートを配置した個性派ミニバン

モビリオの多彩なシートアレンジ
モビリオの多彩なシートアレンジ

モビリオは、「フィット」と同じグローバルスモールプラットフォームを採用。燃料タンクを車体中央のフロントシートの下に配置して、全長4m程度の小さなボディに3列シートを収めているのが特徴です。

モビリオの後ろ外観。コンパクトながら、大きなウィンドウとドアで優れた乗降性を実現
モビリオの後ろ外観。コンパクトながら、大きなウインドウとドアで優れた乗降性を実現

スタイリングは、欧州の路面電車をモチーフにしたとされる、低いフロアと圧倒的に大きなウインドウが特徴。さらに、ショートノーズに大型ヘッドライトのフロントフェイスがユニークでした。インテリアは、多彩なシートアレンジを可能とし、中でもサードシートがセカンドシートの下に収まる機構が注目されました。

パワートレインは、1.5L直4 SOHCエンジン、および1.5L直4 SOHC VTECエンジンと、ホンダマチックCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

モビリオは、そのユニークなスタイルと使い勝手の良さで人気を獲得します。1年後には2列シート/5名乗りの「モビリオスパイク」を追加。ユニークで独自性あふれるモビリオは、2008年に「フリード」に後を任せる形で生産を終えました。

●モビリオの後を継いだフリードは今もヒットを継続中

フリードは、ホンダの特徴である低床・低重心を採用した5ナンバーミニバンとして2008年に登場しました。

2008年にデビューしたフリード。現在もコンパクトミニバンで高い人気を獲得
2008年にデビューしたフリード。現在もコンパクトミニバンで高い人気を獲得

“フリーライフ・クリエイション”というコンセプト通り、ゆとりある室内空間とライフスタイルに合わせた自由な使い方ができるミニバンです。

具体的には、スタイリッシュな引き締まったフロントフェイス、多彩なシートアレンジ、利便性に優れた両側スライドドアなどを採用。パワートレインは、1.5L直4 i-VTECエンジンとCVT、および5ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが選べました。

コンパクトながら自由度の高いフリードは、発売後約1ヶ月で約20,000台を受注するなど、20代~40代のファミリーを中心に高い人気を誇り、モデルチェンジを経て14年経った現在も高い人気を堅持しています。


7人乗り3列シートで、広い室内空間と多彩なシートアレンジ、両側スライドドアなどのモビリオの基本技術が、現在もコンパクトミニバンをけん引する人気のフリードに生かされているのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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