目次
■復活したスバルR2だが、スバル最後の軽乗用車に
2003(平成15)年12月8日、スバル(当時は富士重工業)から新型の軽自動車「スバルR2」がデビューしました。R2という車名は、往年の名車「スバル360」の後継として1969年にデビューしたスバルR-2を復活させたものです。新型R2も、スバルらしい先進技術満載の個性的な軽自動車でした。
●名車スバル360の後継として登場した初代スバルR2
スバル360の後継としてスバルR-2がデビューしたのは1969年のこと。“てんとう虫”の愛称で大ヒットしたスバル360は、10年間軽乗用車のトップの座に君臨しますが、1960年代後半には「ホンダN360」を筆頭にライバル車の出現によってトップの座を奪われ、人気に陰りが見え始めます。
人気挽回のためにモデルチェンジで登場したのが、スバルR2だったのです。軽量モノコックボディやRR(リアエンジン・リアドライブ)、足回りなどはスバル360を踏襲しましたが、外観はてんとう虫の雰囲気から脱却してベーシックな2ボックススタイルへと変貌しました。搭載されたエンジンは、最高出力30PSを発揮するアルミの360cc 2気筒空冷2ストロークでした。
スバルR2は、好調に滑り出しますが、その後はライバル車の低価格かつ高出力戦略に遅れを取り、人気は頭打ちになってしまいます。これを受け、スバルR2は3年半の1世代で生産を終えました。
●先進技術を搭載して復活したR2も、販売は伸びず…
初代のR2生産終了から31年の時を経て2003年のこの日、スバルR2が復活。全長と全幅は軽規格ギリギリで、全高が1520mmと低いワンモーションのスタイリッシュなデザイン。当時ボクシーなスタイリングの軽が一般的な中では個性的でした。
エンジンは、排気量660ccながら当時としては非常に珍しい4気筒エンジンで、標準的なSOHCの「i」(46PS)、可変バルブ機構付DOHCの「R」(54PS)、スーパーチャージャー付DOHCの「S」(64PS)の3種を設定。トランスミッションは、CVTおよび5MT、駆動方式はFFと4WDが選べました。
足まわりについては、前後ともストラット/コイルの4輪独立サスペンション、ベンチレーテッド・ディスクブレーキなど、軽としては豪華な装備が際立っていました。
個性的なスタイリングと先進技術を装備したスバルR2は、技術的には高く評価されましたが、販売は伸びず2010年に生産を終了。併せて、スバルは2008年に軽自動車の自社開発から撤退することを公表しました。
●3ドアハッチバックの兄弟車R1も登場
R2発売の1年後、2004年12月に「スバルR1」がデビューしました。
基本的には、R2と同じ装備の兄弟車のような位置づけですが、R2が4ドアに対してR1は3ドアハッチバックと、パーソナルカーの色合いが強いモデルでした。R1の方が全長が110mm短く、全高が10mm低い、より丸みを帯びたスタイリングは、スバル360を彷彿させるものがありました、
しかし、当時は実用性重視の背の高いボクシーなハイトワゴンが市場を席巻。スペシャリティ感の強いR1は、R2よりもさらにその存在感を示すことができませんでした。
居住性や使い勝手の良さが優先される現在の軽自動車、1970年代~1980年代に一世を風靡したスタイリッシュな軽のスペシャリティカーですが、昨今の市場では受け入れてくれない?のでしょうか…。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)