自動運転EVが「はたらく現場」を助ける!ヤマハの技術を使った国内初の自動搬送サービスとは

■工事不要で導入できる自動搬送商用サービス「eve auto」が本格始動へ

ヤマハ発動機、ティアフォー、eve autonomyがサービス提供を開始した「eve auto」。運用イメージ
自動搬送サービスに使用するのは、ヤマハ発動機がゴルフカーをベースに開発した小型EV「FG-01」

材料や部品、完成品など、あらゆるモノを自動で運ぶ無人搬送車AGVは、すでに多くの工場や倉庫で大活躍しています。「経路誘導式」「自律移動式」「追従式」など、タイプは違えど、それぞれが作業の省人化・無人化に貢献しています。

その無人搬送車の世界に、“期待の新星”が登場したようです。

●レベル4の自動運転に対応した屋外対応型EV

もはや、大型工場や倉庫では不可欠な存在となったAGVですが、屋外で走れるものはほとんどありませんでした。

構内を走り回るトラックや段差、ときには悪天候などが待ち受ける屋外においては、いまだにフォークリフトや手押し台車、貨物車など、人が主体になって搬送を行っているのです。

ヤマハ発動機、ティアフォー、eve autonomyがサービス提供を開始した「eve auto」。運用イメージ
ヤマハ発動機、ティアフォー、eve autonomyがサービス提供を開始した「eve auto」

ヤマハ発動機と、自動運転OSを開発するスタートアップ・ティアフォー、サービス提供会社であるeve autonomyが、2022年11月30日(水)に本格的にスタートさせた「eve auto」は、屋外対応型の自動搬送サービス。レベル4の自動運転技術を使った自動搬送サービスを、国内で初めて事業として始動させました。

1.5tの牽引能力、300kgの積載能力をもつ自動運転EVは、夜間や段差、トラックやフォークリフトなどが行き交う交差点などでも自動搬送を行うことができる優れもの。最大7度の傾斜や最大30mmの段差にも対応するパワフルな走行性を誇り、雨天でも夜間でも走行できます。

●LiDARを使って高精度3次元地図を作成

ヤマハ発動機、ティアフォー、eve autonomyがサービス提供を開始した「eve auto」。運用イメージ
月額38万円(税別)のサブスクプランとして提供をスタートした「eve auto」

全長2.2m、全幅1.1m、全高1.8mのボディは、工場の中にも入っていけるコンパクトサイズ。段差をしなやかに乗り越えるべく、ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用しています。

搭載するリチウムイオンバッテリーは、ソケットに指すだけで約10時間あれば“満タン”に。自動運転に必要なLiDARセンサーや障害物検知センサーはもちろん、拡声器や進行方向表示灯、ウインカーやヘッド/テールライトも標準装備しています。

自動運転のための「高精度3次元地図データ」を作成するには、まず手動でEV車両を希望のルートに沿って運転し、LiDARでセンシングしながらデータ計測を行います。さらに走行レーンや一時停止線、ウインカー表示、速度などの設定を行うことで、最短1週間で運用をスタートすることができるといいます。

さらに、導入後であっても、専用アプリケーションにより走行ルートの修正や停車位置の変更を、ユーザー側で簡単に行えるのも特徴です。

●まずは定額のサブスクプランから

ヤマハ発動機、ティアフォー、eve autonomyがサービス提供を開始した「eve auto」。運用イメージ
はたらく現場に新しいソリューションを提供する「eve auto」

「eve auto」は、まず月額38万円(税別)のサブスクリクション型プランとしての提供となります。

サービス内容には、車両本体にくわえて、導入支援サービス、運用のサポート、メンテナンスサービス、対人・対物補償を含めた専用保険などが含まれています。2023年度中には、買い取り型のプランも設定できるよう、現在準備を進めているそう。

ドローンにヘリコプター、そしてゴルフカー。ヤマハ発動機自慢のモビリティたちは、自動運転技術と組み合わされることで、さらなるポテンシャルを発揮しようとしています。

三代 やよい

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この記事の著者

三代やよい 近影

三代やよい

自動車メーカー勤務後、編集・ライティング業に転身。メカ好きが高じて、クルマ、オートバイ、ロボット、船、航空機、鉄道などのライティングを生業に。乗り継いできた愛車は9割MT。ホットハッチとライトウェイトオープンスポーツに惹かれる体質。
生来の歴女ゆえ、名車のヒストリーを掘り起こすのが個人的趣味。
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