乗り味激変を体感!運転が楽になるヤマハ・パフォーマンスダンパー【体験試乗】

■ボディに取り付けるダンパー

パフォーマンスダンパー
ヤマハ・パフォーマンスダンパー

カスタム、チューニングに興味のあるかただったら、名前はご存じかもしれません。

ヤマハ発動機の「パフォーマンスダンパー」。

パフォーマンスダンパー_カットモデル
中身は単筒式のサスペンションダンパーとほぼ同じ。中立を保つようにバネも収まっています

初登場からは20年以上経過していますが、その後各社にOEM供給されるようになり、TRD、無限、HKS、COXなど、さまざまなブランドから、トヨタ/レクサス、ホンダ、スズキ、スバル、ミツビシ用のほか、輸入車用も発売されています。

で、このパフォーマンスダンパーがどういうものかというと、車体に装着して、車体の振動を抑える油圧式ダンパーです。構造はクルマ用の単筒式のサスペンションダンパーとほぼ同じ。ガス反力を相殺するためにスプリングが内蔵されていて、ボディにテンションは加えないようになっています。

パフォーマンスダンパー_装着01
4輪車では多くの車種で見えないところに装着されるので、残念ながらドレスアップにはなりません
パフォーマンスダンパー_装着02
装着場所は、だいたいボディの前端付近と後端付近。ボルトオン装着か、わずかな加工で取り付けができるようになっています

特徴的なのは、サスペンションダンパーがcm単位のストロークで動く前提で作られているのに対して、パフォーマンスダンパーはμm単位で働くように作られていることです。それは、ボディの変形、振動がそれくらいの微細な動きだからです。なお、4輪車の場合は通常、前後に1本ずつ装着します。

●剛性アップパーツではありません

ボディに取り付ける棒状のパーツといえば、「ストラットタワーバー」や「ロアアームバー」などの剛性アップパーツがポピュラーですが、このパフォーマンスダンパーは剛性アップパーツではありません。

ボディ剛性を上げれば走行中のボディの変形は減りますが、それでもゼロにはなりません。そして、曲がったりよじれたりしたボディは元に戻ろうとしますが、その際には振動を繰り返します。結局、高剛性ボディであっても振動は起きてしまうのです。

その振動を抑えるのがこのパフォーマンスダンパーの役割です。

PD体感サンプル01
パフォーマンスダンパーの作用を体感する器具。鉄の角パイプで作った四角い枠をプラスチックハンマーで叩くと、「コォォォォォン」と鳴ります
PD体感サンプル01
こんどは、鉄の枠にパフォーマンスダンパーが装着されたものを叩いてみると、「コンッ」と一瞬鈍い音が鳴って、すぐに消えます

ヤマハ発動機は、以前から自動車用高性能エンジンの開発とOEM供給を行ってきましたが、1989年にそのエンジン性能を受け止めるシャシー技術開発を独自にスタートしました。

もともと専門ではない分野でもどんどん独自で切り開いていこうという意気込みがヤマハらしいです。

その後、2000年前後にサスペンションダンパーのみでの高性能化に限界を感じ、車体剛性に関する研究開発も捗らず、「必要なのは車体剛性ではなく車体粘性」との仮説から、このパフォーマンスダンパーの開発に着手し、予想以上の手応えを得て市販化に至ったそうです。

●乗ってすぐにわかる乗り心地の違い

それなりに歴史があり、生産累計200万本に達するパフォーマンスダンパーですが、このたび体験試乗会が、箱根ターンパイクで行われたので行ってまいりました。

パフォーマンスダンパー装着YZF-R7
このYZF-R7にもパフォーマンスダンパーが装着されていました。ヤマハ車以外にもOEMで幅広く設定があります

最初にYZF-R7(大型バイク)と、トヨタ・4ランナー(ハイラックスサーフの海外専売車)に乗ったのですが、これらは装着されている車両に単独で乗っただけなので、正直に言って効果はよくわかりませんでした。

パフォーマンスダンパー装着4ランナー
ラダーフレームのSUV車もパフォーマンスダンパーのおかげかごく自然に運転できました

ただ、4ランナーに関しては、ラダーフレームの車両なので、ノーマルは操作に対して動きがワンテンポ遅れる独特の乗り味になるという話でしたが、パフォーマンスダンパー装着車は特に違和感なくフツーに乗ることができました。

パフォーマンスダンパー装着車
パフォーマンスダンパーを装着したクラウン。路面の凹凸で気を使わずに走れます

そして、いよいよトヨタ・クラウンのパフォーマンスダンパーあり/無し乗り比べです。

まず装着車に乗ったのですが、最初の印象が「あれ、今のクラウンってこんな乗り味なのか。イメージが違うな」というものでした。

なんか、クッション感がうすくて、やたらベタッとしたフラットな乗り心地に感じたのです。かといって、乗り心地が悪いわけでも固いわけでもない。ちょっと不思議な感じでした。

パフォーマンスダンパー非装着クラウン
パフォーマンスダンパー非装着のクラウン。段差を超えると、わずかにオマケ的な動きがあります

そのあとパフォーマンスダンパー非装着車のクラウンに乗ってみました。「そうそう、これぞクラウン。これぞフツーの高級セダン」という感じでした。違いは明確です。

重厚ながらダンピングも効いて、フワフワではないにしろクッション性を感じる乗り心地です。極端にいえば、非装着車のクラウンはソファに座っている感じ。それに対してパフォーマンスダンパー装着車は学校の板張りの椅子に座っているような感じです。

というと装着車のほうは乗り心地が悪そうなイメージになっちゃいますが、違います。ソファのほうは、自分がちょっと動くと揺れちゃうんです。学校の椅子は揺れない。

実際はパフォーマンスダンパー装着車もサスペンションがちゃんと機能しているので、乗り心地が悪いということはありません。ただ、揺れが少なく平坦な感じがするのです。

少しスピードを上げると、違いはさらに明確でした。路面の段差を通過したとき、非装着車のクラウンのほうが、ちょっとだけ気を使うのです。大して大きい段差ではなく、ごく普通にある路面の凹凸を乗り越えるときでもそうです。1回1回気を使う程度はわずかなので、修正蛇というほどのものでもないのですが、少しだけ身構えていました。

普通はそんなこと意識しないのですが、先にパフォーマンスダンパー装着車に乗ったので、非装着車に乗ったときに、そのわずかな緊張感に気づいてしまったのです。

一方、パフォーマンスダンパー装着車に乗れば、かなり気を使わなくて済みます。つねに運転が楽になるので、長い距離を乗るほどパフォーマンスダンパー装着車のほうが疲れにくそうです。わだちがあったり、雨で濡れていたりする路面だと、違いは特に顕著でしょう。

パフォーマンスダンパー非装着MT-25
パフォーマンスダンパーはヤマハ車だけでなく、2輪車用も幅広く設定があります

そして最後に、250ccバイク、MT-25のパフォーマンスダンパーあり/無し乗り比べを行いました。

MT-25はパフォーマンスダンパー非装着車でもしっかりしていて、安心感がある印象でしたが、パフォーマンスダンパー装着車に乗ってみたら、まず大型バイクかと思うほど振動が抑えられ、高級感と快適性が増しました。

パフォーマンスダンパー装着MT-25
パフォーマンスダンパーを装着したMT-25。軽快感は残しつつ、しっかりした感じが増しました

そして、やっぱり違いが大きかったのはコーナリング時です。バイクはバンクさせて曲がることもあって、4輪車以上に路面の凹凸に対してシビアなのですが、まるで舗装がキレイになって、路面の凹凸が減ったかのような安心感!

公道ではコーナリングスピードの上がりすぎに気をつけないといけないほど、安全マージンが上がったような印象です。

●剛性アップパーツより体感できる!?

4輪にしろ、2輪にしろ、パフォーマンスダンパーは「攻めないとわからない」「素人にはわからない」というものではありませんでした。剛性アップパーツよりずっと体感しやすいような気がします。

ちなみに、パフォーマンスダンパーは車種別の製品で、簡単取り付けが可能なように長さやブラケットが設定されているほか、減衰力もその車種に合ったものがチョイスされて使われています。振動はただやみくもに抑えればいいというものでもなく、適切な設定があるそうなので、付くからといって他の車種用のものを付けても逆効果になることがありえるそうです。

ボディの振動を抑えるというのは、言われてみればごもっともな手法で、これまでどこもやってこなかったのが不思議なくらいですが、ヤマハの着眼点はお見事だと思います。コスト増以外のデメリットは感じないので、興味があるひとにはおススメですよ。

(文:まめ蔵/写真:クリッカー編集部、ヤマハ発動機)

【関連リンク】

ヤマハ発動機・パフォーマンスダンパー
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この記事の著者

まめ蔵

まめ蔵 近影
東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦。好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。