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■共同開発車コンチェルトの後継だが、ホンダ独自開発の日本専売車
1992(平成4)年11月4日、シビックとアコードの中間に位置する「ドマーニ」の発売が始まりました。ローバーと共同開発した小型セダン「コンチェルト」の後継車ですが、海外モデルからは完全に切り離されて、ホンダ独自開発の日本専用車になりました。
●ローバーとの共同開発で誕生したコンチェルト
ホンダは、1979年に英国のローバーグループと技術提携に合意し、欧州における4輪車生産の第一歩を踏み出し、1990年には資本提携を締結しました。
1988年にローバーとの共同開発で誕生したのが、小型セダンのコンチェルト。4代目シビックをベースに、4ドアセダンとテールゲート付き5ドアセダンで、欧州仕様と日本仕様では足回りが異なりました。
スタイリングは、欧州テイストの落ち着いた雰囲気で、車格としてはシビックとアコードの中間的な位置づけでした。パワートレインは、1.5L&1.6L直4 SOHC高性能ハイパーエンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はFFベースですが、4ドアセダンにはフルタイム4WDも用意されました。
上質感のある小型セダンでしたが、当時はバブル景気の真っただ中。あまりに正統派(地味)過ぎたためか、販売は低迷、僅か4年で生産を終えました。
●日本専売車になったドマーニも正統派セダンを継承
コンチェルトの後継にあたるのが1992年にデビューしたドマーニですが、海外モデルからは完全に切り離されて、ホンダ独自開発の日本専用車になりました。
ベースとなったのは、シビックのセダン「シビックフェリオ」で、ボディ骨格やパワートレインを共用。スタイリングは、角型ヘッドライトにスラントノーズと、オーソドックスなセダンスタイルが採用されました。
パワートレインは、1.6L直4 OHCおよびそのVTEC仕様、1.8L直4 DOHCの3種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は基本FFですが、コンチェルト同様フルタイム4WDが用意されました。もともと先代は欧州を意識して開発されたので、実用性や快適性が重視されたモデルでした。
ドマーニは、広い室内空間と快適な乗り心地、力強い走りを実現したコンパクトなセダンでしたが、コンチェルト同様、地味な印象は避けられず、販売は不調でした。
●ローバーと提携していた時期の共同開発モデル
ホンダとローバーグループは、1990年~1994年までの5年間、資本提携していましたが、その間、両社でコンチェルトのように共同開発したり、OEM供給したモデルが多くあります。
高級車「ローバー800」シリーズのベースは初代「レジェンド」、「ローバー400」シリーズは「欧州シビック」と主要コンポを共用、「ローバー200」シリーズのベースは「バラード」でした。
一方で、オフロード4WDを持っていなかったホンダは、「ランドローバーディスカバリー」のOEM供給を受け、1993年~1998年まで「クロスロード」の車名で販売していました。シャープなフォルムと優れた4WD性能で人気を獲得しましたが、まだ日本ではSUVブームが起こっておらず、大ヒットになりませんでした。
ドマーニは、すべてにバランスの取れたコンパクトなセダンでしたが、地味な印象は避けられませんでした。個性的でないとすぐに、ホンダらしくない、若々しさや面白みがない、と言われてしまうのは、ホンダ車の宿命だったのですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)