■ベテラン向けの「プロフェッショナルモード」、ビギナー向けの「シンプルモード」を用意
このほど、ヤマハ発動機は、産業用マルチローター「YMR」シリーズの新機種「YMR-II(ワイエムアール・ツー)」を、2023年春に発売すると発表しました。自動飛行機能が標準搭載された「YMR-II」は、安全、安心な国産農業用ドローンを目指して開発されています。
主な特徴として、農業生産現場で得られたノウハウの流出、機体の乗っ取りなどから生産者を守る高い情報セキュリティ機能を備えています。
さらに、初心者でも運用が容易な新型自動飛行用アプリケーション「agFMS-IIm」による優れた自動航行、自動離着陸機能を用意。ベテランの方が詳細に飛行設定できる「プロフェッショナルモード」と、初心者でも簡単に飛行設定可能な「シンプルモード」が搭載されています。「シンプルモード」では、画面の指示に従う操作で、容易に設定を完了することができます。
また、高精度な測位を実現するRTK方式(場で取得した衛星データ、周辺の電子基準点の観測データから作成された補正情報を組み合わせてリアルタイムで測量を行う方式)は、従来の基準局モジュールを用いるRTK-GNSS方式、基準局モジュールが不要なネットワーク型RTK-GNSS方式のいずれも選択できます。
6枚のローター(回転翼)が配されたヘキサコプターである「YMR-II」は、外乱に強く、安定した飛行と機体の軽量化に貢献するローターレイアウトが採用されています。また、アルミとカーボンファイバーの強化樹脂によるボックスフレーム構造により、高い飛行安定性を実現しているそう。
なお、ローターを折りたたんだ収納時のサイズは、コンパクトな733×626×786mmで、同社の従来型との体積比では、約1/2の縮小を実現したそうです。
そのほか、ワンタッチでアーム開閉が可能な新機構やカセット式散布タンク、丸洗いできる防水性能(防水規格:IP55)などにより、効率的な作業をサポート。加えて、今後は、粒剤散布装置、4Kカメラ、障害物センサー、追加散布ポンプなどのオプションを揃え、多様化するニーズに対応する構えです。
「YMR-II」の開発は、農研機構(NARO)が事業実施主体である国際競争力強化技術開発プロジェクトの「安全安心な農業用ハイスペックドローンおよび利用技術の開発」を2021年6月に受託したハイスペックドローン開発コンソーシアムの事業として進められています。
機体の基本要素は、他社でも利用可能な基盤技術として開発が推進され、こうした技術は、日本国内のドローン産業の国際競争力向上に貢献するものとして期待されます。
なお、2022年10月12日~14日に、千葉県の幕張メッセで開催される「第12回農業Week」のヤマハ発動機ブースに、同製品が参考出品されます。
(塚田勝弘)
【関連リンク】
農業Week 2022
https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/agriexpo-week2022/