第7戦オートポリス GT500決勝、予選前のクラッシュから復活したAstemo NSX-GTが今季初優勝【SUPER GT 2022】

■ポールポジションのリアライズコーポレーション ADVAN Zが序盤をリード

10月1日(土)、2日(日)に大分県オートポリスで開催の2022 AUTOBACS SUPER GT第7戦「FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE」。2日には決勝レースが行われました。

フォーメーションラップの様子
フォーメーションラップの様子

スターティンググリッドに並ぶ数々のマシンの中で異彩を放っていたのが、17号車 Astemo NSX-GT。フロントのバンパースポイラー、ボンネットカウルなどがカーボン素材むき出しの無塗装状態となっていました。

これは、実は前日の午前の公式練習の終盤にクラッシュをしたためです。フロント部分がカーボン地のままではありますが、マシンの修復が間に合い、予選Q1に出場。そしてQ2進出を果たしての4番グリッド獲得、という波乱の傷跡だったのです。

また、予選15位だった37号車 KeePer TOM’S GR Supraは、スタートで使う予定のタイヤが耐えられないという判断により、ピットでスタート直後にタイヤ交換をするということでピットスタートを選択し、スターティンググリッドは14台が並ぶこととなります。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT

そんなGT500クラスを擁した第7戦オートポリスは、13時35分に交通安全啓発のために大分県警察の白バイやパトカーが先導するパレードラップ、そしてフォーメーションラップと続き65周のレースがスタートします。

スタート直後の第1コーナー
スタート直後の第1コーナー

オープニングラップは、ポールポジションの24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zが圧倒的な速さを見せ、2番手の100号車 STANLEY NSX-GTや3番手の19号車 WedsSport ADVAN GR Supraとの差を開いていきます。

序盤のトップ争い
序盤のトップ争い

アクシデントもなく順調に見えた決勝レースですが、16周目にGT300のマシンがストップしたために、フルコースイエロー(FCY)が導入されます。そのFCYが18周目に解除になると、4番手のAstemo NSX-GTがWedsSport ADVAN GR Supraを抜いて3番手に浮上。展開が動き始めました。

STANLEY NSX-GTのピット作業
STANLEY NSX-GTのピット作業

ドライバー交代の最低限の周回数である22周目に、2番手のSTANLEY NSX-GTが最初にピットインします。その翌周の23周目にはAstemo NSX-GTもピットイン。

リアライズコーポレーション ADVAN Z
リアライズコーポレーション ADVAN Zのピット作業

トップ独走となっていたリアライズコーポレーション ADVAN Zは、27周目までピットインを引き延ばしていきます。実は、この判断が明暗を分けてしまったのかもしれません。

●ピットワークで差をつけたAstemo NSX-GT

早々にピットインをし、なおかつピット作業が速かったAstemo NSX-GTは、GT500の全車がピットインを終えるとトップに浮上していました。

Astemo NSX-GTのピット作業
Astemo NSX-GTのピット作業

2番手はSTANLEY NSX-GTでしたが、Astemo NSX-GTとの差は開く一方。そして、ピットインのタイミングを伸ばしてしまったことが裏目に出てしまったリアライズコーポレーション ADVAN Zが、3番手から追い上げを見せてきます。

リアライズコーポレーション ADVAN Z
リアライズコーポレーション ADVAN Z

そして、残り10周を切ると、STANLEY NSX-GTの山本尚貴選手の背後にはリアライズコーポレーション ADVAN Zの平手晃平選手が迫り、テール・トゥ・ノーズでのドッグファイトを繰り広げます。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT、優勝の瞬間

そんな2位争いを尻目にAstemo NSX-GTは、2位争いのドッグファイトから10秒以上というアドヴァンテージを広げ、余裕のチェッカーとなりました。

優勝を喜ぶ塚越選手
優勝を喜ぶ塚越選手

予選出場も危ぶまれるクラッシュから、短時間で修復しての予選4位。そこから作戦とピットワークで掴み取った優勝は、チーム全体の総合力と言うほかありません。

その優勝が今季初優勝。またドライバーランキングも3位とし、最終戦のもてぎでのチャンピオン獲得の権利も有しています。

Astemo NSX-GTの塚越広大選手、金石監督、松下選手
Astemo NSX-GTの塚越広大選手、金石監督、松下選手
GT500クラス表彰式
GT500クラス表彰式

次戦、いよいよチャンピオンが決まる最終戦は11月5日(土)、6日(日)にモビリティリゾートもてぎで開催となります。

【SUPER GT2022 第7戦 オートポリス GT500 決勝結果】

順位 ゼッケン 周回数 車名 ドライバー
優勝 17 65周 Astemo NSX-GT 塚越広大 松下信治
2位 100 65周 STANLEY NSX-GT 山本尚貴 牧野任祐
3位 24 65周 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹 平手晃平
4位 14 65周 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也 山下健太
5位 19 65周 WedsSport ADVAN GR Supra 国本雄資 阪口晴南
6位 12 65周 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴 ベルトラン・バゲット
7位 3 65周 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正 高星明誠
8位 36 65周 au TOM’S GR Supra 坪井 翔 ジュリアーノ・アレジ
9位 37 65周 KeePer TOM’S GR Supra サッシャ・フェネストラズ 宮田莉朋
10位 39 65周 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛 中山雄一
11位 8 64周 ARTA NSX-GT 野尻智紀 福住仁嶺
12位 16 64周 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 笹原右京 大湯都史樹
13位 64 64周 Modulo NSX-GT 伊沢拓也 大津弘樹
14位 23 63周 MOTUL AUTECH Z 松田次生 ロニー・クインタレッリ
15位 38 46周 ZENT CERUMO GR Supra 立川祐路 石浦宏明

(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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