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■軽スポールモデル“ABCトリオ“の先陣を切って登場
1991(平成3)年10月7日、スズキからFRのオープンスポーツ「カプチーノ」が発表されました。FRスポーツの典型的なロングノーズ&ショートデッキのスタイリングに、ルーフ部はクーペ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンの4つの好みのスタイルが楽しめました。
●バブルが生んだ軽の2シータースポーツ“ABCトリオ“
1980年代には、「ソアラ」や「マークⅡ」などハイソカーと呼ばれるスポーティな高級車ブームが起こり、軽自動車も高性能、高機能のクルマが人気を博しました。そして、1980年代後半にはバブル景気が到来し、その勢いに乗って1990年代初頭に3台の軽スポーツカー“ABCトリオ”がデビューしました。ABCは、以下の車名の頭文字をとったものです。
・マツダ「オートザムAZ-1」(1992年~)は、ガルウイングを備えた唯一の軽自動車、スズキ製エンジンを搭載したミッドシップスポーツ
・ホンダ「ビート(Beat)」(1992年~)は、NAながらレスポンスの良い高回転型エンジンを搭載したミッドシップスポーツ
・スズキ「カプチーノ(Cappuccino)」(1991年~)は、軽量化にこだわり加速性能に優れた軽乗用車唯一のFRスポーツ
●4つのルーフスタイルが楽しめたFRスポーツ
カプチーノは、典型的なロングノーズ・ショートデッキに、リアタイヤの直前に乗員を載せるというFRスポーツカー。
ボディの軽量化にこだわり、ボンネットやリアパネル、フロアトンネルカバーなど可能な限りアルミや高張力鋼板を採用して、ABCトリオの中では最も軽量の700kgを達成。パワートレインは、「アルトワークス」の660cc 3気筒 DOHCターボエンジンと5速MTの組み合わせのみ。エンジンをフロントに縦置き配置することによって、51対49の前後重量配分を達成して優れた操縦安定性が実現されました。
また特徴的な装備として、“4ウェイ・オープントップ”があります。これは、ルーフ部分を3ピース構造として、分割式ハードトップを取り外すことによって、クーペ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンの4つの好みのスタイルに変更できるユニークな装備です。
残念ながら発売時期がバブル崩壊と重なり、1998年をもって生産中止になってしまいました。ただ、ABCトリオの中では、生産期間は最も長かったのです。
●ライバルのホンダ・ビートより実用性を重視したオープンスポーツ
ホンダのビートは、エンジン横置きのミッドシップで高回転高出力エンジンを搭載した典型的なスポーツモデルでした。一方のカプチーノは、エンジン縦置きのFRで中速トルクが太いターボエンジンを搭載して、実用性を重視していることが、特徴です。そういう見方をすると、カプチーノはビートに比べて、スポーツカーとしての面白みに欠けていたかもしれませんが、運転しやすい余裕のある走りが体感できるスポーツモデルと言えます。
生産終了後も幾度となく、復活の噂が流れているカプチーノですが、現在は来年2023年に復活するのでは、という噂があります。真偽は定かではありませんが、現在もスズキの中では特別な存在、復活の可能性に期待したいですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)