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■オフロード性能もアップした冒険バイク
イタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」は、2022年9月29日(木)、2023年ニューモデルを公開する「ドゥカティ・ワールド・プレミア」において、アドベンチャーモデルのムルティストラーダV4・シリーズに、新しく「ムルティストラーダV4ラリー」を追加することを発表しました。
オンロードはもちろん、オフロードでも高い走破性を実現し、さまざまな道で心地よいツーリングが楽しめるのがムルティストラーダV4です。
そのラリー・バージョンとして登場する新型は、大容量30Lの燃料タンクや新型のフロント・スクリーンなどの採用で、より長距離ツーリングに最適な装備を採用。
また、200mmのサスペンション・ストロークやエンデューロ・ライディングモードの装備により、さらにオフロードでの走破性を高めたことが特徴。
2023年2月より販売が開始される予定です。
●先進の安全運転支援システムを採用
ムルティストラーダV4・シリーズは、170psを発揮する排気量1158ccのV4グランツーリスモ・エンジンを搭載し、オンロードからオフロードまで幅広いフィールドで高い走破性と快適性を両立したアドベンチャーモデルです。
2021年に登場した第4世代では、前後レーダーシステムを量産2輪車で初採用。高速道路などで車間を自動で保ちながら設定速度で前車を追従するACC(アダプティブ・クルーズコントロール)と、リヤビューミラーの死角に存在する車両を警告するBSD(ブラインドスポット・ディテクション)を装備し、高い安全性を実現。
また、道路状況などに応じて減衰圧などを自動調整するセミアクティブサス「DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション) EVOシステム」も装備するなど、最新の電子制御が満載です。
現在のラインアップには、スタンダード仕様の「ムルティストラーダV4(税込価格249万円)」、前後レーダーシステムを搭載する「ムルティストラーダV4S(税込価格306万5000円)」、V4Sをベースにアクラボビッチ製マフラーなどを備える上級仕様の「ムルティストラーダV4Sスポーツ(税込価格356万5000円)」があります。
さらに、ベースのムルティストラーダV4がフロント19インチ、リヤ17インチのホイールを採用するのに対し、前後17インチホイールとロードタイヤを装備したスポーツ仕様の「ムルティストラーダV4パイクスピーク(税込価格378万9000円)」もあります。
●フロント・スクリーンを大型化
新型となるムルティストラーダV4ラリーでは、まず、より長距離ツーリングでの実用性や快適性が向上されました。
完全に再設計されたフロント・スクリーンは、高さを40mm、幅を20mm増加することで、クルージング時のウインドプロテクション性能をアップ。より走行風を受けにくく、長時間の走りにおけるライダーの疲労軽減に貢献します。
また、車体テール部を延長し、サイドケースの装着位置を後方に移動させたことで、パッセンジャーの脚の領域により多くのスペースを確保。2人乗り時に後席ライダーがよりゆったりと座ることができます。
さらに、アルミニウム製の燃料タンクも一新し、容量を22Lから30Lに増大。スタイルによりボリューム感を持たせると共に、より航続距離を伸ばすことに貢献します。
●走行中に後方シリンダーを停止し燃費を向上
ほかにも、V型4気筒エンジンには走行中に後方シリンダーの作動を休止させる、新しいエクステンデッド・ディアクティベーション機能を量産バイクに初搭載しています。
ムルティストラーダV4には、従来から、バイクが停止し、エンジンがアイドリング状態の時に、後方シリンダーを停止することで、燃費の向上や排気ガス対策を施していましたが、新型はその機能を走行中にも拡大。
機能の詳細は明らかになっていませんが、恐らく高速道路などで一定速度の巡航時などに、より燃費をアップさせることと、エンジンの振動を低減することで快適性を向上させるなどの効果があることが予想されます。
●オフロード走行専用モードを新設
オフロード走行性能の向上も、新型の特徴です。まず、サスペンション・ストロークは200mmに設定するなどで、より悪路での走破性をアップさせています。
また、オフロード走行専用のパワーモードを備えた「エンデューロ・ライディングモード」を新設定しています。
「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」「エンデューロ」という4つのモードのうちから、エンデューロを選ぶと、ダイナミックでダイレクトなレスポンスを維持したまま最高出力を115psに制限し、悪路でのコントロール性などを向上。
また、電子制御サスのDSS EVOシステムがオフロード走行に適した設定となると共に、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)がより低い介入レベルに。
さらに、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)やリヤホイールABSを無効とするなど、オンロードで効果が高いコーナリング機能やリヤホイールのリフト検知機能を抑制することで、オフロードでより走りやすい設定となります。
ちなみに新型には、3つの異なるバージョンが用意されます。
前後レーダーシステムを採用したベースモデルの「アドベンチャー・レーダー」、それにアルミニウム製サイドケース、グリップヒーターとシートヒーターを追加した「アドベンチャー・トラベル&レーダー」も設定。
さらに、アクラポヴィッチ製サイレンサーとカーボンファイバー製フロントフェンダーを追加した「フル・アドベンチャー」がラインアップされるといいます。
さて、新型のムルティストラーダV4ラリーが、実際にどんな走りやスタイルを持つのか、特にツーリング派ライダーには今から注目ですね。
(文:平塚 直樹)