リターンライダーあるある、足・肘・肩・胸・背と全身プロテクター装着に驚き!【バイクのコラム】

■プロテクターの存在を教習所で知る

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大型二輪免許を取るために教習所へ入校した際、ヘルメットだけは買いました。

自動車コラムニストの山本晋也です。五十路になってリターンライダーしたクルマ好きがどんなことを感じているのかをお伝えする【バイクのコラム】、第2回目となる今回は、プロテクターについて驚いたことをお話しようかと思います。

あらためてリターンライダーするまでの免許歴を振り返ると、初めて2輪の免許を取ったのは高校を卒業したときで、御多分にもれず最初は原付免許からスタートしました。その後、4輪免許を取得したのちに「学科試験が不要」という話を知って、だったらと2輪免許を取っています。当時は中型限定と呼ばれる免許でした。

事故でバイクを失ったり、骨を折ったりしながらバイクライフを楽しんでいましたが、25歳くらいでいったんバイクを降りて、そこからは原付二種のスクーターを足として使った時期があるくらいで、バイクの運転さえすっかり忘れてしまっていたのでした。

五十路を迎えて、いわゆる”リターンライダー”をしようと思った際にも、最初は普通二輪免許で乗れる250ccくらいのバイクに乗ろうと考えていました。が、いくら免許を有しているとはいえ、いきなり公道で復帰するのはリスク大。

そこでリハビリを兼ねて、大型二輪の免許を取るべく教習所に通うという選択をしたわけです。クローズドコースの教習所で基礎から教われば、少しは安全にリターンできそうだという目論見です。

そして教習所に入って驚いたのは、足・腕・肩・胴と全身にプロテクターを装着すること。

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公道を走るようになって最初に選んだのベストタイプのプロテクターでした。

自分が中型限定免許を取得した当時は、せいぜい膝のプロテクターをつけるくらいで、シューズも普通のスニーカーだったという記憶がありますので、まさしく隔世の感だったのです。お金がもったいないのでヘルメットも教習所で借りようと思っていた自分からすると、これほど安全意識が高くなっている状況に戸惑ったというのも正直なところでした。

もっとも、ヘルメットだけは教習所への入校に合わせて、フルフェイスの新品を購入しています。それは「大型二輪の免許を取りに来ているということは普通二輪を持っているというのとイコールであり、普通二輪の教習を受けている人からすると先輩ライダーに見えるのだから、それなりの恰好をしてください」と教習所で言われたから。

それでもプロテクター類は教習所で借りていましたし、足元は布製スニーカー、手を守るのもメカニックグローブといった具合で、けっして安全意識が高いわけではなかったのです。

ただし、教習中には何度も転倒しています。あれほど転倒したのに既定の時間で卒業できたのは自分でも信じられませんが、こけるたびに思ったのは、プロテクター機能の重要性。また、二輪事故では胸や腹の傷害により命を落とすケースが多いと聞いて、公道を走る際には絶対にプロテクターをつけようと思ったのでした。

とはいえ、鎧のように全身にプロテクターをつけるのでは、気軽にバイクに乗れません。ひとまずは、自分の中での妥協点として胸や背中を守るベストタイプのプロテクターを装備してバイクに乗ろうというのが、公道復帰したときに考えたことでした。

●ライディンググローブ選びに右往左往

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レーシーなタイプのグローブも買ってみましたが気恥ずかしくてあまり使えません。

もうひとつ、大事だと思ったのはライディンググローブです。

転んだときの擦り傷を防ぐという意味であれば、ワーキンググローブでも問題ないだろうと思っていましたが、何度も転倒するなかで、プロテクション機能が必要だということを身をもって知ることになります。おかげさまで教習中は速度が低いこともあって大きな怪我はありませんでしたが、ゴロリと転がってしまったときには手の甲を守るようなライディンググローブは必須だと思ったのです。

手首まで覆うようなレーシーなデザインは、1980年代にバイクに乗っていたレプリカ世代(20代最後の愛車はヤマハTZRでした)としては憧れで、大枚をはたいて買ってはみたものの、派手なデザインは身につけているのが気恥ずかしくなってしまいます。分相応という言葉もありますが、リターンライダーらしく落ち着いた色味がいいかもと思い直します。

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洒落たレザーのグローブでもプロテクション機能付きを選びます。

探してみると、シックなレザーグローブでプロテクション機能付きというのはいくらでも見つかります。自分が中型限定免許で二輪に乗っていた時代は、街乗りは素手が基本、グローブをつけているのはレプリカに乗っている人くらいという印象もありました。しみじみ時代は変わっているのだなぁと感じながら、手にピッタリサイズのグローブを購入してみます。

プロテクション機能付きといっても、けっして操作のジャマにならないのも感心しましたが、閉口したのは汗をかいたとき。手にピッタリのサイズにしすぎてしまい、脱ぐのにひと苦労でした。そのときは夏用の「インナーグローブ」があるということも知らなかったのです。

いまでも、自分にしっくりくるライディンググローブを選びきれていないのですが、こうした小物(といっても数千円以上はしますが)に散財するのも、またバイクライフの楽しみ方なのかもしれません。

●最近はプロテクター入りウェアを愛用

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運転免許証の写真もプロテクション入りウェアで撮影して意識高い系をアピール(書き換えにバイクで行っただけ)。

最近、愛用しているのはプロテクション機能付きのウェア類です。いちいちプロテクターをつけるのは面倒に感じても、胸・背中・肘・肩などにプロテクターを内蔵したウェアを着るだけであれば、気軽にセーフティライディングにつながると考えています。

自分自身が事故を起こさなくても、交差点の右直などのもらい事故でケガするのはライダーですから、身を守るための投資は本当に大事だと思うのです。そうした意識になると、教習中には正直面倒だと思っていたプロテクターが欠かせないものに感じてくるから不思議なものです。

いまでは、原付スクーターで買いもの行くときでも、プロテクターを内蔵したジャケットなどを身につけるようになりました。けっして意識が高いわけではなく、単に臆病なだけですが……。

まだまだ暑い日には薄着で乗っているライダーも見かけますが、できれば多くのライダーが自分自身を守るための工夫と投資をしてほしいと願うばかりです。

ちなみに、写真に写っているアイテムはすべて私物です。けっして案件ではございませんので、あしからず。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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