リターンライダーは「モトブログ」を作ったほうがいいと思うワケ【バイクのコラム】

■五十路リターンライダーは安全第一

CBR1000RRR
モトブログ用のムービーを撮っていると、自然に危ない運転をしなくなるはずです

いま、空前のバイクブームといわれています。

HY戦争といわれたホンダとヤマハの販売合戦の影響で毎週のようにニューモデルが出ていた1980年代前半からレプリカブームが華やかだった1990年代前半にかけて最初のバイクライフを送っていた自分としては、当時に比べるとバイク業界が熱く盛り上がっているという印象はなかったのですが、たしかに販売状況を見ると間違いなくバイクビジネスは盛んになっています。

販売現場に顔を出してみると、半導体不足などの影響なのかタマ不足となっているようで、即納できる中古車の中には新車以上の価格をつけているケースも珍しくない状況です。多くのバイクファンが、愛車を探しているというのが現実です。

こうした状況は1980~90年代のバイクブームでは見られなかったもので、まさしく空前のバイクブームというのは本当だと実感します。

そうしたブームを支えているのは50歳代以上、久しぶりに二輪に跨る、リターンライダーというのも定説です。かくいう筆者も、25歳くらいでいったんバイクライフに別れを告げ、50歳を超えてからバイクライフを楽しんでいます。リターンするにあたって、大型二輪免許を取得したあたりも典型的なリターンライダーといえるかもしれません。

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ツーリングに出かけなくても近所に買い物に行くだけでも非日常体験となるのがリターンライダーにとってのバイクではないでしょうか

そんな筆者の愛車は、ホンダのリッターSS「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」です。

このバイクを購入した理由は、モトGP由来の技術を投入したという直列4気筒エンジンの魅力に惹かれたから。999ccの排気量から160kW(218PS)を発揮するというエンジンを、自分のモノにしてみたかったという純粋かつ単純なものです。

とはいえ、サーキットのために生まれたようなマシンを、街なかで乗るのはいろいろ難しい部分があります。

レーシーなポジションがキツイであるとか、ハンドル切れ角が小さく取り回しに苦労するというのもありますが、それよりも「イメージしているよりもスピードが出てしまう」というのは安全運転にとって強敵です。

リターンライダーの重大事故が多いという話もありますし、怪我をするために乗っているつもりもありません。楽しむためにバイクを所有しているのですから安全第一は基本です。

●モトブログの撮影をしていると無茶はできない?

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ヘルメットにアクションカメラをつけて、これ見よがしに撮影するのが気恥ずかしいならば車体に3Dカメラをつけてもいいでしょう

おそらく、同じような思いを抱いているリターンライダーの方は多いのではないでしょうか。楽しむためにバイクに乗っているのであって、けっして無理や無茶をするためではないはずです。

それでもバイクに乗っていると、気が若くなってしまうのかついつい熱くなってしまう自分がいます。

冷静にバイクライフを楽しむための手段として、ひとつ提案したいのが「モトブログ」を作ることです。

YouTubeなどの動画サイトにはモトブログ(Moto Vlog)とカテゴライズされるバイクライフを紹介する動画があふれています。そうした動画の基本は、バイクで走っているときに撮影されています。

ヘルメットにアクションカムをつけてライダー目線で撮った映像や、ハンドルやタンクに3Dカメラを設置して、ライダー&風景やメーター&風景などを撮るといった映像も一般的です。

こうした動画を撮ってモトブログを作ることが、なぜ安全運転につながるのかといえば、明らかにスピードオーバーしているような動画を自ら撮るというインセンティブは湧かないだろうからです。

制限速度を大幅に超えるような走りをしていては、モトブログを作る素材の撮れ高が稼げませんし、それを公開するのは自殺行為となります。つまりモトブログを作ろうと思って、カメラを回していると走りにおいて自重するように自然に仕向けられるのです。

もちろん、リターンライダーが作ったモトブログは、3桁再生もいけばいいほうかもしれません。それでも自分の楽しんでいる様子を誰かと共有しているというのはモチベーションになります。

ちなみに、筆者はInstagramのリール動画として10秒前後にカットしたオンボード映像を公開するスタイルで楽しんでいます。どれも法定速度で走っているような映像ばかりですが、1速からシフトアップせずに高速道路を100km/hで走行するというリール動画は40万回を超えて再生いただいたこともあります。そんなビギナーズラックのようなこともあるのもモトブログの醍醐味かもしれません。

●スキルアップにも投資すべきです

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大型バイクは扱い切れないと自覚しているので、原付二種で練習しています。このあたりの話は、また次回に。

ところで、モトブログを撮るようになるとウェアやグローブなどの道具にも自然と気をつかうようになると思います。

法律的にはヘルメットさえ被っていれば、半そでのTシャツ姿で、素手のまま、スニーカーでバイクに乗っても違反ではありません。ですが、自分の動画を世界に発信しようと思ったら、それなりにプロテクターのしっかりとしたウェアを着て、バイク用のグローブをはめて、くるぶしを守るようなブーツを履きたくなるものです。

また、自分の走りを後から動画で見返すというのはライディングの下手な部分を確認することもできますから、スキルアップのヒントにもなってくれるでしょう。

もっとも、自己流ではなかなか上達しません。人生の残り時間が短いリターンライダーであればあるほど、ライディングスクールなどを利用して、プロのインストラクターから指導を受けることをお勧めします。

さらにいえば、大型バイクを乗りこなすための基礎づくりとして、小さなバイクで練習するにも悪くないと思います。実際、自分自身も大型二輪免許を取得してから一年ほどはあえて原付二種のミニバイクに乗って、公道を走るライダーとしてのリハビリを進めていきました。

ライディングスクールに通ったり、練習用の小型バイクを買うというのは、それなりにお金がかかりますが、スキルアップにも投資してバイクを楽しめる時間を少しでも長くするというのもリターンライダー的には意識したい点と思うのですが、いかがでしょうか。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也

山本晋也 近影
日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。