「バリバリ伝説」にも登場の「ポール・リカール」で、ヤマハ・YZF-R1が100周年記念の「ボルドール24時間耐久レース」1-2フィニッシュ

■ヤマハはコンストラクターズ・タイトルも獲得

昔からのバイクファンならお馴染みの2輪耐久レースが、フランス伝統の「ボルドール24時間耐久レース」。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
夜間走行でも安定した走りをみせたViltais Racing Igol Team

その100周年記念大会が2022年9月17日〜18日(現地時間)にポール・リカール・サーキットで開催されましたが、なんとその記念すべきレースで、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)の1000ccスーパースポーツ「YZF-R1」を駆る2チームが表彰台を独占しました。

「FIM世界耐久ロードレース選手権(以下、EWC)」の2022年シーズン最終戦ともなった当大会では、フランスを拠点とするヤマハのプライベートチーム「Viltais Racing Igol Team」が初優勝を獲得。

また、2位にはポーランドを拠点とする「Wojcik Racing EWC Team」が入り、YZF-R1が上位を独占したほか、ヤマハはEWCの2022年コンストラクターズ・タイトルも獲得しました。

●伝統ある欧州の耐久レース

ボルドール24時間耐久レースは、1922年に第1回が開催され、100年目となる2022年で85回目を迎えたフランスの伝統ある耐久レースです。

昔から、特にバイクでは伝統ある耐久レースとして有名で、欧州では同じくフランスのル・マン24時間レースと並ぶビッグイベントとなっています。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
ヤマハトップチームのYARTは一時トップを快走

舞台となったのは、全長5.673kmのポール・リカール・サーキット。F1なども開催されることで知られる有名なコースで、特に全長約1.8kmもあるミストラス・ストレートは、欧州最長のストレートのひとつとして知られています。ちなみに、富士スピードウェイの直線は約1.5km。

バイクの場合、参戦する耐久仕様の1000ccスーパースポーツで、最高速度が350km/hを超えるといわれていますから、長丁場の耐久レースなどでは、かなりマシンに負担が掛かることでも知られています。

ちなみに、ポール・リカール・サーキットは、しげの秀一氏のマンガ「バリバリ伝説」でも描かれていますから、筆者のような50代のライダーなどなら、 1度は名前を聞いたことがある人も多いと思います。

●いきなり大波乱の決勝

EWCの2022年シリーズ最終戦(第4戦)ともなったのが、今回の大会。ちなみに、第3戦は、3年ぶりに開催された「鈴鹿8耐(鈴鹿8時間耐久ロードレース、2022年8月7日開催)」です。

三重県・鈴鹿サーキットを舞台に、久しぶりに行われた真夏の激戦を、暑さを忘れて応援したファンも多かったと思います。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
鈴鹿8耐でも活躍したYARTのカレル・ハニカ選手

第3戦終了時点で、5チームがタイトルを争っているという激戦状態だったのが、今回のレース。

ちなみに、ヤマハでは、メーカーが技術サポートするトップチームで、鈴鹿8耐7位の「YAMALUBE YART Yamaha Official EWC Team(以下、YART)」が33ポイント差でトップを追っていて、十分に年間チャンピオンを狙える位置につけていました。

そして決勝では、いきなりの大波乱が発生。なんと、スタートから1時間経過後のわずか34ラップで、YARTのライバルであるチャンピオンシップ上位のチームが続々とリタイアしたのです。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
YARTは残念ながらリタイアとなり、年間ランキング6位

いきなりサバイバル戦の様相を呈する中、YARTは一時トップを快走しますが、マシントラブルにより104ラップであえなくリタイア。ランキング6位でシーズンを終了し、2009年以来となるEWCタイトルを逃してしまいます。

●サテライトチーム・ランキングでも1位に

一方で、EWC初優勝を飾ったのが、フランスのヤマハ系チームViltais Racing Igol Team。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
EWC初優勝のViltais Racing Igol Team

上位陣が続々とリタイヤする中、F・アルト選手、E・ニゴン選手、S・オデンダール選手といった3名のライダーは、着実に周回を重ね、合計718ラップでゴール。年間ランキングでも3位に浮上しました。

さらに、1ラップ遅れて自己ベストタイの2位を獲得したのが、ポーランドのヤマハ系チームWojcik Racing EWC Team。D・リンフット選手、S・モライス選手、M・ギネス選手の3名で見事に走りきり、ヤマハに表彰台の1位、2位独占をもたらします。

ちなみに、サテライトチーム・ランキングでも、Viltais Racingが合計88ポイントでトップ、Wojcik Racingが5.5ポイント差の2位を獲得。

ヤマハYZF-R1がボルドール24時間耐久レース100周年記念大会で1-2フィニッシュ
Wojcik Racing EWC Teamの走り

この結果、ヤマハは合計221ポイントを獲得し、ライバルに30ポイント以上の差をつけてEWC2022年シーズンのコンストラクターズ・ランキング1位となっています。

加えて、下位クラスの「スーパーストック・クラス」でも、「Wojcik Racing SST Team」のK・マンフレディ選手、D・ウェブ選手、M・スコペック選手の3ライダーが3位を獲得し、2022年シーズン初表彰台に。

また「Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostore」が17位でゴールし、同クラスのチャンピオンに輝いたことで、スーパーストッククラスでもヤマハは2022年シーズンのコンストラクターズ・タイトルに輝いています。

伝統あるボルドール24時間耐久レースの100周年記念大会で、数々の栄光に輝いたヤマハ。2023年の活躍にも期待したいところですね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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