■マツダ「CX-60」に乗って、国沢光宏が買いなのかどうか考えてみた
6月24日に受注を開始したマツダのCX-60は、月間販売目標2000台に対し「2ヶ月半経過の9月上旬時点で8726台受注」したという。同じクラスの新型エクストレイルが1ヶ月少々で2万台のオーダーと聞くと、鳴り物入りでの登場だったCX-60の受注台数として考えたら物足りないような気もする。
果たしてCX-60の実力やいかなものだろう。マツダに厳しいと言われる国沢光宏が考えてみたいと思う。
●価格、ボディサイズ、乗り心地…日産エクストレイルと比較してみると…
まず価格帯。CX-60と新型エクストレイルは互角といっていい。新型エクストレイルの売れ筋になっているハイブリッドe-POWER(eパワー)の4WD中間グレード『X』で377万9940円。同等の燃料コストとなる3300ccディーゼルを搭載するCX-60の『XD Sパッケージ4WD』は380万6000円。装備内容同等。購入時に真正面から比較してもいい……と言いつつも、本当のことを言えばCX-60の方が優位です。
ボディサイズを見ると新型エクストレイルは全幅1840mmで、世界的なDセグメントSUVでもプジョー5008の如くナローボディ。全幅1890mmのCX-60は、BMW X3やボルボXC60のようなプレミアムクラスのDセグSUVに属し、本来ならワンクラス上級。搭載されるパワーユニットもシステム出力204馬力の新型エクストレイルに対し、試乗すると圧倒的にパワフルな231馬力。スペックはCX-60に軍配上がる。
発表前の盛り上がりで考えたってCX-60の方が大きかった。なのに新型エクストレイルの方が売れている。
なぜか?
ちなみに結論から書くと、この2車で迷ったら私は条件付けた上でCX-60を選ぶ。
どんな条件か? あまりに厳しい乗り心地の改良だ。公道でCX-60に乗って驚いた! 走り出すやずーっと車体が上下している。特に厳しいのはリアサス。道路のデコボコを計測する機械の如くドタバタします。
2台試乗したうちの2台目はそこまで酷くなかったけれど、やはりDセグらしい乗り心地かと問われたら「う~ん」となる。しかも本来のコンディションかどうか不明なディーラー試乗車じゃなく、CX-60の開発担当者も多く出席していた公的な試乗会に並んでいた車両だから実力なんだと思う。
さらに、乗り心地が悪い理由を聞くと「解らないんです」。一部「ピロボールの動きが渋いのかもしれません」という声も。
ピロボールというのは、競技車両などに使われる「サスペンションアームと車体を繋ぐもの」であり、一般的に使われるゴムブッシュと違い、摩擦抵抗を減らしながらアライメント変化を抑えられる。動きが渋い性質の部品なら競技車両は使わない。しかもゴムブッシュよりずっと高価な部品になります。ピロボールで乗り心地が悪くなると言うのは常識だとあり得ない。
つまり、本当に解らないんだと思う。
もう一つ伸び悩む理由を考えるなら、デザインかもしれない。マツダのデザイン、レベル高いのだけれど私の読者に聞くと皆さん「そろそろ違う方向に行って欲しい」。しかもCX-60のデザイン、シルエットがマツダ車の中で比べても美しいと思えるレベルにないと皆さん口を揃える。ただ、デザインに厳しい私ながら、CX-60のデザインレベルなら欲しいと思えば許容出来る範疇。マイカーにしたら慣れるだろう。
何より、3300cc6気筒ディーゼルエンジン搭載車など今後絶対に出てこない。ロングドライブが多いという人なら最高の相棒になってくれると思う。乗り心地が改良されたら皆さんにおすすめしたい。
いや、ディーラーでCX-60に試乗して「このくらいの乗り心地なら全く問題無し!」であれば、すぐ契約書にハンコ押していい。
(国沢 光宏)
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