■話題のカーボンニュートラル燃料を使ったSUBARU BRZのスーパー耐久マシン
9月3日(土)、4日(日)に栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第5戦もてぎスーパー耐久5 Hours Race」。
ST-QクラスにTeam SDA Engineeringよりエントリーした61号車SUBARU BRZ CNF conceptは燃料にカーボンニュートラル燃料(CNF)を使用していることで話題となっています。
CNFは大雑把に言えば、化石燃料であるガソリンの代替えとして二酸化炭素と水素を融合して燃料油の主成分である炭化水素を人工的に作り出したもので、燃焼させても大気中の二酸化炭素の量は増えないためにカーボンニュートラルの選択肢の一つとして研究開発が進められているものです。
スーパー耐久の61号車SUBARU BRZ CNF conceptはこのCNFを使うための開発をスーパー耐久と言う場を使って行っています。
このSUBARU BRZ CNF conceptはCNFを使うための研究を行っているだけではなく、それ以外の持続可能な環境性能についてもレースと言う過酷な現場で研究開発を行っています。
その一つに航空用カーボン素材のリサイクルがあり、このもてぎ戦ではその素材を使ったボンネットを装着して5時間レースを戦っていたのです。
●端材として廃棄されるカーボン素材をリサイクルしたボンネット
SUBARUは9月3日(土)、公式予選の終了後に「スーパー耐久シリーズでのSDG’sの取り組み」を紹介。その中で宇都宮にあるSUBARU航空宇宙カンパニーと群馬県の地場サプライヤーである(株)千代田製作所と連携して開発したBRZ CNF Concept用カーボンボンネットの解説を行いました。
このカーボンボンネットは廃棄されるはずの航空機用カーボン繊維の端材を再利用しているところがポイント。
航空機用として樹脂成型されたカーボン繊維素材から樹脂を抜き、繊維としてリサイクルしたのちにボンネットとして成型し直すというもので、航空機用としては使えなくなった素材を自動車用に転用しています。
自衛隊や官公庁向けに最新のヘリコプターを納入し、また民間機ではボーイング777や787の共同開発、主翼の一部やボディの下部部分の製造を担うなど航空宇宙産業ではグローバルな展開をしているSUBARUならでは技術開発といえます。
今回製作されたカーボンボンネットはカーボンシートの積層構造となっており、表面の1層には新品素材を使い、表面に出ない複数層にリサイクル素材を使っているとのこと。
まだ始まったばかりのカーボン素材リサイクルなので、現段階ではボンネットのワンオフ製造にとどまっていますが、量産とコストダウンのための研究開発を続け、いずれは市販車用のオプションパーツなどに採用していきたいとしています。
スーパー耐久の61号車SUBARU BRZ CNF conceptには、CNFやリサイクルカーボン素材などでSDGsに取り組むということを表すために、ボンネットとドアにSDGsのロゴマークを掲出しています。
これらのカーボン素材のリサイクルは「使う責任、作る責任」という言葉を使いSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を表現していることが印象的でした。
(写真・文:松永 和浩)
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