新型フェアレディZも参戦するNAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースはST-Qクラスに注目【スーパー耐久 2022】

■今年で5年目となるNAPAC富士SUPER TEC 24時間レース

新型フェアレディZスーパー耐久仕様
新型フェアレディZスーパー耐久仕様

6月3日(金)から5日(日)の日程で開催される「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook」第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース。

現在、日本国内で開催される唯一の24時間レースとして、2022年の今年で5年目の開催となります。

そのNAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースに向けた2回目の公式テストが、5月10日(火)に富士スピードウェイで行われました。

ORC ROOKIE Corolla H2 Concept
ORC ROOKIE Corolla H2 Concept

スーパー耐久シリーズでは、ST-Qクラスというメーカーの研究開発車両で参加するクラスがあり、2021年は水素燃焼によるカーボンニュートラルを目指す水素エンジンを搭載したカローラスポーツORC ROOKIE Corolla H2 Conceptが参戦し、温暖化対策の要である二酸化炭素の排出を抑制する選択肢を世に知らしめたことは記憶に新しいところです。

MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept
MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept

そして、水素エンジンカローラが走るレースの度に、ドライバーモリゾウ選手として参戦するトヨタ自動車の豊田章男社長による記者会見が行われ、モータースポーツから発信するカーボンニュートラルの動きに賛同した多くの企業が紹介され、また実際にスーパー耐久の場にそのエコロジー技術や製品を持ち込んで協力をするという場面を見ることも出来ました。

そういった流れの中で、マツダやスバルもカーボンニュートラルを進める技術開発のため、スーパー耐久で研究開発としてST-Qクラスに参戦してきました。

MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept
MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept

マツダは、自社で開発したディーゼルエンジンの技術をカーボンニュートラルで活用するために、使用済み食用油とミドリムシ由来の炭化水素から精製したバイオディーゼル燃料を使用する、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptで参戦。

BRZ CNF Concept
BRZ CNF Concept

スバルはWRC世界ラリー選手権などで使用されるカーボンニュートラルな合成燃料を使用した、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptで参戦しています。

ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
ORC ROOKIE GR86 CNF Concept

またトヨタも、GR86をベースとしたORC ROOKIE GR86 CNF Conceptで合成燃料を使った研究開発をしています。

この兄弟車とも言える新型BRZとGR86は、ともにカーボンニュートラル合成燃料を使っての参戦というところでは同じですが、GR86の方はトヨタとしての研究開発を行うという名目で、スバル製水平対向エンジンからGRヤリスのエンジンをベースに、縦置き用に作り直しています。

また、排気量を1.4リッターにダウンし、ターボ係数1.7をかけた状態で新型BRZのNA2.4リッターと互角の条件とすることで、この2台はST-Qクラスの中でもガチンコでバトルをするというライバルとなっています。

BRZ CNF Concept
BRZ CNF Concept

新型BRZの方は、開幕戦鈴鹿の仕様から大掛かりな変更をするようで、外からわかる内容としてはボンネットを新規作成しています。エアアウトレットの開いたボンネットはいかにもスバル然としています。

ENDLESS AMG GT4
ENDLESS AMG GT4

ST-Qクラスは研究開発を主眼に置いたマシンでの参戦とされていますので、カーボンニュートラルなレーシングマシンだけが走るわけではありません。

ブレーキメーカーのENDLESSが走らせるENDLESS AMG GT4は、自社で開発するブレーキシステムの検証のために参戦しています。本来FIA GT3やFIA GT4のマシンは、メーカーが定めFIAが認証したパーツ以外を取り付けてレース参戦することは許されません。

ブレーキ関連で言えば、GT3マシンを使うST-Xクラスや、GT4マシンを使うST-Zクラスでは、ブレーキパッド以外はENDLESSの製品を組み込むことが出来なかったのです。

しかしST-Qクラスであれば、ブレーキキャリパーなどもENDLESS製品を使うことができるので、ハイスピードで高負荷なレースというフィールドで製品を開発できるというメリットがあります。

●新型フェアレディZもST-Qクラスに参戦

今年、2022年に発表された日産の新型フェアレディZもST-Qクラスに参戦となります。

新型フェアレディZスーパー耐久仕様
新型フェアレディZスーパー耐久仕様

5月10日の公式テストでは、NISMOから230号車、MAX Racingから244号車として2台の新型フェアレディZが参加していました。

新型フェアレディZスーパー耐久仕様
新型フェアレディZスーパー耐久仕様

NISMOの公式発表では、富士24時間レースにスポット参戦し、新型フェアレディZのモータースポーツでの活用の検討開始の材料にする、とのこと。具体的にその先の話は発表されてはいません。

新型フェアレディZスーパー耐久仕様
新型フェアレディZスーパー耐久仕様

公式のモータースポーツの場に初めて姿を見せた新型フェアレディZのスーパー耐久参戦仕様は、かなりのポテンシャルの持ち主で、おおよそのラップタイムは1分50秒台。

これはFIA GT4マシンを使ったST-Zクラスと同程度ということになります。

新型フェアレディZスーパー耐久仕様
新型フェアレディZスーパー耐久仕様

一部で噂されている、新型フェアレディZのFIA GT4マシンの存在。国内メーカーで直接のライバルとなるGRスープラは、過去にROOKIE RacingとしてST-QクラスでFIA GT4マシンのブラッシュアップを目的として走らせていました。

この新型フェアレディZのスーパー耐久参戦仕様には、噂のGT4仕様を期待したくなってくるほどのポテンシャルを感じざるを得ません。

これらの参戦マシンを見ても、ST-Qクラスはスーパー耐久の中で最も注目されるクラスであることは間違いありません。そんなクルマたちが24時間を走り切る姿は、多くの感動を呼んでくれます。

また、ST-Qクラスを含め全9クラスが走るENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース。実際にサーキットで観ることが一番のおススメですが、スーパー耐久の公式YouTubeチャンネルでも24時間レースをフルでリアルタイム配信しますので、そちらもぜひ。

(写真・文:松永 和浩

【関連リンク】

ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 公式サイト
https://supertaikyu.com/

Super Taikyu TV/Stai TV
https://www.youtube.com/channel/UC8sfQKfk_4_JePSHSupvT4w

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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