ホンダの先進技術満載「6代目シビック」登場。タイプRも追加されたミラクルシビック【今日は何の日?9月5日】

■高出力と低燃費を両立させたミラクルシビック登場

1995(平成7)年9月5日、ホンダのシビックが4年ぶりのモデルチェンジを行い、6代目「シビック」がデビューしました。3ステージVTECエンジンやホンダマチックCVTなど、ホンダの先進技術によって高出力と低燃費を両立、ミラクルシビックと呼ばれました。

1995年にデビューした6代目シビック6代目・ミラクルシビック
1995年にデビューした6代目シビック6代目・ミラクルシビック

●長く日本を代表するコンパクトカーとして人気を博したシビック

初代シビックは、1972年にデビュー。2ドアファーストバックのコンパクトカーとして低燃費と小気味よい走りを両立して、世界中で大ヒットしました。翌年には、当時世界一厳しい排ガス規制“通称マスキー法”に世界で初めて適合したCVCCエンジンを搭載して、一躍その名を世界に轟かせました。

1972年に誕生し、大ヒットした初代シビック
1972年に誕生し、大ヒットした初代シビック

その後も、2代目(1979年)の“スーパーシビック”、3代目(1983年)“ワンダーシビック”、4代目(1987年)“グランドシビック”、5代目(1991年)“スポーツシビック”と、世代ごとに付けられたユニークな愛称で、日本を代表する人気コンパクトカーとして君臨。トヨタ「カローラ」のやや保守的なイメージに対して、シビックはつねに時代を先駆ける若さと先進性をアピールしてきたのが特徴です。

●3ステージVTECとホンダマルチマチックCVTでクラストップの燃費

ミラクルシビックは、キープコンセプトながら、走りと低燃費の高次元の両立を目指してホンダの先進技術が積極的に投入されました。

3ステージVTEC機構(左から、低速域、中速域、高速域のカム機構)
3ステージVTEC機構(左から、低速域、中速域、高速域のカム機構)

スタイリングは、Cピラーをねかせた伸びやかなショルダーラインとシャープなヘッドライトを装備することで、曲線基調のスポーティなフォルムに変貌。パワートレインは、主要グレードには新開発の3ステージVTEC 1.5Lおよび1.6Lエンジンを搭載して、トランスミッションとしてホンダマルチマチックCVTが組み合わされました。3ステージVTECとは、低回転/中回転/高回転の3つのステージで適切なバルブタイミングとバルブリフトを実現する可変動弁機構です。さらに、エンジンにはリーンバーン(希薄燃焼)システムが採用され、高出力とともにクラストップの燃費も達成されました。

当時のシビックは、世界累計台数が1000万台を超え、カローラと肩を並べるベストセラーカーでした。

●待望の初代シビックタイプRが誕生

さらに1997年には、シビック初のホットモデル「シビックタイプR」を追加。タイプRは、レッドエンブレムが装着されるタイプRシリーズで、「NSX」、「インテグラ」に続く3番目のモデルでした。

1997年に登場したシビックタイプR
1997年に登場したシビックタイプR

VTECエンジンのハイチューニングなどによって、1.6Lで最高出力185PS/8200rpmを叩き出し、リッター当たりの出力は驚異の116PSを達成。そのパワーに見合ったボディについては、シャシーの剛性アップやサスペンション、ダンパーの強化で足回りを強靭に仕立て、さらにホワイト塗装の7本スポークアルミ、深紅のレカロシートなど専用アイテムを身にまとい、他を圧倒する、まさにミラクルな走りを誇りました。


コンパクトカーとして長く人気を獲得してきたシビックですが、現在はその役目は「フィット」が受け継いでいます。シビックは、大型・上級化して日本では販売数的には低迷の厳しさですが、一方でこだわりのタイプRで打ち立てている評価もあり、米国では今も人気モデルです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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