国産初のAT「トヨグライド」も展示。新型クラウンの誕生を記念し、アイシンが歴代モデルのトランスミッションを公開

■歴代クラウンを支えたアイシンの技術を一挙公開

愛知県刈谷市のアイシン本社

アイシン(AISIN)と言えば、クラウンを筆頭とするAT(オートマチックトランスミッション)やカーナビの分野で世界トップシェアを誇るトヨタ自動車の大手サプライヤーのひとつ。

2021年4月に自動車部品メーカーのアイシン精機と子会社のアイシンAW(エィ・ダブリュ)が経営統合され、現在の(株)アイシンとなりました。

アイシンAW製のATはトヨタ車のみならず、ポルシェやBMW、VW、ボルボ、プジョー、シトロエンなど、世界の自動車メーカーで採用実績があります。

●アイシン製トランスミッションを世代別に展示

愛知県刈谷市のアイシン コムセンター

そうしたなか、同社は16代目となる新型クラウンの誕生を記念して8月25日(木)から“いま振り返る、歴代クラウンと共に歩んだアイシンの挑戦”と題した特別展示を愛知県刈谷市にある本社併設の展示館「コムセンター」でスタートさせました。

会場内の様子(8代目クラウン展示)

同センターは、2015年のアイシングループ創立50周年を記念して建設され、創業当時からの代表的な製品を展示しています。

5・6・7代目クラウンのAT

会場には初代クラウンや8代目クラウンの実車展示のほか、国産初となるAT「トヨグライド」から最新の電動ユニット「1モーターハイブリッドトランスミッション」「eAxle(後輪駆動用)」まで、各世代のクラウンに搭載された約50点のドライブトレインユニットが製品の開発秘話と共に展示されています。

●クラウンに搭載されたアイシンの先進技術

初代クラウンが誕生した1955年に国産AT時代の幕開けを向かえ、その後歴代クラウンにはアイシンの先進技術が時代に先駆けて搭載されてきました。

・国産初のオートマチックトランスミッション「トヨグライド」

初代クラウン実車展示
初代クラウンのトヨグライド

アイシンは1961年から国産初の半自動FR2速AT「初代トヨグライド」の生産をトヨタ自動車から受託。その後、国産初の全自動2速に進化したトヨグライドが2代目クラウンに搭載され、1965年にはトヨグライド生産5万台を達成。

・世界初の電動チルト&テレスコピック・ステアリングコラム

7代目クラウン

高級車クラウンに相応しい装備として、それまで手動式だったステアリングホイールの位置調整(チルト&テレスコピック)の両機能を電動化。アイシンが世界初の「電動チルト&テレスコピック・ステアリングコラム」を開発。

「いつかはクラウン」でお馴染みの7代目に搭載され、クラウンでしか味わえない高級感と快適性を実現。

・FRハイブリッドトランスミッション

13代目クラウン解説
13代目クラウンのAT

13代目クラウンにアイシン初の「FR2モーターハイブリッドトランスミッション」が採用され、以降長きに渡ってトヨタのハイブリッド進化を支えています。

最新の16代目クラウンクロスオーバー RSには、アイシンと2019年設立のBluE Nexus、デンソーの3社で共同開発した最新鋭の電動ユニット「1モーターハイブリッドトランスミッション」と「eAxle(後輪駆動用)」が採用されています。

新型クラウンのトランスミッション

フロントに搭載された1モーターハイブリッドトランスミッションは、新開発のDirect Shift-6ATと、駆動モーター、インバーターを一体化しており、高い加速性能と燃費向上に貢献。

新型クラウンのトランスミッション

リアに搭載されたeAxleは、モーター、インバーター、トランスアクスルを全て一体化。インバーターの出力密度向上により長時間高トルクで出力可能な高い動力性能を実現。

新型クラウン クロスオーバーRSはこれらの電動ユニットと2.4Lターボエンジンのポテンシャルを最大限に活用することで、 優れた燃費性能と加速性能を実現。ダイレクト感のある走りと上質なドライビングフィールに寄与しています。

愛知県刈谷市のアイシン コムセンター

記事では展示の一部をご紹介しましたが、歴代クラウンに搭載されたアイシン製トランスミッションについても、各世代別に画像を掲載しています。

また、今回の特別展示企画はアイシン技術の数々を間近で見れる機会なので、興味のある方は会場でご覧になってみてはいかがでしょうか。

開催期間:2022年12月9日まで(入場無料)(土日は休館 8月27日(土)・28日(日) 10:00~16:00は特別オープン。9/19、23、10/10、11/3、23の祝日はオープン)

開場時間:9:00〜17:00

場所:㈱アイシン コムセンター

Avanti Yasunori

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【関連リンク】

アイシン コムセンター特別展示企画「クラウンとアイシン」
https://www.aisin.com/jp/news/2022/005675.html

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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