新型シビックタイプRサーキット専用車?ホンダがTwitterでお盆の精霊馬を表現

■日本のお盆に欠かせない精霊馬をシビックとスーパーカブで表現した意図は?

●速く来て、ゆっくり帰るのが精霊馬

精霊馬(しょうりょううま)をご存知でしょうか。

精霊馬
精霊馬は迎えに胡瓜の馬、送りに茄子の牛を用いるのが一般的

日本のお盆には欠かせないアイテムで、ご先祖様が乗ってきて、再びあの世へ乗って帰る乗り物のことです。

お盆は明治以前は全国的に太陰暦(旧暦)の7月15日に行われていたものの、明治に入って太陽暦(新暦)の7月15日に行うと農繁期に被る地域が多かったそうで、1ヶ月遅れの8月15日に行うようになったのが全国に広がったようです。東京では7月に行われるのが多いようですし、静岡県沼津市出身の藤木由貴さんも実家は7月がお盆だと言ってました。

年に一度だけ帰ってくるご先祖様に早く帰ってきてほしいとの思いから、往路用には馬、復路用にはゆっくりと帰ってほしく牛を形作られるものが多いとされます。

このときの素材として、馬には胡瓜(きゅうり)、牛は茄子(なす)が用いられるのが一般的なようです。この理由はよくわかりませんが、牛は馬より丸っこいからでしょうか? 足が早いモノを表現するなら鯖で作るのもアリだったのでは、と思います。また、茄子はほぼ黒なので、乗って帰るのは黒毛和牛ということで、あの世へ戻ってからご先祖様が美味しくいただく…あ、殺生はダメですね。

そんな妄想を交えながらご先祖を敬うのもよろしいのではないでしょうか、と思ったら、ホンダさんも公式Twitterで妄想を膨らませていました。

ホンダらしく馬や牛ならぬ、クルマやバイクで表現。精霊馬ならぬ精霊車ですね。

ご先祖様が速く爽快な走りで戻ってくるためシビックを。帰路にはのんびりと給油の心配が少ないスーパーカブで。とのことです。

●このシビックはタイプRなのか?グレードを考察してみた

ホンダシビックe:HEV
ホンダシビックe:HEVは爽快な走りがウリ
ホンダシビックe:HEV
ホンダシビックe:HEV

爽快な走りを楽しめるシビックには、私も試乗して確認しました。特にMT(マニュアル)はダイレクトにクルマを操っている感覚も楽しめて、気分爽快です。

新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプR

けれど、ご先祖様に「速く」走ってもらうには、爽快よりさらに豪快な走りのハズのタイプRのほうが最適なのは言うまでもありません。

では、この胡瓜製シビックはタイプRなのかというと、リヤスポイラーが装着されていないため。どうやら通常のガソリンエンジン、またはハイブリッドのシビックe:HEVではないでしょうか。

新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプRの大きく膨らんだリヤフェンダー部分
新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプRのリヤドアはこんなに膨らませている

と思ったものの、よーく見ると、リヤドアからリヤフェンダーにかけて膨らみを増しています。タイプRの特徴であるトレッドを広げるためのワイドボディを表現したのでしょう。

新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプRにはリヤスポイラーを装備

これはこの精霊車はタイプRのリヤスポイラーを外した状態なのでは?と推測します。

さらに、ルーフはどうやらなぜか茄子製です。あえて、黒っぽいルーフにしたかったのは、きっとカーボンルーフであることを象徴したかったのでしょう。

なのに、ドアミラーはタイプRのブラックでなく、ボディカラーの胡瓜グリーンとしてあるのは、ホンダアクセスの純正ドアミラーカバーが装着されているからかも知れません。

つまり、この精霊車は、新型シビックタイプRをベースとし、空力はサーキットなどに合わせ後からセッティングできるようリヤスポイラーを取り外し、重心を低めるためルーフはカーボン製とした、サーキット走行専用ベース車両なのでしょう。いや、そう断言できます。きっと発売の予定があるのでしょう!(あくまで個人の妄想です)

新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプR開発責任者の柿沼秀樹さん

今度、開発責任者の柿沼秀樹さんにお会いする機会があれば、あの胡瓜のシビックがタイプRなのか、それをベースとしたサーキット仕様なのかを確認させていただきたいと思います。

●精霊車は実は山形県遊佐町に風習としてあった

なお、山形県遊佐町には、おもちゃのクルマをぶら下げる精霊車の風習があるのだそうです。

結構貴重なブリキのおもちゃを使ってますね。かなり、以前からこの風習はあるそうで、バスや飛行機などをぶら下げるところもあるとか。

また、オリジナル精霊馬を作るのは、このところブームなようです。

伝統を頑なに守るだけでなく、時代にあった形で楽しみながら風習を受け継いで、ご先祖様を思い出すのもいいことかも知れませんね。

(文・写真:クリッカー編集長 小林和久

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
続きを見る
閉じる