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■知らぬ間に忍び寄る熱中症のリスク!
●運転中でも起こりうる「かくれ脱水」とは?
真夏は、車内の温度がかなり高くなることで熱中症のリスクが高まります。この時期になると「車内に残した小さい子どもが熱中症になり…」といった痛ましいニュースも耳にします。
たとえ窓を少し開けておいたとしても、炎天下に駐車した車内では温度がかなり上がることは変わりません。炎天下に駐車する場合は、絶対に子どもや高齢者、ペットなどを短時間でも車内に残さないようにしたいものです。
一方、熱中症のリスクは、駐車中だけではないことをご存じでしょうか? 実はドライブ中、特に渋滞時には「かくれ脱水」という症状により熱中症になるリスクがあるといいます。
それは、一体どんな症状でしょう。また、どんな対策をすればいいのでしょうか?
●脱水症状になりかけているのに気づかない
熱中症とは、体温が上がり、体の中にある水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりすることで、体温の上昇、めまい、けいれん、頭痛などの症状を起こす病気のことです。
原因にもさまざまなものがありますが、たとえば、気温が高かったり、湿度が高い、日差しが強いといった状況のほか、風通しが悪い閉め切った屋内などでも起こります。
また、下痢やインフルエンザなどで体調をこわし脱水状態になった場合にも、おこりやすいことが知られています。
クルマの場合は、エアコンを使っているかぎりは熱中症は起こりにくいといわれています。ただし、夏の日中にドライブをしている際、渋滞に遭遇し車内に長時間座っていると、前述の「かくれ脱水」により、ドライバーはもちろん同乗者も熱中症になるリスクがあるのです。
この「かくれ脱水」とは、脱水症状になりかけているのに、本人やまわりの人が気づいていない状態のことです。
クルマで渋滞にあった場合は、長時間にわたり狭い車内に座ったままの状態で、体温上昇に繫がる輻射熱(太陽光などによる遠赤外線の熱線により直接伝わる熱)を長時間浴び続けることで、体の水分を余計に失いやすくなるといいます。
ところが、車内はエアコンなどでとても乾燥した状態。出た汗がすぐに蒸発してしまうため、脱水症状のサインを感じにくくなることで、かくれ脱水になる危険性があるのです。
特にドライバーは、渋滞で長時間ハンドルを握っていると、長く続く集中と緊張によるストレスによって神経を疲弊させ、汗をかいている感覚が鈍くなりがち。よく集中しすぎると水分補給がおろそかになり熱中症のリスクが上がるといわれますが、まさにドライバーはそんな状況に陥りやすいのです。
また、ドライバーに限らず同乗者も乾燥した狭い車内で、輻射熱を長時間浴びるといった状況は同じ。夏のドライブで渋滞にあった時には、クルマに乗っている人全員にかくれ脱水、ひいては熱中症のリスクがあります。
●こまめに休憩を取り水分補給
かくれ脱水を防ぐ方法としては、こまめに休憩を取り、きちんと水分補給をすることです。
中には、運転途中のトイレ休憩を減らすために、あえて水分を取らない人もいますが、これではかくれ脱水や熱中症のリスクがかなり高くなります。
1〜2時間に最低15分は休憩をとり、その際に100〜200mlの水分補給をするといいでしょう。
水分は、コーヒーや緑茶などのカフェインが多く含まれている飲み物などは利尿作用があるので適していません。
また、水分と一緒にミネラルを補給するといいといわれており、スポーツ飲料なら同時に補給できますが、糖分が多いのが欠点です。飲み過ぎには注意しましょう。
ミネラルと水分の補給に最適という意味では、麦茶などのほうがいいようです。
また、休憩時は、トイレや水分補給のほかに、車内のウインドウを開けて、乾燥した車内の空気を入れ換えることや、軽い運動をしてリフレッシュすることも有効です。
よく、同乗者で、トイレに行かないからと車内に残る人もいますが、前述の通り、同乗者もかくれ脱水のリスクがあることは同じ。休憩時はみんなで一度車外に出て、リフレッシュすることをおすすめします。
リフレッシュや水分補給がすめば、再スタートですが、同乗者に小さな子どもや高齢者がいる場合は、座る位置にも気をつけましょう。あまり直射日光が当たらない席に座らせた方が、輻射熱を浴びにくくなります。
なお、熱中症になると、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、体に力が入らない、ぐったりする、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、体が熱いなどの症状がみられます。
また、体温が高い、汗をかいていないのに触ると熱い、ズキンズキンとする頭痛、めまいや吐き気、意識障害がある場合は、重症の可能性があります。
ドライバーはもちろん、同乗者でもそういった症状がある場合には、すみやかに水分補給をすると共に、医療機関へ行くことが必要です。
脱水症状に陥る前の「かくれ脱水」にまずは気を付けて、夏のドライブを楽しんでくださいね。
(文:平塚 直樹 *写真はイメージです)
※この記事は2022年8月13日に更新しました。