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■伝説のライダーが2輪の最高峰レースを引退
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、世界最高峰の2輪レース「MotoGP」で、サテライトチーム「WithUヤマハRNF MotoGPチーム」に所属するベテラン、アンドレア・ドビツィオーゾ選手が引退することを発表。
ドビツィオーゾ選手といえば、2021年シーズン限りで引退した、MotoGPの英雄ヴァレンティーノ・ロッシ選手のライバルとして長年闘ってきたトップライダー。
ロッシ選手に続き、伝説のライダーがまたひとり、最高峰レースから去ることが明らかになりました。
●最高峰クラスで20年間に渡り活躍
アンドレア・ドビツィオーゾ選手は、イタリア出身36歳の大ベテランで、昔からのMotoGPファンにはおなじみのトップライダーです。
最高峰クラスには、2001年からMotoGPの前身であるWGPに参戦し、2012年シーズンにはヤマハのMotoGPサテライトチーム「テック3ヤマハ」に加入して活躍します。
2013年からは、MotoGPのドゥカティ・ワークスに移籍し、エースライダーとして活動。
ロッシ選手など、ヤマハのワークスライダーとも数々の名バトルを披露したことでも有名で、2017年から2019年までの3シーズン連続でランキング2位を獲得した実績を誇ります。
また、マシンの開発能力も高いといわれており、現在のドゥカティ製MotoGPマシンが好成績を残す土台を築いたとも言われています。
そのドビツィオーゾ選手が、ヤマハのサテライトチームWithUヤマハRNF MotoGPチームに加入したのは2021年の途中から。
2020年シーズン限りでドゥカティとの契約が終了したドビツィオーゾ選手は、当初2021年シーズンにはMotoGPを走っていませんでした。
ところが、当時のヤマハサテライトチーム(ペトロナスヤマハSRT)に所属していたフランコ・モルビデリ選手が、ワークスチーム「モンスターエナジーヤマハMotoGP」へ昇格。
その代わりとして加入し、当時同チームに所属していたロッシ選手のチームメイトとなり、MotoGPへ復活。長年実績がある2名のベテランライダーを擁する、まさに「ドリームチーム」となりました。
●シーズン途中に引退する理由は?
ロッシ選手が2021年シーズン限りで引退した後も、ドビツィオーゾ選手はチームに残り、2022年シーズンも、ヤマハがフルサポートするファクトリー・スペックの「YZR-M1」でMotoGPに参戦。
当初は、シーズン終了まで参戦する予定でしたが、今回の発表によれば、最後のレースは9月4日に決勝を迎えるホームグランプリ、第14戦サンマリノGPに。シーズン途中での引退となるようです。
ちなみに、ドビツィオーゾ選手は、ヤマハ再加入後からちょうど1年で、20年間に及ぶキャリアを積み上げたMotoGPの世界を去ることになります。
引退する理由について、ドビツィオーゾ選手は
「チームとヤマハが継続的に貴重なサポートをしてくれたにもかかわらず、私はマシンに気持ちよく乗ることができず、ポテンシャルを最大限に活用することができませんでした」
といったコメントを発表しています。
たしかに、ドビツィオーゾ選手は、2021年シーズンのランキングは、途中参戦であったこともあり24位。
2022年シーズンも、第12戦イギリスGP終了時点で22位と、かつての実力を発揮できていないことが現状。
そのため、6月26開催の第11戦オランダGP終了後、8月7日に決勝が開催された第12戦イギリスGPまでのサマーブレイク中に、引退を決意し、その旨をチームに伝えたようです。
●引退発表直後に追い上げのレースを披露
なお、ドビツィオーゾ選手は、引退発表直後のイギリスGPに出走。予選は24番手とふるいませんでしたが、決勝では徐々に順位を上げて、最終的には16位でチェッカーを受けました。
ポイントを獲得する15位までにはあと一歩でしたが、積極的な走りで追い上げをみせたことが、とても印象的でした。
ドビツィオーゾ選手の引退まで、(2022年8月8日時点で)残り2戦。ぜひ、有終の美を飾るレースを期待したいものです。
ちなみに、第15戦以降の残り6戦は、ドビツィオーゾ選手に代わり、ヤマハのオフィシャル・テストライダーで、イギリス人ライダーのカル・クラッチロー選手が参戦するそうです。
(文:平塚 直樹)