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■予告なく展示されたマイテ49 2
京都市内にある京都鉄道博物館(嵯峨野線梅小路京都西駅前)は、動態保存しているSLから新幹線500系まで、さらには期間限定で現役の車両まで53両の車両を収蔵している指折りの鉄道博物館です。この博物館は東海道本線と線路がつながっていて、1階の車両工場という展示エリアで期間限定で現役車両を度々展示していて、マニアから家族連れまで幅広く支持されています。
そんな京都鉄道博物館ですが、現在展望車のマイテ49形2号車(以下マイテ49 2)が扇形車庫で展示されています。しかし、この展示は京都鉄道博物館及びJR西日本のホームページでも発表されていません(8月7日現在)。まさに予告なしのサプライズ展示となっています。
●国鉄の花形特急で活躍した展望車
マイテ49 2は戦前から1960年まで東海道・山陽本線の代表的な特急列車の最後尾に連結された展望車のうちの1両です。当時の特急、すなわち特別急行列車は文字通り特別な列車で、編成の最後尾に連結された展望車はステイタスシンボルでした。 そんな展望車は1962年度までに全車廃車となり、2両を残して解体・改造されてしまいました。マイテ49 2は残った2両のうちの1両で、1962年に開館した大阪府大阪市の交通科学館(後の交通科学博物館で現在は閉館)に保存されました。
現存するもう1両はマイテ39 11で、1963〜1987年に東京都青梅市の青梅鉄道公園で保存後、国鉄大井工場での保管・修繕を経て2007年に開館した埼玉県さいたま市・鉄道博物館で保存されています。マイテ39 11は鉄道博物館にて常設展示されていて、同車の特徴だった桃山式の内装も完全な状態ではないものの見ることができます。
●マイテ49 2はなぜ京都鉄道博物館に?
交通科学館で保存されていたマイテ49 2は、国鉄が分割民営化される直前の1987年に車籍を復活させて、同年4月1日に発足したJR西日本が承継しました。以後マイテ49 2はイベント列車等に使用されていました。 しかし、2009年8月15日以降は運用に入っておらず、車両基地のイベントで姿を見せる程度となりました。2018年には京都鉄道博物館で特別展示を行っています。
ところで、マイテ49 2はなぜ京都鉄道博物館にやって来たのでしょう? 前述した通り、今回の展示に関しての正式なリリースはまだ出ていません。
なお、直近の全般検査(自動車で言うところの車検)は2017年11月に受けています。客車の検査周期は8年なので、少なくとも2025年までは本線走行可能性もゼロではないでしょう。しかし、マイテ49の前身となるスイテ37040形が製造されたのは80年以上前の1938年ですので、いつ引退してもおかしくない状況です。
もし引退するとなれば、京都鉄道博物館で保存されると思われますので、このままこの地に留まる可能性もあるかも知れません。 現時点ではいつまでマイテ49 2を展示するのかも分からないので、できるだけ早く見に行くことをオススメします。
(松沼 猛)